☆NO 63 マリヤとマルタ
さて、彼らが旅を続けているうち、イエスがエルサレムから近いベタニヤに入ると、マルタという女が喜んでイエスを家に迎え入れた。
彼女にはマリヤという妹がいたが、マリヤは女の月のものがあって一人で部屋で休んでいた。
イエスが入ってきて心配すると、彼女はこう言った。「主よ、なぜ女には月のものがあるのですか?私にはうっとうしくてたまりません。
男の人のように毎日自由に動けたらどんなに幸せでしょう。」イエスは答えて彼女に言った。
「マリヤ、よく聞きなさい。男にも週一日の安息日がありますが、女には加えて女の安息日があるのです。
その日は、天の父と共にいるために静まる日です。誰もそれを咎めることはできません。
例えば、ヤコブの妻ラケルが夫と共に父ラバンの家から逃げ出すとき、彼女は父のテラフィムを持ち出して、それをラクダの鞍の下に隠しました。
ラバンが追って来たとき、ラケルはその上に座って、お父さん、私は女の常のものがあるので立ち上がれません、と言いましたが、父ラバンはそれを聞いても、疑いもせず、何も咎めませんでした。
彼もまた、ヤコブの父の神、またアブラハムの神の技を恐れていたのです。
そして、アダムの妻エバは最初の子カインを生んだ時、私は主によってひとりの男子を得た、と言いました。
女の胎を開くのも閉じるのも神なのです。 それを軽んじてはいけません。」
そこへ、マルタが入ってきてイエスにこう言った。
「主よ、妹が私にだけにおもてなしをさせているのを何ともお思いにならないのでしょうか?私に手伝いをするように妹におっしゃって下さい。」
イエスは答えて彼女に言った。「マルタ、マルタ、あなたはいろいろなことを心配して気を遣っています。
しかし、どうしても必要なことはわずかです。いや、ひとつだけです。マリヤは良い方を選んだので、彼女からそれを取り上げてはいけません。」
マリヤはそれを聞いて心の動揺を感じ、胸の内に言った。
「ああ、もし、この方が私の母の乳房を吸った弟ラザロのようであったなら、私が外であなたに出会い、この方に口づけしても、
だれも私をさげすまないでしょうに。
私を封印のようにあなたの唇の上に、
封印のようにあなたの胸につけてください。
愛は死のように強く、ねたみは黄泉のように激しいからです。
その炎は火の炎、すさまじい炎です。
大水もその愛を消すことができません。
どうか、主が私の胎を祝福してくださいますように。」
マリヤにもマルタにも夫はいなかったが、二人とも淋しくはなかった。
二人とも若くて美しく、彼女たちを愛する男たちがたくさんいたからである。
しかし、マリヤは今日初めて会ったイエスが他のどの男とも違うことを感じていた。目を閉じて彼女が手を伸ばすと、イエスの手に触れた。
その瞬間、たとえようもない力がその手を通して彼女の体に伝わってきた。彼女はその力が伝わった時、出血が止まったことが分かった。
この絵はルカの福音書10章を基に、イエスとベタニヤのマリヤ、マルタ姉妹との出会いを、精霊の導いた部分を補足して描いてみました。
2021年4月 キャンバス 983ミリ×1240ミリ
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