RAILWAY

          鉄道
 インドの国土面積は日本の約9倍。したがって一つの都市から次の都市までにの移動の所要時間はとても長くかかる。日本だと大阪東京間が3時間かかるとすると、インドでは9倍の27時間かかると考えて良さそうだ。列車の車内泊が1泊2泊は当たり前と覚悟しよう。そして、目や鼻や口に汽車のススが侵入しても、それをはねかえす強い粘膜と、何時間座り続けても痛くならないお尻を作ることからはじめよう。
 インドの鉄道は、まず都市から都市への距離が長く、非常に時間がかかる。(日本の新幹線の様に15分おきというのは、気違いじみているけれど)週数本しかないのと、インド特有の非合理的(?)さとが相まって、けっこう太い神経を必要とする。
駅に着いても何のアナウンスもなく駅名もあまり発見出来ないから、自分の降りる駅は、自分で責任を持って見つけるしかない。
同乗のインド人に聞くのがてっとり早いのだが…。‥これも保証はできない。まあ、インドタイムをたっぶり楽しむ良いチャンスが列車の旅と言える。





 長距離を移動する場合、座席の予約を取っておかないと、非常に大変な旅となることが多い。自由席などは、足の踏み場もない状態で屋根の上にも人が乗っていることもある。ブッキングオフィース(切符売り場窓口)でまず予約を取っておこう。2〜3日後の予約が取れるはずだ。
 どうしても急ぐ場合は直接その列車の車掌にチップ(ワイロ)を5〜10ルピー(金額はケースバイケースで当時は日本円で1〜300円ほどだった)ほどを渡すと、予約席の切符を渡してくれることがある。それでも、どうしても席が無い場合、私の場合は、郵便貨物車に乗せてもらったり、運転席の後ろに乗せてもらったことがある。
 
インドの鉄道の営業路線距離数は世界第4位。イギリスの植民地政策により、主要幹線以外はゲージ(レールの幅)が統一されなかったため、幹線をはずれると列車を乗り換えなければならない。最近はかなり整理され、ゲージの統一が進められている。

 列車の種類には、Mail(郵便物兼用急行)、Express(急行)、Ordinary(普通)とがあり、さらに車両のクラスとして、
@Air−Conditioned(Accクラス)
AFirst(Istファーストクラス)
BAir−Conditioned Chair Car(ACCチェアーカークラス)
CSecond(Undセカンドクラス)

の4種類に分けられる。料金順に説明すると……

 ACCクラス
全席指定で、4人程の個室(コンパートメント)になっていて、夜間はそのシートに寝ることが出来る。
名前のとおリエアコンが付いているからとても涼しいが料金は飛行機と同じ位高い。

Ist(ファースト)クラス、及び(ACスリーパークラス)
個室になっているがエアコン無しと、エアコン付きの寝台車とがある。

ACCチェアーカークラス
全席指定で、個室にはなっていないが、エアコン付き。リクライニングシートになっていて使い良い。日本のグリーン車の指定席と同じ。

Und(セカンド)クラス、及び寝台(スリーパー)クラス
いわゆる二等。三等及び学割が廃止された今となっては、もはやこれに頼るしかない。
3人掛け(一応)のシートに自由に座る。長距離列車なんかは、通路まで足の置き場もないぐらい混雑する。
ひどい時には、3人掛けのシートに8人が身を寄せ合い、さらにその足元のすき間にも人がうずくまっていたり、荷物棚にも人が乗っているといった、戦時中の買出し風景の様になる。
尚、長時間の旅が予想されるならば、スリーパーの寝台車で予約をとっておく事をすすめる。
スリーバーには2段になった2Tier と3段になった3Tierとがある。2Tierの上段は、昼は荷物棚になり下段は座席になる。3Tierは、上段は荷物棚となり、中段は支えを取りはずして背もたれになり、下段は座席になる。
寝台として使用するのはPM9時からAM6時までの間である。席は木でできていてクッションも何もないから、シュラフか毛布を持っていると楽である。


      Uセカンドクラス車内            荷物棚も予約制で寝床になる


    基本料金
km単位で計算される。詳しくはTime Table(時刻表)の料金表参照のこと。

         予約
長距離列車のほとんどが予約制になっている。予約は、駅のリザベーション・ブッキング窓口で、申込用紙(Requjsition For Reservation)に必要事項(列車名日時、クラスetc)を記入して出し、予約がとれれば、切符が購入できる。
一般に主要幹線の列車は予約が満席になっている場合が多く、特に二等のスリーバーの予約は1週間先の列車まで満席になっていることもある。
リザベーションの窓口は、常に人で混んでいるので朝早く行く事をすすめる。
予約料金は、
ACC  クラス   10Rs
Ist  クラス    4Rs
ACC チェアーカー  2Rs
Und クラス寝台  2Rs
座席指定      1Rs
入場券    10Pとなっております。

予約が満席で取れなかった場合
窓口で予約が取れなかった場合、直接その列車の車内で、車掌に席が空いてないかをたずねると良い。数ルピーのチップを渡せば取ってもらえる場合もある。また駅のポーター(赤帽)に頼んで取ってもらう方法もある。


    時刻表の利用の仕方
タイム・テーブルは駅の売店で簡単に手に入る。料金は50P〜3Rsまで色々な種類がある。列車を利用する場合これを買うととても便利。内容は日本の時刻表とほとんど変わらない、便利性を追求すると世界中同じような形式になるようだ。日本の時刻表の英語版と考えてよい。結構よくわかってタイムテーブルを見ているだけでも楽しい。
種類は、セントラル、ウェスタン、イースタン、ノースイースタンetcがあり全図版もある。地方版は巻末に、日本の時刻表のような地図が付いている。
●タイム・テーブルの最初に載っているのはRules for Refund or Unused Tickets&Cancellation Fees(使用してない切符の払い戻しと取り消し手数料のルール)である。
次にPassengerFares(距離あたりの旅客料金)があるがこの2項目はあまり必要としない。
●また予約料金と寝台車の追加料金の欄がある。

     インド・レイル・パス
ヨーロッパのユーレイルパスによく似ている。その期間中何度でも、どこででも乗り降り自由な周遊券。
料金は、最初に使った日から7日間、15日間、21日間、30日間、60日間、90日間とあり、さらにクラスが3種類に分かれる。
購入する場合は主要駅6カ所の「レイルウェイ・ツーリストガイド」でUSドルで支払う。
購入場所
●レイルウェイ・ツーリストガイド
カルカッタ、フェアリープレイス、イースタンレイルウェイ内
Eastern Railwa);Fairlie Place,Calcutta
●セントラル・リザベーション・オフィス
カルカッタ、エスプラナドマンション、サウスイースタンレイルウェイ内
South Eastern Railway,Esplanade Mansion,Calcutta
●セントラル・リザベーション・オフィス
ボンベイ、チャーチゲート駅、ウェスタンレイルウェイ内
Western Railway,Churchgate,Bombay
●レイルウェイ・ツーリストガイド
マドラス、マドラスセントラル駅、サウザンレイルウェイ内
Southern Railwa)ちMadras Central,Madras.
●レイルウェイ・ツーリスト・ガイド
ボンベイ、VT(ビクトリア・ターミナル)駅、セシトラルレイルウェイ内
CentralRailway Bomba,y VT
●レイルウェイ・ツーリストガイド
ニューデリー、バロータハウス、ノーザンレイルウェイ内
NorthernRailwa〉;Baroda House,NewDelhi

乗り放題レイルパス
インド個人旅行にぜひお勧めしたいのがインド国鉄全線に乗り放題のインドレイルパス。エアコンクラスと1等(エアコン2段寝台、3段寝台、エアコンチェアカーにも乗れる)、2等の3種類あり、料金は7日間有効で2等9600円、1等1万8000円。エアコンクラス3万6000円。ほかに15日、21日、30日、60日、90日有効の各種がある。インド主要都市の駅のほか、日本でも発売している。2等は学生や若い人向きでかなりしんどい。1等パスがお勧めだ。1等パスの15日間は2万2200円、21日間2万6400円、30日間3万3000円、60日間4万8000円、90日間6万3600円。

 予約料金、追加料金は不要。面倒見のいいこと世界一!
私はユーレイルパスをはじめオーストレイルパス、NZトラベルパス、USAレイルパスなど世界各地の鉄道乗り放題パスを利用したが、究極のパスといえるのがこのインドレイルパスである。他のパスは予約料や寝台料金などは別に必要だが、インドレイルパスはすべておまかせ。追加料金不要だ。面倒見のいいこと世界一。その上、優等列車は全食事もフリー。1等パスを使い、デリー〜カルカッタ〜アーグラー〜ヴァーラーナスィー(ベナレス)などと1等寝台でジグザグに旅すれば、ホテル代は一切不要だ。1等寝台は日本のB寝台より幅が広くゆったり。夜行の連続でもほとんど疲れない。

 ぜひ乗りたいのがデリー〜アーグラー・ジャイプル、チェンナイ(マドラス)〜バンガロールなどを時速140kmで走るシャタブディ(世紀)エクスプレス。1等とエアコンチェアカーのみでリクライユング式。新聞、ミネラルウォーター、朝食または軽食付きだ。デリー、カルカッタ、ムンバイ(ボンベイ)間などを走る寝台特急のラージダーユ (首都) エクスプレスも2食付きの豪華列車。インド音楽が流れる中、18時からポットティーのサービス。カレーパイとキャラメル付き。つづく夕食はヴェジ(菜食)とノンヴェジ別で、後者はトマトスープ、ヨーグルト、メイン (ライス、チャづアイ、チキンカリー、タール豆、漬け物)、アイスクリームの順にサービス。到着前には朝食も。パスなしの区間料金はデリー〜カルカッタが3300円〜。インドの誇る2犬特急の旅は鉄道ファンならずとも体験したい。 小林克己さんの1997年の記事より



         食事
車内にて
朝食(AM8時〜10時)・昼食(pM12時〜2時)・夕食(pM7時〜9時)の間となっている。
ベジタリアン(菜食)とノンベジタリアン(肉食)とに分かれており、自由席以外は、時間になるとボーイがオーダーを取りに来る。

タリ(定食)について
●ベジタリアン(菜食)料金2.5Rsから
ライスとチャパティ
ダル(豆スープ)
野菜2ケ(トマト etc)
カード(ヨーグルト)
チャツネ(カレー漬物)
パパド(薄焼インド風塩味せんべい)
●ノンベジタリアン(肉食)料金3Rsから
ライスとチャパティ
ダル(豆スープ)
ベジタブルカレー
マトン(又は魚・卵)カレー
カード(ヨーグルト)
チャツネ(カレー漬物)
パパド(薄焼インド風塩味せんべい)
このタリは昼食と夕食のみ。地方によって味も微妙に違うから楽しめる。ビン入りの水も付いて来る。

ウェスタンスタイル(洋食)
●朝食       料金5Rsから
コーンフレークかトーモロコシスープ
卵2ケ、もしくはベジタブルカツレツ(野菜コロッケ)
トースト2校とバターかジャム
ティーかコーヒー
フルーツ
●昼食及び夕食   料金8Rsほど
スープ
魚かマトンのサンドイッチかマトンカツとライスのいずれか
プディング
コーヒー
フルーツかデザート

駅にて

ホームにて
●軽食(スナック)
食事時になると駅のホームには、サンドイッチ、カツレツ、サモサなど駅弁スタイルで売りに来る。
●チャイ
紅茶は、「チャイー、チャイー」のかけ声高く、片手にヤカン、片手に素炊きのカップを手にして売りに来る。カップー杯が30P。

駅構内にて
●リフレッシュメントルーム
駅にあるレストランでそれなりの食事ができれる。大きな駅にはこういった設備がある。
駅によっては、ベジとノンベジで部屋が分かれていることがある。

       駅の設備
●切符売場(Booking)
発売窓口、予約窓口。各クラスなどによつて分かれている。
●待合室(waiting Room)
ソファーとテーブルその他シャワー室やベッドルームも備えられている事が多い。女性専用の「レディス・ウェイティンクルーム」がある駅もある。
●簡易宿泊所(Retiring Room)
構内にあり、個室が5〜15Rs、ドミトリー(大部屋)が数ルピーでベッドとシャワー室もあり安くて安全である。主要駅のみ。
DelhiMain,New Delhi,Simla,Ahmritsar,Pathankot,Bareilly, DehraDun,Haradwara,Hardoi,Rampur,Najibabad,Jodhpur,Hanvmangarh,Kanpur Central,Allahabad,Lucknow,Varanasi,Ayodhya,Bhatinda,Ludhiana,Ambala Cartt,Faizadad,Bikaner,Jammu Tawi,など
エアコン付きの部屋などもあり、料金は街中のホテルより安いことが多い。

参考文
「ボーダー 国境を越える」の「ナウタンワ」から「ラクノー」まで
「ボンベイ」の「大陸横断列車」  
「ダージリンのトイトレイン」 


「最新のトピック」



運行が始まったばかりのインド初の準高速鉄道で、列車が線路内に立ち入った牛と衝突し、立ち往生した。
この列車バンデバラト・エクスプレスはほぼ国産。最高時速は180キロで、インドで2番目に速い列車を20%上回っている。鉄道当局によると、ニューデリーとバラナシ間の所要時間は従来の14時間から8時間に短縮される。
しかし、日本の9倍もの面積を持つインドでは、線路には、柵などはほとんど無い。したがってその線路を人や牛や羊や象が勝手に渡るため、時々衝突する。
今回は特別の新型列車だったためニュースになったが、普段はそんなことはニュースにはならない。

                           
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