新船長の初出漁。 16,13,10 東京湾安浦港の長谷川丸は私の釣りの根城みたいな船宿になっている。 3年前に、謹厳実直で無口な、まるで海の男を絵に描いたような大船長が他界して から、若船長が1人で頑張っていて、大船長の船が一艘空いたままになっていた。 見習いとして中乗りの修行をしていた若手の渡辺君がようやく1年間の修行を終 えて、3月からめでたく大船長が乗っていた船の船長を務めることになり、以前と同 じ2艘体制に戻った。記念すべき初出船は3月1日となり、勿論ご祝儀を用意して 初出船の船に乗るつもりでいたが、生憎波風が強く、波風に弱い私はやむなくこの 日の釣行を諦めた。そのあと何回か行く予定を立てたが、3月は悪天候が続いて なかなかチャンスがない。 先日バレンタインデーに孫達がチョコをプレゼントしてくれたので、家内がホワイ トデーのお返しに何が欲しいかを聞いたら、孫達は即座に、「ジジが釣ったアジの 刺身!」と一発回答したと家内が云うので、喜んだジジは急遽支度をしてアジ釣り に出かけた。 丁度ポカポカ陽気になり、風もない絶好の釣り日和だった。気が付けばアジ釣り は今年初めてで、久しぶりにアジの魚信を味わった。この日の釣り客は何故か私 以外に1人だけ。これでは燃料代にもならないのに実直な船長は笑顔で出船して くれた。 私の釣果は何とアジが63匹とイシモチ10匹。午前釣りなので実釣時間はほぼ 4時間弱だから、休む間もなく釣り続けた事になる。釣り過ぎは資源の無駄、食べ る分だけ釣ればいい、などと日頃偉そうなことを云っているが、云う事とやることが 違って、ついつい夢中になってしまった。 もう一人の釣り人は、手が合わないのか10匹だけで、私の釣り方を熱心に真似 をしていたが釣果は上がらなかった。渡辺船長にご祝儀を渡したら大変喜んでく れ、帰港してから獲れたての地元ワカメをお返ししてくれた。 新船長!これからよぼよぼ爺さんと長い付き合いをよろしくお願いしますヨ! 帰宅して大漁のアジとイシモチを調理するのに苦労したが、孫達が喜んで刺身 と塩焼きを食べる顔を見ていると、疲れもいっぺんに吹っ飛んでしまった。イシモチ の味噌漬けが思いがけず美味しかった。当分、アジとイシモチで食卓は賑わうこと になる。 |