NO74 ヤコブの誕生(石の如く)
この絵は、聖霊からの私の物語に基づいて描かれました。
ナザレに来てから約一年が過ぎ、神はヨセフとマリヤを祝福され、ヨセフもマリヤを深く愛したので、マリヤは男の子を授かった。
その子はヤコブで、イエスの異父弟である。さて、モーセの律法による清めの日が終わると、マリヤは赤ん坊のヤコブを抱いて、イエスと一緒に家の近くにある小川に行った。
誰もいなかったので、二人は裸で小川につかり、同じ肉からできた者としてお互い恥じることはなかった。そして、イエスはまだ子供であった。
マリヤはイエスに、「この子のお兄さんになる気持ちはどうですか?」と尋ねた。イエスは答えて言われた。
「ボクは、お母さんと、この弟を誇りに思っています。だって、兄になれるなんて、すばらしく幸せです。ありがとう、お母さん。」
しかし、イエスは弟を少しうらやましく思われたようです。なぜなら、母は愛情を込めて赤ん坊のヤコブを世話しているからです。
イエスは母親から少し孤立しているように感じました。マリヤはイエスの表情のわずかな違いを感じ取り、「あなたは強い子でしょ。わたしはあなたを誇りに思うわ。」と言いました。
すると、イエスは誇らしげに答えられた。「はい、そうです。」マリヤは微笑みながら、「あなたは地元の村の誰かと、喧嘩しているのですか?」と尋ねました。
イエスは照れくさそうに「時々ね。でも、しょっちゅうではありません。」マリヤは「あなたは勝ったのですか?」と尋ねました。イエスは「もちろん」と答えました。
マリヤは真剣に「どちらが先に手をだしたの?」と尋ねました。イエスは即座に「どちらが先だろうと、歯向かう者にはボクが勝ちます。」と答えられました。
イエスはそれほど強い子ではありませんでしたが、神の天使たちが、いつもイエスの日常を助けてくれていたのです。その働きは、イエスの公生涯に至るまで続いていたのです。
例えば、ナザレでの最初の宣教のとき、イエスは会堂に入り、預言者イザヤの書を読まれました。皆はそれを聞いて称賛しました。
しかし、イエスは続けて言われた。「あなたがたに言うが、自分の故郷で受け入れられる預言者はいない。」彼がそう言ったのは、ナザレの村人たちが、30年前に自分を身ごもったマリヤを受け入れなかったからです。
そこで、会堂にいた人々はみな、これらのことを聞いて怒りに満ち、立ち上がってイエスを町から追い出し、自分たちの町が建っている丘のふちまでイエスを連れて行き、崖から投げ落とそうとしたのである。
しかし、彼は無事に自分の道を行かれた。神の天使たちが彼を助けたからである。もちろん、悪魔はそれを知っていました。
悪魔は彼を誘惑し、神殿の頂点に立たせ、彼に言った、「もしあなたが神の子なら、ここから身を投げてみなさい。主は御使いたちに命じて、あなたを守らせ、その手であなたを支えさせ、あなたが石に足をぶつけないようにする、と書いてあります。
しかし、イエスは答えて言われた、「『あなたの神である主を試みてはならない』と書かれている。」 そこで、悪魔はイエスから離れたのである。
しかし、マリヤはそれを知ってか知らずか、笑いながら言った。「結構です。よくできました。でも、よく聞いてください。もし、誰かがあなたの右の頬をたたくなら、もう一方の頬もその人に向けなさい。
そして、もし彼が両方の頬を打つなら、あなたは自分を表して、彼を打ちのめすべきです。その者はあなたにとって、とんでもない人だからです。
しかし、もし彼が手を引いたら、あなたはその訳を訊き、彼が後悔しているのなら、すぐに彼を抱きしめるべきです。そうすれば、あなたは本当の友を得ることができます。痛みなしには、誰も人の心を理解することはできません。
だから、あなたは、私たちの弱さに同情できる人の子として、私から生まれてきたのです。私がナザレであなたを身ごもったとき、多くの人が私の頬を叩きました。ある人はニ度、ある人は一度だけ叩きました。
それで、私は多くの友を失いましたが、本当の友人も得ることができました。その人たちのおかげで、私たちはここで生きていけるのです。」
するとイエスはそれを聞いて、「お母さん、その話はとても悲しいです。それはボクのせいではありません、あなたは正しいことをしたのですから。だから、ボクは彼らを許さない。絶対に!」
と言って、母の前で涙を流されました。 すると、マリヤは彼に言いました。「それを聞いてとてもうれしいです。でも、決してあわれみを忘れないでください。」
そして、二人は互いの腕の中で抱き合って泣いたのです。その瞬間、イエスは母の温もりの中で、少しだけ勝利を感じられたのです。なぜなら、その時、お母さんの愛を独り占めしていたヤコブに勝ったからです。
そして、イエスはマリヤの顔を見て、「今なら、あなたを守り抜くことができます。」と言われました。
するとマリヤは、「あなたは、もちろんそれができる強い人です。しかしあの水辺の石をご覧なさい。つるつるしていますね。なぜ、あんなにつるつるしているかわかりますか?あの石は水の流れで上から下へ転がされたからです。
渓流は長い時間をかけて石をなめらかにしていきます。それで、まずあなたも、あの石のようになりなさい。
なぜなら、聖書には、この石は人の手を使わずに山から切り出され、鉄、真鍮、粘土、銀、金でできた各王国を、粉々に砕いたと書いてあるからです。
その石は、誰もいない納屋で人の手を使わず、馬を助産婦にして生まれたあなたですから、あなたは鉄の棒ですべての国々を支配することになると信じています。
そして、ダビデがまだ若く、羊飼いでありながら巨人ゴリアテと戦ったとき、小川の中から五つの滑らかな石を選び、そのうちの一つを取り、それを投げて、ペリシテ人の彼を倒し、イスラエルを勝利に導きました。
彼は、滑らかな石がまっすぐに標的に当たることを知っていたのです。あなたは彼と血のつながりはありませんが、彼はあなたの養父ヨセフの祖先です。
そして、天におられるあなたの父は、彼をとても愛しておられました。そして、私もあなたを身ごもるために、彼から勇気を得たのです。
だから、あなたは神の子であると同時に、この地上においてはダビデの子でもあるのです。そういうことですから、いざというときには、それを水辺に求めて使いなさい。
そうすれば、必ずその石は、あなたを助けてくれるでしょう。また、私たちは海の民あるアセルと、同じ血が流れていることを忘れないでください。」
イエスはマリヤに答えられた。「はい、わかりました。ボクはお母さんの言葉をよく覚えておきます。」
それから時が来て、イエスはガリラヤの海のほとりを歩いておられると、シモンとその兄弟アンデレとが漁師なので、海に網を投げているのを見られた。
そこで、イエスは彼らに言われた。「わたしについて来なさい。わたしがあなたがたを人の群れをとる漁師にしよう。」
彼らはすぐに網を捨てて、イエスに従った。ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネも、イエスに従った。イエスはシモンを見て言われた、「あなたはヨハネの子シモンです。あなたをケパと呼ぶことにします。」(石と訳される)。また、彼らは漁師であり、海の民でもあった。
イエスは母の言葉を思い出されたからである。そしてある場所で、イエスは、ご自身を石に見立てて言われた。「この石の上に落ちる者はだれでも砕かれ、この石が人の上に落ちれば、その人を粉みじんに飛ばしてしまいます。」(マタイ21章−44節)
この絵は、マリヤから生まれたイエスの異父弟で、エルサレム教会の創立メンバーの一人となった次男ヤコブと、人の子であり、山から手を使わずに切り出され、千年王国まであらゆる王国を打ち砕く石であるイエスを表現しています。
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2022 11月 油彩、キャンパス 940mm×1240mm
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