3.6 シーケンス論理制御の応用     目次(第3章)へ

3.6.1 生物生産機械施設における応用

 農業機械施設の分野でも,ハードウェア,ソフトウェアの両面でシステム制御が広く用いられている.

  1) 農業機械情報の検出測定

  2) 農業機械情報の表示・指示

  3) 農業機械装置の制御

の3分野にわたり,1)ではセンサが,2)では対人間が,3)では作動装置(actuator)が問題点であろう.

 ソフトウェアの面では,

  1) 農業機械の設計

  2) 農業機械利用計画

  3) 農業機械情報のデータベースと検索

  4) 農業機械の教育システム

などに,マイクロコンピュータが積極的に応用されている.

 ここでは,ライスセンタ制御シミュレータについて述べることにする.

3.6.1.1 搬送流れの論理

 図2.42(102頁)のようなライスセンタ(受入れから乾燥までの前半部)で,籾をホッパから乾燥機まで搬送する場合には,通常,図3.12に示されるタイムチャートに従って,シャッタやモータを駆動するとよい.そのシーケンス制御の論理式を設計することを考えよう.

 STEP1:ホッパに籾があり(X=1),かつ乾燥機への上部シャッタのどれか一つが開いてから(ここでは,乾燥機No.1の上部シャッタ Y41=1),td41秒おくれて,スクリューコンベア5が動き(Y5=1),つづいてtd5秒おくれて,バケットエレベータ4が動き(Y4=1),同様にして,粗選機3,バケットエレベータ2,スクリューコンベア1の順に駆動し,ホッパのシャッタが開かれる(Y0=1).(ホッパスケール部省略)

図3.12 タイムチャート

 ●ソフトウェア CE.exe

 STEP2:ホッパの籾がなくなったら(X=0),trx秒おくれて,ホッパシャッタが閉じられ(Y0=0),tr 0秒おくれて,スクリューコンベア1が止められ(Y1=0),同様にして,バケットエレベータ2,粗選機3,バケットエレベータ4,スクリューコンベア5の順に止める.

 また,ホッパに籾があっても,乾燥機の上部シャッタが閉じられたら(Y41=0),ただちにその上流側のモータは止め,ホッパシャッタは閉じなければならない.

 STEP3:これらを論理式で示すには,限時動作時間(td)だけおくれてONし,限時復帰動作時間(t r)だけおくれてOFFするディレー信号(D)を図4.19のように導入して,記憶式Y=A+・Yで表せばよい.ここで,Aは始動条件であり,Bは記憶を解除する条件である.

STEP4:スクリューコンベア5の始動条件は,ホッパに籾があり,かつ,乾燥機の上部シャッタが開いてから td41秒後であるから, =X・D41である.解除条件Bは,乾燥機の上部シャッタが閉じられるか,または,バケットエレベータ4が停止してからtr4秒後であるから,,すなわち,

である.

したがって,

       

       Y5=X・D41+Y41・D4・Y5

同様にして,

       Y4=X・D5 +Y41 D3・Y4

       Y3=X・D4 +Y41 D2・Y3

       Y2=X・D3 +Y41 D1・Y2

       Y1=X・D2 +Y41 D0・Y1

       Y0=X・D1 +Y41 Dx・Y0

 なお,右辺のY0〜Y5は,左辺のY0〜Y5の1ステップ過去の値を用い,以下の各式とも左辺に右辺の値を移すものとする.

 しかし,タイムチャートの後半のように,乾燥機の上部シャッタが閉じたら,Y0〜Y5 全部が止まるようにするには,を絶対解除条件と考えて,以下のようにY41を外側に掛ければよい.(Y=(A+Y)参照).

       Y0=Y41 (X・D1+Dx・Y0

       Y1=Y41 (X・D2+Dx0・Y1

       Y2=Y41 (X・D3+Dx1・Y2

       Y3=Y41 (X・D4+Dx2・Y3

       Y4=Y41 (X・D5+Dx3・Y4

       Y5=Y41 (X・D41+Dx4・Y5

ここで,Y41=1のときDx Y0=Dx D1

また,D1=1のときX+Dx=Dx

さらに,

       X・D1+Dx・Y0=D1 (X+Dx)=D1・Dx

したがって,

       Y0=Y41 D1 Dx

       Y1=Y41 D2 (X+D0

       Y2=Y41 D3 (X+D1

       Y3=Y41 D4 (X+D2

       Y4=Y41 D5 (X+D3

       Y5=Y41 D41 (X+D4

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