NO 73 マリヤ (全く新しい世界)☆
この絵は、聖霊からの私の物語に基づいて描かれました。
マリヤとイエスがベツレヘムに来てから数年たったとき、神はイエスが一人で長い距離を歩けるようになったのを見て、ヨセフに夢で現れて、
「子供とその母を連れて、彼女の故郷ナザレに行きなさい」と言われた。そこで、翌日、幼子とその母を連れ、ベツレヘムを出てナザレに向かった。
その途中、彼らはエルサレムに立ち寄り、アセル族の預言者アンナに別れの挨拶を言った。その時、アンナはマリヤに言った。
「あなたがいなくなると、とても寂しくなります。でも、この子がすくすく育ってくれて、私は幸せです。だから、どうかこの子を私の故郷であるツロに行かせてください。
その途中には、あなたが知っている海が見えますから。そして、異邦人の文化を知るために、海の話を聞かせてあげてください。
あなたの母はアセル族と聞きましたが、あなたとあなたの息子は海の部族であるアセルの血が流れているのですね。私たちは仲間を失い、土地を失いました。
その日から、ことばでは言い尽くせないほど、たくさんのことがありました。しかし、神は私と私の目を祝福されました。
多くの預言者や王たちが見たいと願いながら見なかった方を、私は見ることができたからです。私は彼の中に希望を見ることができました。
だから私は、神が私たちの先祖、アブラハムとその子孫に語られたように、神の慈愛を覚えて、私が心から信じている神のしもべイスラエルを助けてくださると言うことができます。
私は、この地に生きている限り、この場所からあなた方のために祈ります。」マリヤはそれを聞いて、その言葉を胸に刻み、「私たちの心はあなたたちと同じです。神様があなたとともにおられるように。」と言った。
それから、ヨセフは妻と子と一緒に、ユダの地を出て、マリヤの故郷であるナザレの町に来て、そこに住んだ。それは、預言者たちが語った「彼はナザレ人と呼ばれるであろう」という言葉が実現するためであった。
彼らが旅の疲れから回復したとき、見よ、主の言葉によってユダから一人の神の人がナザレに来た。そして、その人はマリヤの家の戸口に立って、戸をたたいた。
マリヤがそれを聞いて戸を開けると、見知らぬ人が戸口に立って、「神のご加護がありますように」と言った。
彼は「主はアンナの祈りを聞いて、彼女の故郷を案内するために私を遣わしてくださったのです。それで、入ってもいいですか?」と言った。
マリヤは「もちろんです。どうぞお入りください。」と彼を家に招き入れた。その時、ヨセフはイエスと一緒に家にいて、御言葉を信じた。
だから、イエスに言った。「主はレバノンの香りがお好きです。神殿の最も聖なる場所はレバノンの杉の木で造られ、あなたの揺りかごもそうだったからです。
さらに、預言者はあなたについて、その枝は広がり、その美しさはオリーブの木のようになり、その匂いはレバノンのようになると言った。だから、行きなさい!神はあなたたちとともにおられます。」
それで、彼らはガリラヤの山を越えて、かつてアセルの地であったツロに向かい、その途中、セフォリスという町を通った。
そのあたりは異邦人の地と呼ばれている。だから、その途中には、ギリシャの神殿、門、像、記念碑がたくさんあった。すると、イエスはそれを見て、マリヤに 「彼らには物語があるのですか? 」と聞かれた。
マリヤは 「あるわよ。」と答え、自分の知っているギリシャの神々の話をいろいろと話した。
そうして日が暮れると、神の人はある家に行って、後ろに立っているマリヤとイエスを示されて言った。「一晩、部屋を貸していただけませんか。主がお入用なのです。」
すると、その家の主人は、快く部屋と夕食を提供してくれた。それで、彼らはその夜、一つのベッドでよく休むことができた。そして、その人は、夜通しドアのそばで、まどろむことも眠ることもなく、彼らを守っていた。
そして、次の日、フェニキアに入った。正午頃になって、二人は海の近くに着いた。そのときマリヤは、アンナの願いと、その地がフェニキアであったことから、この物語を選んだ。
なぜなら、この物語は、他の神々の行いに比べて、自分が神から受けた祝福がいかに偉大なものであったかを物語っていると思ったからである。
それゆえ、彼女は、このちょっとした刺激的な物語が、幼いながらも御霊の実を結ぶ御子にとって良いものだと考えた。そして、彼女は慎重に言葉を選んで語り始めた。
「昔、天にゼウスという神々の王が住んでいたのよ。彼はヘラという妻を持ちながら、地上の美女を愛していました。
ある日、彼は天からヨーロッパという美しい少女を見たの。彼女はフェニキアの王の娘でした。そして、彼は彼女に一目惚れしてしまったの。
そこで、いつものように、早く彼女を手に入れたいと強く願うようになったの。そして、彼女を手に入れるための計画を立て、実行したよ。
翌朝、彼女が侍女たちと砂浜に出かけると、ゼウスは美しい牛に姿を変えて、とても優しく彼女に近づいたの。娘はその牛の愛らしさを見て、彼女に乗ってみたいと思い、そうしたの。
その瞬間、牛は彼女を背中に乗せて、侍女たちの間をすり抜けて走り、つむじ風に吹かれながら海を越えて行ってしまったのよ。」とマリヤが話していると、ちょうど浜辺に着いたところであった。
すると、イエスは目の前に広がる広大な海を見て、大声で言われた。「なんと大きいのだろう。この海だ! この海だ!」と言って、そこら中を飛び跳ねられた。
そして、興奮してマリヤに尋ねた。「次はどうなったの?お母さん?」 マリヤは答えて言った、「彼らはクレタ島と呼ばれる島に到着しました。彼らの話によると、ゼウスは元の自分に戻り、神々の王として彼女の前に現れたの。
そして、彼女を自分の思うままに奪い、愛のない息子を得たのよ。その子の名はミノス。黄泉の国ハデスの裁判官なの。」イエスは深いため息をついて言われた。
「なんという神だろう。このような神々の王を拝むなんて、なんと哀れな人々だろう。そして、もっと哀れなのは、愛のない裁判官から裁きを受けた人々だ。ボクは天の父と一緒に彼女を助けてあげるよ。」
するとマリヤは、「いいえ、ゼウスはユピテルと名前を変えて、今はローマ人が神として崇めているのよ。それに、私たちは今、ローマに支配されているのよ。
だから、まず、第一に私たちの救い。次にヨーロッパの救済でしょ。天の父上は、ギリシャ語を上手に話せる人を拾い上げてくださいますよ。ローマの神もギリシャ語を話しますからね。」
それを聞いて、イエスはしばらく考えておられた。すると見よ、モーセが天の雲に乗って現れ、またエリヤも、天でつむじ風を起こしながら火の馬が引く火の車に乗って現れた。
そして、彼らはイエスに言った。「人の子よ。このことについては、また別の日に、あなたの声を聞くことにしよう。」そして、彼らは天に昇って行った。
イエスはこの出来事に驚かれた。そしてマリヤに尋ねられた。 「彼らは誰ですか?」 マリヤは気がつくと、イエスに近づき、小さな声で言った。
「彼らはモーセとエリヤです。二人とも私たちの偉大な預言者です。モーセは私たちの民をエジプトから救ってくれたの。
エジプト軍が彼らのすぐ後ろにいたとき、荒れ狂う海が彼らの前に迫っていたの。その時、モーセは手を海の上に伸ばして、それを分けたよ。
そして、イスラエルの民は海の真ん中を乾いた地面を進んで行ったの。神による偉大な奇跡だわ。だから、彼は今も偉大な指導者なのよ。
そしてエリヤはキションの小川でたくさんのバアルの預言者たちをたおしたのよ。彼は異邦人の神との戦いに勝ったの。だから、彼は今までも帰ってくることが期待されている偉大な戦士なのよ。
そして、この道は、彼が歩んだ道なの。彼は誠に神に仕える人だわ。今、彼らがあなたを『人の子』と呼んだのは私のせいです。しかし、あなたは神の子であり、私はそれを信じています。」
そこで、イエスは自分に言われた。「彼らのために、ボクは何をしたらよいのだろう?」マリヤは彼に答えた。「今はまだ何もありません。しかし、あなたは彼らの本に書かれている、御ことばについて学ばなければなりませんよ。」
すると神の人が近づいてきて言った。「主よ、私たちは、神がお決めになる時まで、あなた方をお守りします。」
彼がそう言ったのは、聖書で語られている「主は御使いたちにあなたがたをつかさどり、あなたがたのすべての道を守らせるからである。」が成就するためである。
マリヤはそれを聞いて、イエスに言った。「イエス、今起きた出来事は、私たちだけのことにしておきましょう。」マリヤはこのことをヨセフに告げず、心の中にしまっておいた。
そして、二人がまだ話し込んでいると、一匹の子犬が現れて、喜んで彼について行った。そこでイエスはマリヤに、「お母さん、この犬に食べさせるパン切れをください。」と頼まれた。
しかし、彼女は言った、 「いいえ!イエス、犬と一緒のイスラエル人はいません。犬は犬を食べます。だから、決して野良犬に餌を与えてはいけません。」
しかし、イエスはそれを気の毒に思い、「この子はお腹を空かせているみたいだし、いいでしょう?」と言われた。しかし、 マリヤは「絶対ダメ!」と言いました。イエスはまた言われた。「なぜ?」
マリヤは平然と言った。「だって、あなたのお母さんがそう言うからですよ。」イエスは頭を振ってマリヤに言われた。「わかった、わかったよ。」 そして、犬のほうを向いて言われた。
「かわいそうな子犬。本当にごめんね。ボクはまだあなたを助けることができないし、ましてやヨーロッパやイスラエルさえも助けることができないのだよ。でも、もしあなたがお行儀よくしていたら、ボクはここに戻ってきて助けてあげるよ。」
そしてしばらくして、「喉が渇いた。」と言われた。そこでマリヤが「ほら、目の前にたくさんの水がありますよ。」と言うと、イエスは「いいですか?」と言われた。
マリヤは 「少し舐めてみて。」と言った。すると彼は顔をしかめて言われた。「なんて水だ。塩辛くて飲めないよ!」マリヤは「その通りです。海の水は塩辛くて飲めません。これはあなたのための水です。」
マリヤは皮袋に入れた水をイエスに渡した。イエスはそれを飲んで、「真水は美味い!塩は塩辛いからいらないよ。」と言われました。
マリヤはそれを聞いて言った、「でも、あなたはまた渇くでしょう。ある時、ある都では水が悪く、土地も悪く病人も多かったのです。
そこで、エリヤの弟子エリシャは、その水の泉に塩を投げ入れました。すると、主が言われたように水はいやされ、そこからもう死も病人も無くなったのよ。
それに、もし塩が塩気を失ったら、どうやって味付けをするのですか。ですから、よい主婦は塩の上手な使い手なのです。
そして、塩がお金になることもあります。だから、誰もが生きていくために必要なのですよ。もし、あなたが偉大な指導者になりたいのなら、天で味付けされた塩を持ち、また、あなた自身の中に渇くことのない水を持ちなさい。
それは、天の父から与えられるものです。あなたにはそれができると信じています。そして、誰もがあなたについていくでしょう。」
そして、マリヤは目を閉じて、心の内に言った。「初め、世界が生まれる前、闇が深淵の面にありました。そして神の霊が水の面を動きました。
神であるあなたは、私にその御霊を遣わされ、それによって彼を形づくり、そして彼はわたしから生まれました。
それゆえ、彼は世が存在する前から、あなたとともにいたのです。そして今、あなたは彼とともに地のすべての面を新たにされます。」
そして、マリヤは顔を上げて言った。「天のお父さま、ありがとうございます。あなたはとても世を愛され、私を通して独り子をお与えになったからです。見て、イエス! 海の向こうには、全く新しい世界が広がっていますよ。」
この絵は、キリスト教がユダヤ教を基礎とし、ヘレニズムの影響を受けたガリラヤの異邦人の地で芽生え、さらに海を越えて全世界へと広がって行くことを表しています。
2022年9月 キャンバス 980ミリ×1240ミリ
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