ふたたびアジ釣り。(スーさん逝く。)   13,04,17

    釣りバカ日誌の”スーさん”こと三国連太郎氏が90歳で惜しまれつつこの世を去った。
   葉山のスーさんは弔問のため東京湾に出かける決心をした。釣りバカ日誌のロケ地
   の釣り宿は金沢八景の”太田屋”で私の定宿の安浦・長谷川丸とは同じ東京湾の漁
   場仲間である。

    時あたかも孫が入学式を終えて我が家に小学1年生の晴れ姿を見せに来る。ささや
   かだが入学祝に孫の好きなアジの刺身を食べさせたい。孫の喜ぶ顔がみたい。なん
   だかんだ屁理屈を言いながらも要は釣りに行きたいのである。ネットの釣果が連日の
   好漁を伝えているのでむずむずしているところに、旧友S氏がアジ釣りに行きたいと
   携帯メールで同行を所望してきた。

    渡りに船とばかりに快諾してポカポカ陽気の風のない絶好の釣り日和なので勇んで
   出漁した。港を出て10分も走ると漁場に着く。漁場までの走行中は潮風が顔をかすめ
   て何とも気持ちがいい。平日なのに乗船者は片側5名で合計10名。釣れると聞いて釣
   り人がハエが群がるように沢山集まってくる。船長と若女将は商売繁盛でホクホク顔
   である。そういえばこの若船長夫妻の次男坊は我が孫と同い年のピカピカの一年生だ。

    海に出ると間もなく住友重機横須賀造船所の赤い巨大なクレーンが見えてくる。
   これと猿島の間くらいを目印に1キロほど走った沖合が目指す釣り場である。太田屋
   の船もこの辺を漁場にしていてよく見かける。浜ちゃんもスーさんもここが根城。船腹
   に黒々と大書された「太田屋」の文字が鮮やかな船に大漁旗がはためき、スーさんと
   浜ちゃんがご機嫌で竿を垂れているのが目に浮かぶようである。

    この日は大漁。我々は午後アジだが、午前アジの竿ガシラは99匹との事。午後アジ
   は10人中トップが63匹で2番が私で53匹、乗船10名が皆さん30匹以上で、しかもサイ
   ズは大きからず小さからずの食べごろサイズ。裁くのが大変だがこれも孫のためとあ
   れば何のそのである。

    翌日には家内の学生時代の恩師と学友達が来宅するというので、腕を振るって見
   てくれのいいアジ料理に取り掛かる予定。定めしアジのマリネや刺身、タタキ、アジ寿
   司などが候補か。日頃漫然として無為な生活をしていると、目標が出来るとついつい
   張り切る癖が出てくる。これは終生消えない習癖と云うべきか。

   同僚と一緒にダブルでアジを釣り上げた時、船長が写真を撮ってくれたので帰宅して
   ネットを見たら、ご丁寧にも2枚も満面の笑顔の写真が載っていた。