1.4.2 システム工学       目次

 

 システム工学(Systems Engineering[1]には,五つの源流があるといわれる.すなわち,オペレーションズリサーチ(Operations Research:OR)[2],情報理論,サイバネティックス,基礎数学,コンピュータである.JISZ8121)によるとオペレーションズリサーチ とは,「科学的方法および用具を体系の運営方策に関する問題に適用して方策の決定者に問題の解を提供する技術」,サイバネティックス(cybernetics)とは「人間の行動における神経,感覚などの機能と機械における通信と制御の機能とを統一的,総合的に取り扱う科学」といわれる.

 アポロ計画などの巨大プロジェクトの運営のため,あるいは環境汚染の問題解決等のために,総合的に問題を解析し,システムを設計し,問題を解決していくことが必要であり,そのためにはシステム工学がなくてはならないものであった.システム工学は1940年代のORに始まり,アポロ計画がその成長を促し,コンピュータの発達とともに発展し,戦後わが国には組織工学の名称で紹介された.その後,工学を中心に次第にその学問体系も整ってきて,現在では「システム工学」の名称が定着した.

システム工学とは,「複雑多様なシステムについて,ある制約条件の範囲でその目的を最大に達成させるための最適な計画・制御・運用技術に関する総合工学」といえよう.

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[1] 猪瀬 博ほか編:システム工学T〜\(基礎工学),岩波書店,1969,ほか

[2] JIS Z8121,オペレーションズリサーチ用語,日本規格協会,1967