1.4.1 システムとは     目次へ

 

 システム(system[1]という用語はすでに完全な日本語になったが,漢字では体系,組織,系統(中国語でも用いられる),制度などの用語が適時用いられることがある.

 システム工学が対象とするシステムとは,

 a) 対象とする範囲内の

 b) 2個以上の要素が,

 c) 相互に関連し合い,

 d) 結合体として統一的機能を有し,

 e) 何らかの評価関数で表される具体的な目的をもっているものである.

 JISZ8121)によると,「システムとは多種の構成要素が有機的な秩序を保ち,同一目的に向かって行動するもの」とされている.

 したがって,生物生産の営みを含んだ身の回りにあるものから学問までほとんどのものがシステムであるといえようし,それらについてその働きを最大に発揮させるためにシステム工学が活用されることになる.そして,このようなシステムを解析し,モデル化し,その最適化を行う方法を確立することが,システム工学といえる.また,システム工学は若い学問であるので,これからますます広く深く成長していき,最終的には,学問のシステム化につながっていくものと思う.また将来学問体系においてもシステム的発想が中心的役割を果たすことになると思われる.

 あるシステムは,ある環境(surroundings)に囲まれた領域で示され,その対象とする範囲を明確にしておく必要がある.一般に,システムは多くのサブシステムや要素から成り立ち,複雑,大規模なものが多い.一方,どのシステムもより大きなシステムの一部分であり,その構造には図1.2に示したように,@枝分れ型構成システム(hierarchical system),Aネットワーク型構成システム(network system)などがある.前者の例としては,県市町村の行政区域システムや会社の部課組織などがあり,農業システムはネットワーク形の構造をもつことが多い.

 なお,枝分れ型システムにおいて,図1.2のSを親システム,S’をサブ・システム(sub system:子システム),S”をサブサブシステム(孫システム)とよぶことがある.

.1.2 サブ・システム

 

演習問題 1.4.1 参照

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[1] 大村 平:システムのはなし,日科技連,1972