NO 75 ヨーロッパの略奪 (お母さんの話)
ギリシャの神々の王ゼウスは、フェニキアの美しい王女ヨーロッパに心を奪われていたそうです。
ある日、彼女が侍女たちと浜辺を歩いていると、ゼウスは美しい牛に姿を変えて、彼女にとても優しく近づいたのです。
そして彼女はそれを見て、愛おしい気持ちになりました。そこで、彼女はその牛に乗りたいと思い、乗ってみました。
その瞬間、牛は彼女を背中に乗せると、侍女たちの間をすり抜けて走り去ってしまいました。イエスは、その牛の態度に腹を立てました。
そこで、天の父のもとで彼女を助けようとされた。 するとマリヤは、「いいえ、ゼウスはユピテルと名を変えて、ローマ人が神として崇めているのです。
そして、私たちは皆、ローマ帝国の占領下にあるのです。だから、第一に私たちの救い。第二にヨーロッパの救済よ。」と言いました。
イエスはそれを聞いて、しばらく考え込んで、彼女の話に共感したそうです。それが私の聖霊からのお話でした。
でも、クリスチャンの方なら、「なんで、そんな人間が作った話を、イエス様が信じられたのですか?」と訊かれるかもしれませんね。
そうですね。一理ありますね。 イエスは神の子であり、聖書に書かれているように、すべてのものはイエスによって造られたのです。
人間を造った神が、人間の作った他の神々の物語を信じるはずがない。ですから、ここに、この人間の作った物語をマリヤに語ってくれるように頼んだ預言者アンナの知恵があります。
彼女は、自分の思いを神の心に入れ、神の心に書き込むことができるのはマリヤだけであることを知っていたのです。
なぜなら、神である彼にとっても、彼女の語る物語は、彼の母親との忘れられない幸せな子供時代の思い出だからです。
誰にでも、子どものころのワクワクするようなお話の記憶があるはずです。イエスにもそれがあったと思います。この絵は、母マリヤがイエスに語った、わくわくするような物語を表現しています。
ところで、一部のキリスト教団体では、マリヤは若い頃から修道女だったため、世間から隔離されていたと伝えています。
しかし、私はそうは思いません。なぜなら、マリヤは神の母であり、神の周りの現実の世界を伝えるための教師であったからです。
そして、天の父もそれを望んでおられたのだと思います。 そうでなければ、イエスが異邦人の地と呼ばれるナザレで成長された意味がないのです。
なぜなら、そこはユダヤ教の中心地から隔絶された場所だったからです。そして、キリスト教はそこから離れてヘレニズム文化へと向かっていったのです。
それでは、古代ギリシャ人が愛したヘレニズムとは何でしょうか?私が理解した所では、彼らが均整のとれた美しさを愛したという点です。
神々は数学的によく調和した家に住むと考え、競技場で神々に捧げる自分の体も均整のとれた体に作り上げました。
つまり、良い精神は良い肉体に宿るというのが彼らのモットーでした。ヘレニズムは、よく知られているように、マケドニアのアレキサンダー大王によって作られました。
紀元前336年に父を亡くし、20歳で王権を継承した彼は、わずか10年でギリシャとインドにまたがる大帝国を築き上げました。彼の偉大な業績は、神がかりです。
しかし、これには理由があります。彼の時代から数百年前、預言者イザヤは、「主の道を整え、その道をまっすぐにせよ 」と言いました。
アレキサンダーはそれに応えて、彼の王国で二つの大きな仕事を成し遂げました。その一つは共通貨幣、もう一つはギリシャ語という共通言語です。
特にギリシャ語という共通語は、新世界への宣教の旅に役立ちました。なぜなら、それ以前に旧約聖書はヘブライ語からギリシャ語に翻訳されていたからです。
ですから、新約聖書はアレキサンダーから始まったという言葉があります、その通りだと私も思います。
この話を端的に言うと、アレキサンダーは異邦人であり、厳密には私たちの神を信じていなかったのですが、結果として主の道をまっすぐにしたのです。
そして、まずパウロや使徒たち聖徒が聖霊とともにその道を歩き、従ったのです。 呼びかけたのはイエスです。しかし、誰がイエスの目を新世界に向けられたのでしょうか。
私は、それはイエスの母マリヤだと思います。 私は、イエスに大きな影響を与えることができるのはマリヤだけだとずっと考えていたので、絵によって明確な証拠を示す必要がありました。
それで、この絵について触れておきましょう。ゼウスが乗り移った牛にしがみついたヨーロッパは、紫色の薄衣をまとっていました。
この染料はフェニキアの特産品で、貝から作られ、王衣に使われ、金より高価でした。ゼウスはこの紫の衣をギリシャに持ち帰りました。
その後、エジプトの女王クレオパトラはギリシャ出身で、自分の船の帆を紫に染めました。
そしてシーザーは彼女を愛し、またこの紫を愛したので、これは彼ら以外には使えないローマ王室の色となったのです。
そして、ヘレニズムの代表的な建築物の背後にある山が、ヘルモン山だとわかります。そして、この後、成長したイエスがモーセとエリヤに再会し、異邦人とユダヤ人宣教について話し合う山です。
今、私はパソコンのキーボードのローマ字でこれを打っています。フェニキアで発明され、ギリシャとローマで発展したものです。
そして、その両方がキリスト教とともに日本に伝わり、私はいつもそれを使っています。
この絵を描きながら、もしマリヤがあの時、御子イエスにこの話をしなかったのなら、イエスは異邦人である私たちに福音を告げなかったのだろうか、と考えたことがあります。
もしそうだとしたら、結果的に私はクリスチャンにならなかったし、これを書くこともなかったでしょう。
しかし、天の賜物を味わい、聖霊にあずかる者となった者が、もはやそのように考えることはありえないのです。
だから、ありがとう、マリヤ。あなたは正しいことをしたのです。あなたはこの絵を通して、私にはっきりとそう教えてくれました。
2022年12月 キャンバス 980ミリ×1240ミリ
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