秋刀魚。        17,08,31

   気仙沼にサンマが初水揚げされたその日に、今年も我が家に今年の初物が送られてきた。
  8月20日ごろから根室沖でサンマ漁が始まり、根室、釧路への水揚げを手始めに、気仙沼
  や大船渡などの本州に水揚げされ、9月初旬には我が家近くのスーパーにもお目見えする。

   早速スーパーを覗いてみたら葉山にはまだサンマは並んでいなかった。つまり気仙沼と同
  じ時期に、いち早く我が家では葉山で一番早いサンマ料理を食べられるという訳だ。

   例年140gの大きさが普通だが、今年は小振りが多く130gが標準だという事だった。値段
  は1匹245円とやや高いが、旬を味わうのだから当然だろう。


     


   最近の秋刀魚の資源量調査によれば、沖合の分布量が激減している一方、暖水塊がなく
  なったことで今年の漁場は沿岸に寄っていて、10月末までの漁期前半は、来遊量が昨年よ
  りも上回る見通しだという。しかし11月以降の後半は漁況が急激に悪化する可能性が高く、
  漁期前半の操業が勝負どころとなりそうとの事である。年間では昨年よりも減少する見通し
  のようだ。暫らくは美味しくて安いサンマが食べられそうだ。久し振りの朗報である。

   中国や台湾の大型船による秋刀魚の乱獲、新鮮な秋刀魚の見分け方、秋刀魚の効能、
  サトウハチローの「サンマの歌」(
ミミズの戯言12)など、秋刀魚に関する色んな能書きは
  昨年までで書き尽くしたので、今年は秋刀魚の塩焼きについて少々紹介する。

   秋刀魚の塩焼きは何と言っても備長炭を使って七輪でもうもうと煙が出るほど焼き、大根
  おろしとカボスを添えて食べるのが一番おいしい食べ方だが、NHKの「ためしてガッテン」で
  紹介された食べ方は、みりんを10倍に薄めてサンマに塗り、塩を適量振ってコンロで7分
  ほど焼くと、美味しいサンマの塩焼きになるのだそうだ。

   テレビを見た人で試した人も多かろう。しかしやはりサンマの塩焼きの王道は、七輪でな
  ければ風情もないし、味もイマイチの筈である。昔気質の私の拘りである。不精しては美味
  いサンマは食べられない。

   今年は何としても七輪と備長炭を物置から引っ張り出して、じゅうじゅうと脂がしたたり落
  ちるまで焼いたサンマの塩焼きに、大根おろしを載せ、カボスかレモン汁を絞って熱々の
  サンマを食べる事にする。さらに新鮮な刺身にして生姜醤油につけて食べることにする。
  これでヌル燗を飲めばこれこそ初秋の旬の味である。

   ” 白玉の 歯に沁みとおる秋の夜の 酒は静かに 飲むべかりけり ”
   我が家の玄関正面に若山牧水の扁額が飾ってある。酒をこよなく愛した今は亡き義父の
  お気に入りの歌だった。

   サンマ到着を聞きつけた娘家族が早速来宅して、サンマ数匹と先日釣った太刀魚を持ち
  帰った。食べておいしかったらまた取りに来ると言い残して嬉しそうに帰って行った。