戸川昌子 作品リスト(仮作成版)

戸田和光 編


本リストについて

 例によってお断りしておくと、私は戸川のよき読者ではない。そんな人間が、ちょっと気になることがあって、戸川作品を確認しようとしたとき、余りの複雑怪奇さに混乱してしまったので、心覚えを兼ねて、整理してみたリストに過ぎないことをお断りしておく。

 いや、長編にしても、短編にしても、ここまで複雑だとは全く予想していなかったのだ。恐らく、戸川ファンの人には常識的な話なのだと思うが、今後、戸川作品を読もうと思った人には多少は参考になるかも、とは思っている。つまりは、初心者による初心者のためのリスト、とお考えいただきたい。

 そういった訳で、いつも以上にお粗末なリストになってしまったけれど、ミスや情報等がありましたら、ご指摘ください。


戸川昌子 著書リスト

書名改題区分出版社出版年月文庫
大いなる幻影 長編 講談社 1962年9月 角川
猟人日記 長編 講談社 1963年8月 角川
闇の中から 短編 講談社 1964年3月
女人白道 長編 サンケイ新聞出版局 1965年12月 徳間
契らずに 長編 集英社 1965年12月
蒼ざめた肌 長編 文芸春秋新社 1965年12月 徳間
白昼の密漁 長編 講談社 1966年5月 講談
仮装行列 長編 講談社 1967年3月 徳間
深い失速 長編 講談社 1967年6月 徳間
銀座「どん底」附近 長編 文芸春秋 1967年6月 徳間
蜃気楼の帯 長編 読売新聞社 1967年7月 講談
夜の交差点 男と女がいる町 短編 東京文芸社 1967年7月
揺れる女 短編 講談社 1967年11月
蜜の味 短編 東京文芸社 1968年2月
夜のパスポート 連作 講談社 1968年3月
裂けた眠り 短編 新潮社 1968年5月
もっと声を! 処刑台の祭り 長編 新潮社 1968年10月 光文
赤い暈 長編 新潮社 1969年1月 徳間
火の脈 短編 東京文芸社 1969年1月
蒼い蛇 蒼い蛇 上 (処女を待つ罠) 長編 徳間書店 1969年1月
仮面の性 短編 東京文芸社 1969年2月
夢魔 長編 講談社 1969年3月 徳間
夜の爪痕 短編 東京文芸社 1969年3月
黄金の指 短編 東京文芸社 1969年4月
壁の恋 短編 東京文芸社 1969年5月
見知らぬ伴侶 短編 東京文芸社 1969年6月
悪魔のような女 短編 講談社 1969年8月
青い部屋の中で 連作 文芸春秋 1969年8月
蒼い蛇〈続〉 蒼い蛇 下 (白夜の懐胎式) 長編 徳間書店 1969年9月
狩りの時刻 長編 講談社 1970年2月 徳間
蒼き裸者の群れ 短編 徳間書店 1970年3月
幻影の牙 長編 サンケイ新聞社出版局 1970年9月 徳間
赤い爪痕 長編 徳間書店 1970年12月
聖女 短編 講談社 1971年2月
日本毒婦伝 悪女の真実 短編 講談社 1971年4月 双葉
透明女 長編 光文社 1971年12月 徳間
強制結婚 連作 徳間書店 1972年2月
東西妖婦伝 短編 集英社 1972年4月
水の寝棺 短編 講談社 1972年10月
牝の罠 長編 徳間書店 1972年10月
欲望の鎮魂歌 長編 実業之日本社 1973年9月 徳間
美しき獲物たち 長編 文芸春秋 1974年4月 徳間
負け犬 短編 東京文芸社 1974年11月
肉の復活 短編 平安書店 1974年11月
冷えた炎の如く 短編 ペップ出版 1975年12月 徳間
金曜日の誘惑 長編 講談社 1976年12月
華やかなる氷河 長編 光文社 1977年4月 光文
蒼い悪霊 私がふたりいる 長編 徳間書店 1977年8月 光文
虹色の噴水 長編 東京文芸社 1977年8月
太陽の生贄 霊色(※収録作品に一部変更あり) 短編 双葉社 1978年3月 双葉
ブラック・ハネムーン 短編 双葉社 1980年5月 双葉
幻影家族 長編 講談社 1982年11月
深海怪物の饗宴 長編 徳間書店 1983年8月 徳間
火の接吻 長編 講談社 1984年9月 扶桑
緋の堕胎 短編 双葉社 1986年1月 ☆☆
嬬恋木乃伊 短編 徳間書店 1987年8月 ☆☆
静かな哄笑 短編 光文社 1988年6月 ☆☆
黄色い吸血鬼 短編 出版芸術社 1997年9月
蜘蛛の巣の中で 再編 青谷舎 2000年2月
戸川昌子(昭和の短篇一人一冊集成) 再編 未知谷 2008年4月
緋の堕胎 再編 筑摩書房 2018年10月 ☆☆
くらげ色の蜜月 短編 竹書房 2020年9月 ☆☆
ソドムの罠 戸川昌子傑作シリーズ 第1 講談社 1965年12月
緋の堕胎 戸川昌子傑作シリーズ 第2 講談社 1966年1月
赤坂禁猟区 戸川昌子傑作シリーズ 第3 講談社 1966年2月
猟人日記 戸川昌子傑作シリーズ 第4 講談社 1966年3月

 21世紀に入って刊行されたもののみを“再編”(再編集短編集)としており、実際に、再編集と云えるのはこれだけだが、その他の短編集も、重複収録が実に多いのが戸川作品の特徴かも知れない。そんな中では、東京文芸社から刊行された短編集が、比較的オリジナル収録されているようだが、それも絶対でなく、全作品を読もうと思ったら、重複覚悟で、これらを集めるしかなさそうだ。一方で、短編集に未収録の作品もあるようだから、個人的には重複収録するくらいなら、そちらを収めれば良かったのに――と思ったりもしてしまうが、これは、書誌マニアの寝言なのだろう。

 ラストに並べた“戸川昌子傑作シリーズ”は、短編集としては初期のもので、本来は正規に並べるべきかも知れないが、収録短編は、その後他の短編集に殆ど再録されていることもあり、これを残すとかえって分かりにくくなるかも、と判断して別枠にした(ただ、一編のみ、このシリーズでしか読めない短編があるようだが)。ご注意いただきたい。
 注意といえば、このシリーズ中に『緋の堕胎』という本があるが、この収録作は、後に刊行される同題の短編集とは全く収録作が異なる(「緋の堕胎」という短編が収録されていることが共通しているだけだ)。こんな点にも、戸川本のややこしさの一つを見ることができるかも知れない。

 区分の“連作”は、書誌を作成する都合で記載した。『夜のパスポート』と『強制結婚』は、一般には長編とされるのかも知れないが、連載とはいいにくいと思ったため、敢えてこの表記としている。ご了解いただきたい。

 また、文庫の項は、最初に文庫化された出版社を示した。“☆☆”は文庫オリジナル(文庫しか存在しない)を指す。従って、ここが空欄なのは、文庫化されていないことを示している。

 なお、『太陽の生贄』から『霊色』への文庫化にあたり、2作品が割愛され1作品が新たに収録されている。短編リストの記載で分かるかと思うが、如何だろうか。


戸川昌子 長編リスト

書名初出誌紙連載開始年月日連載終了年月日初出タイトル(備考)
大いなる幻影 書き下ろし
猟人日記 書き下ろし
女人白道 週刊サンケイ 1964年9月28日 1965年3月29日
契らずに 女性セブン 1965年2月1日 1965年8月14日
蒼ざめた肌 オール読物 1965年9月 1965年12月
白昼の密漁 週刊現代 1965年6月17日 1965年12月23日
仮装行列 婦人倶楽部 1966年3月 1966年12月
深い失速 1966年4月 1967年3月
銀座「どん底」附近 週刊文春 1965年11月25日 1966年11月21日
蜃気楼の帯 書き下ろし
もっと声を! 高知新聞(夕刊) 1967年6月25日 1968年1月12日
赤い暈 週刊新潮 1967年7月8日 1968年5月18日
蒼い蛇 アサヒ芸能 1968年4月14日 1968年12月8日
夢魔 週刊現代 1968年1月4日 1968年11月14日
蒼い蛇〈続〉 アサヒ芸能 1968年12月15日 1969年8月7日
狩りの時刻 ヤングレディ 1969年1月1日 1969年10月6日
幻影の牙 週刊サンケイ 1969年10月6日 1970年7月13日
赤い爪痕 平凡パンチ 1970年1月5日 1970年9月21日
透明女 週刊F6セブン 1967年4月29日 1967年10月28日 幻の女
小説宝石 1970年1月 1971年5月
牝の罠 アサヒ芸能 1971年1月7日 1971年10月21日
欲望の鎮魂歌 週刊小説 1973年2月2日 1973年3月30日
美しき獲物たち 週刊文春 1973年7月2日 1973年12月24日
金曜日の誘惑 日刊ゲンダイ 1975年10月31日 1976年6月5日
華やかなる氷河 主婦と生活 1967年4月 1968年3月
蒼い悪霊 週刊平凡 1975年1月9日 1975年12月8日 私がふたりいる
虹色の噴水
幻影家族 スポーツニッポン 1979年11月1日 1980年4月30日 華々しい関係
深海怪物の饗宴 週刊現代 1971/1/1 1971/12/23 深海動物
火の接吻 書き下ろし

 思っていたよりも書き下ろしが少ないのが興味深いところだ。昭和50年代以降の執筆が少なかったせいもあるだろうが、むしろ、デビュー直後に書き下ろしが少ない方が珍しいような気もする。
 『透明女』が分かりにくいかも知れないが、「幻の女」のタイトルで《週刊F6セブン》に連載されていたが、雑誌の休刊に伴って中絶となったものが、改めて「透明女」という題で《小説宝石》に連載され、そのまま刊行された――というつもりでの記載である。例によって、「幻の女」と「透明女」のテキストを比較していないので、この判断がどこまで正しいか分からないが、書誌的な情報としては、それなりに意味はあると思っている。
 『虹色の噴水』の初出が分からなかった。その他の状況から見て、書き下ろしではないと思っているし、戸川の場合、連載終了から本になるまで、時間がかかることもあるので、すぐに分からなければ、特定は容易ではない。とりあえず、諦めこの状態で公にしてみる。

 いろいろな媒体に執筆しているのが面白いところだ。

戸川昌子 短編リスト

作品名初出題収録誌紙掲載年月連載終了年月収録短編集備考
恐怖 別冊週刊漫画 1962年10月16日
もう一度どうぞ 週刊現代 1962年10月21日 夜の爪痕
節穴 別冊週刊漫画 1962年11月20日 見知らぬ伴侶
視線 宝石 1962年12月 夜の爪痕
黒のステージ 美しい女性 1962年12月 闇の中から
通報者 別冊小説新潮 1963年1月 夜の爪痕
私は知らない 増刊婦人公論 1963年1月
違ってる エロティック・ミステリ 1963年4月 見知らぬ伴侶
沈丁花のかげに 中学二年コース 1963年4月
鴨と葱 漫画文芸 1963年5月 壁の恋
闇の中から 宝石 1963年9月 夜の爪痕
歪んだ目撃 高2コース 1963年9月
魔王の母親 宝石 1963年11月
ソドムの罠 週刊現代 1963年11月14日 1963年12月26日 夜の爪痕
赤坂禁猟区 週刊サンケイ 1963年12月9日 見知らぬ伴侶
2カラットの報酬 センス 1963年12月
こんな女 オール読物 1964年1月 黄金の指
男性ジンマシン 漫画読本 1964年1月
サンフランシスコの女 センス 1964年1月
失われた恋 週刊女性 1964年1月22日
ルポワ氏の冒険 別冊宝石 1964年2月 黄金の指
金色のストリッパー センス 1964年2月
砂に書いたラブ・レター 別冊小説新潮 1964年4月 壁の恋
雪どけ 宝石 1964年4月 壁の恋
吹溜り 小説現代 1964年4月 壁の恋
金色の鬘 週刊文春 1964年4月27日 壁の恋
ある女優 女性自身 1964年5月25日 壁の恋
殻が割れた オール読物 1964年7月 黄金の指
二重の罠 仕組まれた罠 週刊現代 1964年7月16日 黄金の指
切られた指と手袋 漫画読本 1964年8月
緋の堕胎 オール読物 1964年11月 裂けた眠り/緋の堕胎(双)
疑惑のしるし 週刊現代 1964年11月5日 黄金の指
骨の色 小説新潮 1964年12月 壁の恋
底の翳 小説現代 1965年1月 揺れる女
婚約発表 週刊女性 1965年3月3日
ダンケ・シェン 小説現代 1965年4月 壁の恋
燃焼の記 小説新潮 1965年4月 壁の恋
みにくいあひる ヤングレディ 1965年4月5日 壁の恋
パリ野郎 オール読物 1965年5月 見知らぬ伴侶
左手のための協奏曲 小説現代 1965年7月 黄金の指
白い密林 小説現代 1965年9月 黄金の指
陥穽 週刊サンケイ 1965年9月20日 見知らぬ伴侶
形見わけ 別冊小説新潮 1965年10月 夜の爪痕
別離旅行 主婦と生活 1965年10月 ソドムの罠
黒い餞別 小説現代 1965年11月 見知らぬ伴侶
死の猟人 スポーツニッポン(大阪) 1965年11月27日 1965年11月28日
赤か緑か スポーツニッポン(大阪) 1965年12月25日 1965年12月26日
石頭 報知新聞 1966年1月6日
黒い福音 スポーツニッポン(大阪) 1966年1月29日 1966年1月30日
さむけ 小説新潮 1966年2月 裂けた眠り
うたかたの航跡 小説現代 1966年2月 揺れる女
最後の王手 スポーツニッポン(大阪) 1966年2月26日 1966年2月27日
夜の爪痕 小説現代 1966年3月 夜の爪痕
揺れる女 小説現代 1966年5月 揺れる女
ガラスの中の顔 オール読物 1966年5月 仮面の性
結び文 小説新潮 1966年6月 仮面の性
手首の蛇 小説現代 1966年8月 揺れる女
蜜の味 オール読物 1966年10月 蜜の味
欲望果つるところ 週刊新潮 1966年10月1日 蜜の味
渡るべき黒い河 別冊小説現代 1966年10月 裂けた眠り
過ぎゆく艀 婦人生活. 1966年10月 蜜の味
水晶の中の顔 小説現代 1966年11月 揺れる女
夜は暗い 婦人公論 1966年11月 1966年12月 男と女のいる町
苦い夜 (牝の遊戯) アサヒ芸能 1966年11月13日 蜜の味
お月見 毎日新聞 1966年11月27日
天の唾 オール読物 1966年12月 仮面の性
夜の商人 小説新潮 1966年12月 仮面の性
亡霊 女性自身 1966年12月5日
異物 別冊宝石 1967年1月 火の脈
波のなかの目 サンデー毎日 1967年1月1日 1967年1月15日
人妻売春グループを操った男 週刊現代 1967年1月1日 蜜の味
裏切りのバラード プレイボーイ 1967年1月24日 蜜の味
レンズの中の妖精 小説新潮 1967年2月 仮面の性
霧の乳 オール読物 1967年3月 裂けた眠り
芸者和佳奈の儚い抵抗 現代 1967年3月 蜜の味
嫉妬の祭り 小説新潮 1967年4月 揺れる女
白い騎士 女性セブン 1967年5月17日 蜜の味
火の脈 小説新潮 1967年7月 火の脈
暗い鴎 別冊小説現代 1967年7月 揺れる女
罪の輪 別冊宝石 1967年8月
傘が開く 週刊サンケイ 1967年8月21日 蜜の味
毒殺 小説新潮 1967年10月 火の脈
裂けた眠り オール読物 1967年10月 裂けた眠り
氷柱 女性自身 1967年12月11日
くらげ色の蜜月 小説現代 1968年1月 くらげ色の蜜月
揺れる的 オール読物 1968年1月 火の脈
蒼い部屋の中で ヤングレディ 1968年1月1日
騎手 女性自身 1968年1月8日
ウルフなんか怖くない 小説新潮 1968年2月 くらげ色の蜜月
夜の客 問題小説 1968年2月
夜の乳 小説現代 1968年3月 火の脈
かぶれの痕 オール読物 1968年3月
円卓 別冊文藝春秋 1968年3月 火の脈
変身 オール読物 1968年6月 火の脈
夜光虫 小説セブン 1968年6月 仮面の性
タンブラーの誘惑 小説宝石 1968年6月
仮面の性 小説現代 1968年7月 仮面の性
待ちくたびれた日曜日 別冊女性自身 1968年7月
ローソクがしゃべった 女性自身 1968年7月22日
招いた客 小説新潮 1968年8月 仮面の性
黄金の指 問題小説 1968年8月 黄金の指/蒼き裸者の群れ
鴎が呼ぶ オール読物 1968年9月 くらげ色の蜜月
海より憎しみをこめて 小説セブン 1968年9月 仮面の性
死者の誘い 小説現代 1968年10月 仮面の性
奇妙な快楽 平凡パンチ 1968年10月14日 くらげ色の蜜月
壁の恋 週刊サンケイ 1968年10月21日 壁の恋
蟻の塔 小説新潮 1968年11月 くらげ色の蜜月
大穴 小説エース 1968年11月 太陽の生贄(単行本)
基地の女 小説宝石 1968年12月
隕石の炎 オール読物 1969年1月 くらげ色の蜜月
ハッピー・ソング 小説新潮 1969年1月 太陽の生贄
蝋の肌 週刊サンケイ 1969年1月6日 太陽の生贄
悪魔のような女 小説現代 1969年2月 くらげ色の蜜月
見知らぬ伴侶 小説新潮 1969年3月 見知らぬ伴侶
鋳型の女 問題小説 1969年4月
オレンジ色の鳩 週刊現代 1969年5月8日 太陽の生贄
エスカルゴの味 小説新潮 1969年6月 くらげ色の蜜月
処刑された沈黙 オール読物 1969年7月
リオの死者 小説現代 1969年8月 蒼き裸者の群れ
ニューヨークの亀裂 紐育の亀裂 問題小説 1969年8月 蒼き裸者の群れ
ローマの翳り 問題小説 1969年9月 蒼き裸者の群れ
蜘蛛の糸 小説新潮 1969年10月 くらげ色の蜜月
パリの死刑台 問題小説 1969年10月 蒼き裸者の群れ
告白の傾斜 小説セブン 1969年10月 蒼き裸者の群れ
淵より逃がれて 婦人生活 1969年10月
カーニバルの被写体 リオの被写体 問題小説 1969年11月 蒼き裸者の群れ
冷たい肌 オール読物 1969年11月
乾いた花 小説宝石 1969年11月
蝋人形レストラン 漫画読本 1969年11月 くらげ色の蜜月
蟹のお角 週刊サンケイ 1969年11月21日 1969年12月19日 日本毒婦伝/冷えた炎の如く
高橋お伝の石 小説現代 1970年1月 日本毒婦伝/冷えた炎の如く
猫パーティ 小説新潮 1970年1月 聖女
情事の絵本 pocketパンチOH! 1970年1月 くらげ色の蜜月
雪が降る 日刊スポーツ 1970年1月1日
黄色い吸血鬼 オール読物 1970年3月 聖女/緋の堕胎(双)
集金女 問題小説 1970年3月
白い打楽器 罐詰の女 小説セブン 1970年4月 太陽の生贄
最後の一切れ 小説新潮 1970年5月 聖女
籔の中のあたし 婦人倶楽部 1970年5月
姐妃のお百 小説現代 1970年6月 日本毒婦伝
一粒の豆 話の特集 1970年6月
ゴムの罠 問題小説 1970年7月 太陽の生贄
冷えた炎の如く 週刊ポスト 1970年7月10日 1970年10月9日 東西妖婦伝/冷えた炎の如く
V定期便 オール読物 1970年8月 聖女
蟻の声 オール読物 1970年10月 くらげ色の蜜月
炎の中の魔女 週刊ポスト 1970年10月16日 1970年12月25日 東西妖婦伝
赤い的 小説新潮 1970年11月 くらげ色の蜜月
聖女 小説サンデー毎日 1970年11月 くらげ色の蜜月
夜嵐お絹の毒 小説現代 1970年12月 日本毒婦伝
人形の舟 小説新潮 1971年1月 水の寝棺
千姫狂い髪 小説現代 1971年2月 日本毒婦伝
苦い砂糖 女性自身 1971年2月6日 1971年2月13日
降霊のとき オール読物 1971年4月 水の寝棺/緋の堕胎(双)
眠れる森の醜女 小説現代 1971年5月
小平義雄資料 オール読物 1971年8月
制服の誘い 問題小説 1971年10月
乳色の土壌 小説新潮 1971年11月 水の寝棺
淫女の真実 小説現代 1971年12月 冷えた炎の如く
ツツモタセ オール読物 1972年1月 水の寝棺
肉の復活 小説宝石 1972年2月 肉の復活
亡霊 週刊小説 1972年2月11日 肉の復活
白の恥部 オール読物 1972年5月 水の寝棺
十九番目の女 問題小説 1972年8月 水の寝棺
水の寝棺 小説現代 1972年8月 水の寝棺
負け犬 別冊小説宝石 1972年10月 負け犬
城壁の魔女 小説新潮 1972年11月 負け犬
裂けた鱗 オール読物 1972年12月 負け犬/霊色(文庫版のみ)
塩の羊 小説現代 1973年1月 負け犬/緋の堕胎(双)
モンパルナスの娼婦 問題小説 1973年2月 負け犬
グアムと蚊と亡霊と…… 週刊朝日 1974年1月18日
エスカルゴ体験  週刊ポスト 1974年6月28日
ハワイの幽霊 週刊サンケイ 1974年8月29日
霊色 週刊新潮 1975年5月8日 太陽の生贄
ブラック・ハネムーン 週刊文春 1976年3月18日 ブラック・ハネムーン
嬬恋木乃伊 小説現代 1976年5月 嬬恋木乃伊
女性セブン 1976年6月16日
嗤う衝立 小説現代 1976年10月 緋の堕胎(双)
ある猫のインモラル物語り 推理 1977年2月
怨念の宿 小説宝石 1977年3月 嬬恋木乃伊
太陽の生贄 オール読物 1977年7月 太陽の生贄
恍惚の向う側 野性時代 1977年9月 太陽の生贄
大いなる事実 小説現代 1977年10月
人魚姦図 小説宝石 1978年4月 黄色い吸血鬼
呪詛断崖 小説現代 1978年8月 ブラック・ハネムーン
蜘蛛の巣の中で 婦人公論増刊 1978年11月 ブラック・ハネムーン
怨煙唾下 小説新潮 1979年2月 ブラック・ハネムーン
プールサイドの二重層 オール読物 1979年8月 ブラック・ハネムーン
燃えつきた蔵 小説宝石 1979年9月 嬬恋木乃伊
誘惑者 小説現代 1979年10月 緋の堕胎(双)
情欲の塔 小説宝石 1981年1月 嬬恋木乃伊
擬態子宮 小説宝石 1981年12月 嬬恋木乃伊 横田競との合作
バラと死神 Signature 1982年7月
砂糖菓子の鸚鵡 小説現代 1983年3月 黄色い吸血鬼
シャルロットのクリスマス ミステリマガジン 1987年1月
地獄めぐり 毎日新聞(夕刊) 1987年8月17日 静かな哄笑

 どんな形が一番分かり良いか迷った結果、収録短編集を整理することによって、見やすさを優先することにした。その分、一部データを削ることになったが、ご理解いただきたい。
 ということで、収録短編集から、『蜘蛛の巣の中で』と『戸川昌子(昭和の短篇一人一冊集成)』、『緋の堕胎(ちくま文庫版)』の再編集短編集を削除した。更に、他の短編集との重複掲載が大半を占める、『闇の中から』、『肉の復活』、『静かな哄笑』、『黄色い吸血鬼』と、“戸川昌子傑作シリーズ”の3冊については、その本でしか読めない短編のみを残し、これら以外の短編集でも読める作品については、記述を省いた。そもそもが戸川の著書では末期に刊行されたものが多く、入手も比較的容易かと思うので、ご理解いただきたい。
 また、連作(同じ雑誌に継続して掲載されたもの)は、次の項にまとめた。
 これで、リストとしては、かなり見やすくなったと思う。

 ジュヴナイル(中高生向けに書かれた作品)は、2編しか見当らなかったため、むしろ別にする方が見にくいと思い、このリストにまとめた。ご注意いただきたい。
 思ったよりは単行本未収録のものが多い印象も受けるが、その半数以上は、例によってショートショート(掌編、犯人当てクイズを含む)のようだ。戸川は、著書刊行的に見れば、この当時としては恵まれた方だとは思うが、それでも、長短編に限られていたのだろう。その辺りも垣間見えれば幸いなのだが……。
 なお、2020年9月に刊行された『くらげ色の蜜月』は、『悪魔のような女』の全編と、『聖女』収録の四編、そして、それ以外の3編、という構成となっている。厳密さを求めるなら、丁寧な対応をすべきかも知れないが、ここでは、同書に収録された全作品は、主な収録書を『くらげ色の蜜月』に変えた。最も入手しやすいと思われるためである。ご留意いただきたい。

 「蜘蛛の巣の中で」の初出を、黒田明氏にご教示いただき、とりあえず、初出不明はゼロになった――と思われる。他力本願の結果だが、暫定作成状態は脱したと思うので、仮作成版に修正しておく。
 この教示内容をもとに、どうでもいい雑文を書いてみた。どうでもいい内容だけれど、興味のある方は読んでみてください。→《婦人公論》 の小説特集号

戸川昌子 連作リスト

シリーズ名作品名収録誌掲載年月収録短編集
夜のパスポート キャラバンの女 小説現代 1967年1月 夜のパスポート
火の踊り 1967年2月
紅色の湖 1967年3月
偽りの肌 1967年4月
蒼い空と死 1967年6月
黒い同乗者 1967年7月
闇の流れ 1967年8月
衝立岩の向うに 1967年9月
森の闇 1967年10月
雲の裂け目 1967年11月
白い女神像 1967年12月
青い部屋の中で 欲望の箱 pocketパンチOH! 1968年6月 青い部屋の中で
99の次に来たもの 1968年7月
風のフラメンコ 1968年8月
手術台のメスは鋭く 1968年9月
走れ、メロス 1968年10月
すすり泣く壁画 1968年11月
吊された首 1968年12月
黙ったジューク・ボックス 1969年1月
梨里の手記 1969年2月
悪魔のファッションショー 1969年3月
人形師の娘 1969年4月
蝋人形館のほうへ 1969年5月
強制結婚 二重奏 問題小説 1971年1月 強制結婚
フラメンコの肌 1971年2月
黒い柩 1971年3月
女の鑑別師 1971年4月
金髪水揚げ 1971年5月
ラブ・スクール 1971年6月
魔女の協奏曲 1971年7月
奴隷市 1971年8月
パーティーの辛味 1971年9月
青い交配 1971年11月
男と女のいる町 飢えているとき 家庭全科 1966年1月 男と女のいる町
波立つとき 1966年2月
うつろうとき 1966年3月
待つとき 1966年4月
旅立つとき 1966年5月
知るとき 1966年6月
迷うとき 1966年7月
決心するとき 1966年8月
復讐するとき 1966年9月
目をそむけるとき 1966年10月
悲しみのとき 1966年11月
別れるとき 1966年12月
夜の交差点 女のとびら 平凡パンチ 1964年5月11日 男と女のいる町/見知らぬ伴侶
いたずらの報酬 1964年5月18日
肉体のデッサン 1964年5月25日
ある欲求 1964年6月1日
崩れる 1964年6月8日
喚声のかげで 1964年6月15日
入墨 1964年6月22日
浮気の相手 1964年6月29日
仮面 1964年7月6日
疼き 1964年7月13日
カウンセリングストーリー 大きな溜息 週刊女性 1964年5月6日
二つの顔 1964年5月13日
恋の密告 1964年5月20日
愛の葬式 1964年5月27日
虚栄の報酬 1964年6月3日
恋愛百景 虚栄の代償 週刊平凡 1965年6月10日
狂った計算 1965年7月8日
幸福への復讐 1965年8月5日
接吻までは 1965年9月2日
眩しすぎる…… 1965年9月30日
黒い噂がささやいた 1965年10月28日
さよならは手紙で 1965年11月25日
禁じられた恋 1965年12月23日
会わなければよかった 1966年1月27日
美しい記憶 1966年2月24日

 初出誌欄が空欄のものは、直上のものと同じ、というものである。連作の常で、同じ媒体が並ぶため、むしろ見にくいかと思って削除してみた。
 “カウンセリングストーリー”と“恋愛百景”は、いずれも複数作家によるシリーズである(前者は5回書いて交代、後者は週替わり執筆だったため、掲載間隔が異なるが)。そのためか、書籍未収録のままとなっているようだ。

 こんなリストでも、多少は何らかの参考になると信じて、とりあえず、上げるだけあげました。指摘があれば、随時直して行きます。
 


戻る

戸田和光