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中経出版 1,470円 (税込)
ISBN: 480612205X (2005/04)
おすすめランク★★★★☆
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著者はトヨタ自動車で17年勤務された方。
その多くを秘書担当として過した経験を元に、自分が実際に見た役員たちがどういう行動を取っていたかを、紹介した一冊。
仕事ができるといわれる人が、どのようにして物事の核心部分を的確にキャッチして処理いるのかを、いろいろな事例で紹介している。
工場で落ちていたネジ一本から、設備点検の指示をだした役員の危機管理能力や、TODOの活用によるオン・オフの上手な切り替えなど、自動車メーカーに勤務していた自分の経験もありフンフンとうなずきながら読んだ。
自分のビジネススキルを向上させるには、本人の資質や努力が重要だが、それと同時にできる人の仕事の進め方を間近で見るというのも有効な方法である。
当然、見ているだけでは何にもならないが、「ああ、この人はこういう判断で仕事を進めているのか!」と自分の琴線に引っかかるものがあればしめたもの。
まずは、身近な仕事のできる人をまねて、自分のものにしていくという方法は、仕事のテクニック本でよく紹介されているので、それなりに有効な手法だと思う。
実際、わたしも数週間の付き合いだったが、新入社員で情報システム部に配属されたばかりの時に教育係で面倒を見ていただいた方から受けた影響は大きかった。
仕事ができる方だったのだが、ちょうどわたしが職場に配属を受けたときに、その方はヨーロッパへ転勤が決まっており、その準備期間でヒマがあったのだろう。
わたしにとって運良く、新入社員の面倒を転勤まで見てくれることになったのだった。
実際に参考になる上司や先輩に恵まれた人は、お手本が目の前にあるので、仕事術をドンドン盗んでいけばいいが、残念ながら、どうしようもないオジサンしか職場にいない人は、こうした本を参考したら良いのではと思う。
いわゆる役員や社長経験者ではなく「元社員」の書いた本なので、本人が経験した分野に限られている。
加えて、退職しても守秘義務があるので、どうしてもぼかした内容なのだが、そこは想像力をはたらかせて、自分の置かれた立場に当てはめて読んでほしい。
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