笹沢左保 連作リスト(仮作成版)

戸田和光 編


本リストについて

 笹沢リスト、その5である。3冊以上に及ぶ複数冊からなるシリーズものを除いた連作短編のリストである。
 連作短編に具体的な定義はないが、ここでは、原則として同じ媒体に連続して掲載され、そのシリーズだけで本にすることを企図したもの、というくらいの意味で使用している。作品によっては、長編と区別しにくいものもあるが、ここでは、その意味での厳密性は考慮していない。

 並び順は、シリーズ開始の年月順を基本とした。また、シリーズ名は、便宜的に私がふったものもあり、正式に用いられているものとは限らないことをお断りしておく。

 誤記等のお粗末なミスがありましたら、ご指摘ください。


笹沢左保 連作リスト

シリーズ名作品名別題収録誌掲載年月連載終了年月収録短編集
実景旅行小説 見えない黒潮 1965年1月 暗い渚
慕情の旅路・九州横断道路 1965年2月
奥羽路感傷旅行 感傷旅行 1965年3月
ある女優の休日 1965年4月
奄美に住むペンフレンド 1965年5月
奥丹後の岬の玉手箱 岬の玉手箱 1965年6月
私の心を変えた大自然 1965年7月
裏磐梯の妖精 可愛い妖精 1965年8月
夢幻の陸中海岸 夢幻の海岸 1965年9月
恐怖の渦潮 1965年10月
霧の海に消えた男 1965年11月
鬼の眼 1965年12月
股旅シリーズ1 見かえり峠の落日 小説現代 1970年4月 見かえり峠の落日
中山峠に地獄をみた 別冊小説現代 1970年7月
地蔵峠の雨に消える 小説現代 1970年9月
暮坂峠への疾走 1970年11月
鬼首峠に棄てた鈴 1971年1月
股旅シリーズ2 雪に花散る奥州路 オール読物 1971年1月 雪に花散る奥州路
狂女が唄う信州路 1971年4月
木っ端が燃えた上州路 1971年7月
峠に哭いた甲州路 1971年9月
背を陽に向けた房州路 1972年1月 地獄を嗤う日光路
月夜に吼えた遠州路 1972年2月
飛んで火に入る相州路 1972年5月
地獄を嗤う日光路 1972年8月
八州さま異聞 朝霧に消えた男 “闇の四天王”の罠 小説サンデー毎日 1970年12月 朝霧に消えた男
悪魔を見た男 魔性の肌 1971年6月
命を買った男 “雷神”を殺した女 1971年8月
その気になった男 女色の代償 1971年10月
味を覚えた男 甘い餌 1972年2月
犬に裏切られた男 お旗本の秘め事 1972年4月
私説国定忠治 信濃路の流れ雲 増刊中央公論 1971年4月 私説国定忠治
仲秋 赤城の峯 歴史と人物 1971年9月
上州路に秋風が立った 1971年10月
孤影 榛名を越える 1971年11月
仇坂峠に岐路を見る 1971年12月
大戸の関所に消ゆ 1972年1月
海賊船幽霊丸 海神は女を見ていた 小説新潮 1971年11月 海賊船幽霊丸
使者は孤島に消えた 1972年2月
船霊が暗雲を呼んだ 1972年4月
潮流に血が分れた 1972年11月
現代股旅ヤロー 横浜の灯を背中に 問題小説 1972年2月 現代股旅ヤロー
札幌の雪を染めて 1972年3月
神戸の夜に微笑を 1972年4月
長崎に寒い別れを 1972年5月
桜島の遠い孤影に 1972年7月
足摺岬の落日に燃えて 1972年8月
谷川岳の男は遠く 1972年9月
伊豆の浜風に死す 1972年10月
能登の雨が呼んだ 1972年11月
鳥取の砂は重く 1972年12月
脱サラ調査報告 ささやかな反逆の夜 小説サンデー毎日 1972年10月 <未刊行>
鏡の中に見た夜 1973年2月
明日のない夜 1973年4月
夕映えシリーズ 夕映えに明日は消えた 問題小説 1973年2月 夕映えに死す
夕映えはあの日も見た 1973年3月
夕映えに涙が笑った 1973年6月
夕映えの道は遠かった 1973年9月
夕映えが過去を染めた 1973年12月
夕映えに命を売った 1974年2月
夕映えに狼が死んだ 1974年3月
はみ出し刑事 曇り日に影が射す 推理 1973年8月 はみ出し刑事
暑い夜の記録 1973年10月
殺し屋の微笑 小説推理 1974年2月
貝になった女 1974年6月
鬼の女 1974年12月
嘘をつく孤独 1975年2月
沈黙の炎 1975年4月 1975年5月
大江戸火事秘録 ふたり十右衛門 小説新潮 1973年12月 大江戸火事秘録
お情け火盗改め 1974年2月
お救い小屋の淫 1974年4月
二千三百両の草鞋 1974年6月
浅草小町の嘲笑 1974年8月
千代田城の醜女 1974年10月
十四代目の祝言 1974年12月
剣鬼啾々 山の端に残照あり オール讀物 1974年3月 剣鬼啾々
山吹が八重に咲く 1974年5月
第三の秘策 1974年7月
秘剣・酒呑童子 1974年9月
おしどり兵法者 1975年1月
天に唾を吐く 1975年3月
まぼろしの怨念 1975年5月
影法師を斬る 1975年7月
快楽の一瞬を待つ 1975年9月
鬼神の弱点は何処に 1975年11月
さあ目をとじて 死の接吻 小説サンデー毎日 1974年3月 命売ります
死の標的 1974年4月
死の招待 1974年5月
死の醜聞 1974年7月
死の隣人 1974年9月
死の交差 1974年11月
死の視点 1975年1月
江戸女人絵巻 行かず後家 週刊小説 1974年4月12日 江戸女人絵巻
旅の留守 1974年5月10日
小町娘の十手 1974年5月24日
妾の目に涙 1974年6月7日
蚊帳の夜風 1974年6月21日
重箱は売らない 1974年7月19日
初夜の仇討ち 1974年8月2日
流転の果て 1974年8月16日
長屋の心中 1974年9月20日
石女狂乱 1974年12月13日
青春の鎮魂歌 噴煙はわが位牌 問題小説 1974年12月 若き柩
十字架にわが業火 1975年2月
絶唱は海の彼方に 1975年7月
明日こそわが柩 1975年8月
過去に見た終焉 1975年10月
日本遊侠伝 流星を受けとめた男 小説宝石 1975年1月 日本遊侠伝
最後の火に哭いた男 1975年2月
韋駄天に賭けた男 1975年4月
天命に背を向けた男 1975年6月 1975年7月
血槍に哄笑した男 1975年9月
人間・沖田総司 孤剣に悔いあり 小説新潮 1975年3月 剣士燃え尽きて死す
紅梅の匂い哀しく 1975年4月
流血に背を向けて 1975年5月
消えて名も残さず 1975年6月
遙かなりわが友よ 1975年7月
燃え尽きて死す 1975年8月
新大岡政談 嗤つた御落胤 小説新潮 1976年2月 新大岡政談
消えた生き証人 1976年4月
病める人質 1976年7月
怪談行人坂 1976年9月
巾着切の爪 1976年12月
鬼と仏の吟味 1977年4月
石地蔵御用 1977年8月
お裁き剣法 1977年12月
お白洲の貴公子 1978年8月
二人の天一坊 1979年8月
玄白・歌麿浮世調べ 大川端心中 小説宝石 1976年2月 玄白歌麿捕物帳
雪の判じ絵 1976年6月
裏切りの紅梅 1976年8月
酔った養女 1992年1月
街道の柔肌 別冊小説宝石 1992年5月
粗忽な悪人 1992年12月
伝通院の参詣人 1993年5月 地獄の女殺し
怪談を恐れる男 1993年12月
回向院の下屋敷 1994年5月
鬼の仏心 1994年9月
地獄の女殺し 1994年12月
女が登れる木 1995年5月
セブン殺人事件 日本刀殺人事件 週刊小説 1976年10月25日 セブン殺人事件
日曜日殺人事件 1976年11月23日
美容師殺人事件 1977年1月24日
結婚式殺人事件 1977年2月25日
山百合殺人事件 1977年3月18日
用心棒殺人事件 1977年4月22日
放火魔殺人事件 1977年5月27日
若き残酷な風景 とっても殺意 小説現代 1977年2月 衝動ゲーム
とことん心中 1977年3月
ごきげん凶器 1977年6月
ばっちり視線 1977年9月
こんなに愛情 1978年7月
うんざり血痕 1978年12月
家族たちの戦後史 飢餓 オール読物 1977年3月 拳銃
観衆 1977年5月
絶食 1977年7月
祭典 1977年10月
人質 1978年2月
姦淫 1978年8月
拳銃 1976年9月
愛人物語 角度のない坂道 別冊小説新潮 1976年10月 愛人物語
支配された味 オール讀物 1978年11月
骨の行方 1979年1月
逃げた結婚 1979年4月
午後の意地 オール讀物 1979年7月
不明夫妻 1979年10月
一生のお願い 1980年1月
怒りの祝福 1980年8月
直飛脚、走る 火刑 小説宝石 1980年2月 直飛脚、走る
肩の涙 1980年3月
茶壺非情 1980年5月
師の影を踏む 1980年7月
盗賊に燃えた 1980年9月
北国に消える (書き下ろし)
俳人一茶捕物帳 元日の嘘つき 小説宝石 1987年12月 痩蛙の巻
炭火も腹八分 1988年1月
見えた遠眼鏡 1988年2月
悲しき鐘の声 1988年3月
そば屋の裁き 1988年4月
負けるな百文 1988年5月
夕桜に微笑す 1988年6月
女は触れ歩く 1988年7月 明月の巻
美しい娘の肌 1988年8月
名月に鬼の面 1989年6月
秋の夜の盗賊 1989年7月
螢が見ていた 1989年8月
黙って通る人 1989年9月
怒りの年の市 1989年10月
新・一茶捕物帳 遠くの道の泥 野性時代 1991年2月 青い春の雨
大声に罪なし 1991年3月
青い春の雨 1991年4月
虻は一匹なり 1991年5月
菜の花心中 1991年6月
嫉妬して涼風 1991年9月
若竹の後ろ姿 1991年7月 1991年8月 三日月に哭く
問答は秋の空 1991年11月
握りしめた指 1991年12月
三日月に哭く 1992年1月 1992年2月
疫病神捕物帳 人を信じない男 アサヒ芸能 1991年2月21日 1991年3月21日 疫病神捕物帳
黒猫を恐れる女 1991年3月28日 1991年4月25日
幽霊を追った男 1991年5月2日 1991年6月6日
甘い声を出す女 1991年6月13日 1991年7月11日
十両もらった男 1991年7月18日 1991年8月15日
情は役立たず 問題小説 1997年10月 降って来た赤ン坊
身を捨ててこそ 1997年12月
裏白の紺足袋 1998年2月
甘酒盗賊 1998年4月
降って来た赤ン坊 1998年6月
兇人 さらば地獄よ 問題小説 1991年10月 兇人
汚濁の川 1991年12月
血が冷たいか 1992年1月
人生のオモチャ箱 1992年2月
刑事物語 手にはない指紋 問題小説 1993年5月 静かなる刑事
肝臓の不安 1993年9月
偶然という恐怖 1994年7月
赤色の証言 1994年9月
白昼の空白 1994年11月
死者は瓜二つ 1995年3月 真犯人
花の咲く遺言 1995年5月
尻を叩く女 1996年5月
アリバイ成立 1996年10月
死にたがる女 1996年12月
タクシー・ドライバー 神の正体 小説現代 1996年1月 死の追走
悪魔の遺言 1996年4月
不倫宣言 1996年8月
四角い血液 1997年6月
一瞬の誘惑 1998年10月
7.2グラムの遺言 1998年12月
真夜中の飛翔 1999年7月
揺れる親玉 1999年8月
お不動さん絹蔵捕物帖 血染めの情け 小説宝石 1999年5月 お不動さん絹蔵捕物帖
鬼の眼に涙なし 1999年7月
飛び回る短刀 1999年11月
裂けた朧月 1999年12月
殺された幽霊 2000年1月
女に生まれて 2000年4月
定廻り同心 奇怪な恩返し 小説NON 2000年2月 謎解き控
謎の落し物 2000年3月 2000年4月
殺し損・殺され損 2000年5月
姦婦の遺言 2000年9月
無言の美女 2000年12月
抜けば玉散る 2001年1月
殺害の時刻 2002年5月 最後の謎解き
棒手振りが行く 2002年6月
密室 2002年7月

 初出誌欄が空欄のものは、直上のものと同じ、というものである。連作の常で、同じ媒体が並ぶため、むしろ見にくいかと思って削除してみた。同様に、収録短編集は、収録書が変わる場合にのみ記載した。記載がなければ、直上のものと同じである。
 “脱サラ調査報告”の3編は、書籍未収録らしいので、その旨記載した。

 正しくは、それも書くべきなのかも知れないが、個人的に、推理クイズの正解は小説ではないことが多い、という認識があって、敢えてリスト化する際は省いている。ご注意されたい。

 短編リストと見比べると自明だが、昭和40年代後半から、連作短編が増えてきて、それ以降は8割以上は連作短編となっている。これはやはり、出版事情の変化(それまでは、小説雑誌は小説を載せるものだったのが、この頃から、自社から書籍を刊行する前提に小説雑誌に書いてもらうようになった、というもの)のせいだろうか。若干の例外(『夕映えに死す』など)を除けば、雑誌の出版社と書籍の出版社は一致している。

 書籍としての連作として見ると、いろいろと補足しないといけないものもあるが(『海賊船幽霊丸』は、笹沢が4編執筆して中絶していたものを、森村誠一が1編書き加えて、没後に書籍化された――とか、『定廻り同心 最後の謎解き』は、作者が逝去して1冊にするには少なすぎたため、ノンシリーズ短編を収録する等をして、それなりの厚さにした――とか)、あくまでも主眼が書誌の方にあるので、こんな感じであっさりと掲げておきます。


 とりあえず、上げるだけあげますが、随時直して行きます。
 こんなリストでも、多少は何らかの参考になると信じて……。


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