...NOTHIING LIKE THE SUN

1987年発表  ソロ第2作  お薦め度 ★★★☆☆
母の死、そして母性に思いをめぐらす

アルバム紹介 パラダイス&ランチ

レコーディング最中にあった、愛する母親の他界がこのアルバムに大きな影を落としている。
非常に女性的な柔らかいサウンドに包まれており、スティング本来の悪ガキぶりが覆い隠されている。
華やかな曲も含まれてはいるのだが、母や妻の事、つまりは女性について歌われてる作品である。
母親の夢をモチーフにした「ラザラス・ハート」
軍事政権下のチリで夫や息子を奪われた妻や母親を歌った「孤独なダンス」
愛する妻への賛歌である「ウィル・ビー・トゥゲザー」
母性の前にひれ伏す男の事を歌った「シスター・ムーン」
プロポーズ・ソングである「ストレイト・トゥー・マイ・ハート」などなどである。
又、収録曲にひそんでいる人権問題についてのスティングのメッセージにも耳を傾けなくてはなるまい。
必死に生きている人々を歌う事で、その背景にある政治的な物を読みとらせようとしている。
純粋なポップ・アルバムとしても楽しめるが、それだけにとどまらない名作である。
ポリス時代からのファンにとってスティングはロック・ヒーローとして認識されているが、
このアルバムを聴く限りではポップ・スターと呼ぶのが的を得ている様に思う。
サウンド的にもロックというよりはポップスであり、AOR的な音を出している。
愛すべきポップスター・スティングがここに誕生!といった感じでしょうか・・・。

アルバム紹介 ライター:ロジャー

「ブルータートルの夢」に続くソロ第2作。
前作は男性的な厳つさを感じさせる堅めのサウンドに仕上がっていましたが、
今作品は母親の死と前後して制作されたせいか、憂いや喪失感に満ちている、
物悲しく叙情的なムードが作品全体に漂っています。
それに加えて、母親に対する愛情と、彼女の在りし日への憧憬、
といったとても強い想いがこのアルバムを包み込んでいる様にも思います。
シェイクスピア劇の名台詞をタイトルにしてるこの大作は、彼の母親への愛情が、
そのまま柔らかい愛に満ちた音の数々になってこの作品を完成させたかの様ですね。
サウンド面においては非常に柔らかく十分に抑揚された感じを与える作品に仕上がっていると思います。
胸中の高鳴る思いをユックリとユックリと噛み締めながら語っている様で、非常に切なくなります。
それでいてとても艶が有り、彼特有のセックス・アピール(色気)も感じます。
スティングが多くの新しいファンを獲得した初期の傑作アルバですね。
ちなみにこの作品は、”母親と彼女を愛した人たち”に捧げられています。
「ビー・スティル・マイ・ハート」、「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」、
「ゼイ・ダンス・アローン」、「フラジャイル」、「ウィール・ビー・トゥゲザー」、
等々のヒット曲を収録しています。
一番売れたアルバムなのでは?
TV・CMで「ウィール・ビー・トゥゲザー」を歌っていたスティングが印象的でした。
1987年度発表作品。

収録曲
/ THE LAZARUS HEART
/ BE STILL MY BEATING HEART
/ ENGLISHMAN IN NEW YORK
/ HISTORY WILL TEACH US NOTHING
/ THEY DANCE ALONE(GUECA SOLO)
/ FRAGILE
/ WE'LL BE TOGETHER
/ STRAIGHT TO MY HEART
/ ROCK STEADY
/ SISTER MOON
/ LITTLE WING
/ THE SECRET MARRIAGE
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