apx.112. 複雑系の科学   第1章へ 目次(第5章)へ

 複雑系(complex systems)の科学という用語が物理学などの分野で用いられるようになった。 従来は,複雑な対象を扱おうにもその条件が整っていなかった。しかし,伝統的な固体物理学においてさえ,その自然な発展の結果として,酸化物高温超伝導体などのようにきわめて複雑な構造をもつ物質が主役として登場している。高分子液体,液晶などミクロとマクロの中間スケールに種々の興味深い物性が現れる流動体を複雑液体とよんでいるが,このような物質の研究も近代物理学の一つの流れになっている。

生体高分子の立体構造,粉粒体のダイナミックス生物集団のダイナミックス,人工生命などをすべて複雑性の科学とよんでいいだろう。

(1099頁,imidas1997 ,1996)