4か月ぶりの釣り。 ![]() 去年の10月5日にアジ釣りに出かけて以来、4か月も釣りにご無沙汰している。 こんなに間が空いたのは退職して20年になるが初めてのことである。 何事によらず、中毒になったように夢中になっていたことが、何かのきっかけで 中断すると、まるで熱病から覚めたように中毒症状が消えてしまい、後になって 何故あの時あんなに夢中になったのだろうと不思議に思うことがままある。 私の場合、昔、凝りに凝った麻雀然り、映画館通い然り、居酒屋通い然り、ゴル フ然り、古くはパチンコ通い然り、その他もろもろ、まるで麻薬中毒患者のように 通いつめたものだが、ふとしたきっかけで囲碁を除いてそれ等のほとんどは熱が 冷めてしまった。退職後の釣りがそれにあたらなければよいが・・。 しばらく釣りをしていないと、矢も楯もたまらず釣り竿を取り出して道具類の点検 を始めたものだが、それが去年の10月以来ピタリと釣りに行きたいと思う衝動が 収まってしまった。何故かはよくわからない。中毒症状が消えてしまった事だけは 間違いない。 心当たりがないわけではない。多分さる船長の一言がぐさりと胸に刺さったのが 情熱が冷めたきっかけかもしれない。 釣り終えて下船の時にクーラーが魚で一杯になり重くて自力で運べなくなった事 がある。その時に、「爺さんが自分でクーラーも持てないなら釣りはやめた方がよ い。」と船長にズバリ嫌味を言われて以来、釣りをする気力が薄れたのが原因の ようだ。 確かに船長のいうのは的を得た意見だろうが、老人には老人の言い分もある。 気が小さくて打たれ弱い蚤の心臓の私は、急に興ざめしてそれやこれやで4か月 も釣りにご無沙汰したのであった。 加えてこの冬の朝の寒さに怖気づいて行く気になれなかったり、たまたま風邪 気味で予定された例会を連続欠席した事などが重なった。冬の海は老人にとっ ては心筋梗塞を起こした油断のならない海なのである。 釣りの事をしばらく忘れて禁断症状も出なくなった先日、友人から電話があって アジ釣りを誘われた。尻込みしている私に積極的な誘いをかけられたので、遂に 重い腰を上げて朝6時にいつもの船宿に出かけ午前アジ船に乗った。 この日は比較的暖かで風も吹かない冬晴れの釣り日和だった。ネットで調べた らあまりアジは挙がっていない。客は正直で、太刀魚の船は満員だが、アジは片 側3人ずつの6名だけの釣り客。アジはやはり姿を見せないので、船はあちこち 走り回ってアジを探し回る、俗にいう「遊覧船」となった。 ようやくアジを探し当てても1匹釣るとすぐ釣れなくなる。群れをなしていれば 入れ食いになるのだが、群れはないらしく単発~移動の繰り返しだった。 結局は私は11匹のみで6人中スソ。つまり最下位だった。トップは18匹だから 大同小異という貧果だった。私は正直11匹で十分満足だ。何故ならクーラーが 軽くて、下船の時の持ち運びに船長の手助けが無用だからである。 11匹では孫達に食べさせるには少なすぎる。家内と2人だけで塩焼き、タタキ、 フライ、刺身にして夕食のおかずにした。久し振りのアジだったが、脂がのった 新鮮なアジは美味だった。 同行した友人から近いうちにタチに挑戦しましょうと誘われたがどうしたものや ら。しばらく中断していたのに また中毒症状がぶり返すだろうか、歳が歳だから、 無理をしないで寒い季節の釣りはほどほどにして心筋梗塞の再発を防ぎたい。 昨日、プロ野球の野村克也氏がお風呂で急死したとの報道が駆け巡った。 私より2歳上の84歳だが、私も朝風呂を欠かしたことのない大の風呂好きだか ら他人事には思えない。外気温と風呂場の温度差には十分気を付けて朝風呂 を楽しもう。 それにしても、次々に80歳そこそこの有名人の訃報が新聞やテレビのニュー スになる。明日は我が身。昭和もますます遠くなっていく。 ”降る雪や、明治は遠くなりにけり。” 中村草田男 、 |