戸田和光 編
梓林太郎リスト、その3の、短編リストである。
随時、その1の著作リストも参照しながら、ご覧いただきたい。
誤記等のお粗末なミスがありましたら、ご指摘ください。
作品名 | 初出題(改題) | 収録誌紙 | 掲載年月 | 連載終了年月 | 収録短編集 |
欠落 | 走行超過 | ||||
終の音 | 走行超過 | ||||
走行超過 | 走行超過 | ||||
白い月 | 走行超過 | ||||
男守り | 走行超過 | ||||
ああ、あの声 | 奇妙な依頼人 | ||||
愛人志願 | 奇妙な依頼人 | ||||
落陽の譜 | 奇妙な依頼人 | ||||
挫折の構図 | 奇妙な依頼人 | ||||
依頼人の策謀 | 奇妙な依頼人 | ||||
逃避行 | 奇妙な依頼人 | ||||
九月の渓で | 小説宝石 | 1980年10月 | 雪渓下の密室 | ||
飛騨泣き | 小説現代 | 1981年7月 | 遭難遺体の告発 | ||
異能の蝶 | 月刊小説 | 1981年11月 | 月光の岩稜 | ||
裾を開ければ | 月刊小説 | 1982年2月 | 月光の岩稜 | ||
裏木曽以来 | 小説現代 | 1983年7月 | 遭難遺体の告発 | ||
遭難遺体の告発 | おロクの告発。改題:岩尾根の告発 | 小説春秋 | 1984年7月 | 遭難遺体の告発 | |
魅惑の性遊戯 | 増刊小説CLUB | 1984年8月 | |||
種の殺意 | 増刊月刊小説 | 1984年10月 | 月光の岩稜 | ||
共犯の沢 | 小説春秋 | 1984年11月 | 遭難遺体の告発 | ||
父にかかる電話 | 小説現代 | 1984年12月 | 月光の岩稜 | ||
笑う名 | 小説春秋 | 1985年2月 | 月光の岩稜 | ||
サンデーヒッピー | 月刊小説 | 1985年5月 | ヒッピー探偵 | ||
断崖の始発 | 書き下ろし | 1985年6月 | 遭難遺体の告発 | ||
呪われた斜面 | 書き下ろし | 1985年6月 | 遭難遺体の告発 | ||
蒼いガレ場 | 書き下ろし | 1985年6月 | 遭難遺体の告発 | ||
佐渡島の殺人 | 土曜の目撃 | 月刊小説 | 1985年8月 | ヒッピー探偵 | |
陰画の構図 | 週刊アサヒゴルフ | 1985年10月1日 | 1985年11月5日 | 陰画の構図 | |
こがね湯の殺人 | 秋の怪談 | 月刊小説 | 1985年11月 | ヒッピー探偵 | |
霧の反旗 | 週刊アサヒゴルフ | 1985年11月12日 | 1985年12月17日 | 冷血の弾道 | |
夜の分岐 | 週刊アサヒゴルフ | 1985年12月24日 | 1986年2月4日 | 陰画の構図 | |
女神集団 | 月刊小説 | 1986年2月 | ヒッピー探偵 | ||
地獄の階段 | 週刊アサヒゴルフ | 1986年2月11日 | 1986年3月18日 | 陰画の構図 | |
無名沢 | 小説現代 | 1986年3月 | アルプス冬物語 | ||
凍った炎 | 週刊アサヒゴルフ | 1986年3月25日 | 1986年4月29日 | 陰画の構図 | |
偽ブランド花ざかり | 偽りの残照 | 月刊小説 | 1986年5月 | ヒッピー探偵 | |
奥又白谷 | 別冊小説宝石 | 1986年5月 | アルプス冬物語 | ||
黒い手帳 | 週刊アサヒゴルフ | 1986年5月6日・13日 | 1986年7月1日 | 冷血の弾道 | |
黄色い仮面 | 週刊アサヒゴルフ | 1986年7月8日 | 1986年8月12日 | 冷血の弾道 | |
真夏のヒロイン | 月刊小説 | 1986年8月 | ヒッピー探偵 | ||
亀裂の源流 | 週刊アサヒゴルフ | 1986年8月19日・26日 | 1986年9月30日 | 冷血の弾道 | |
赤い崩壊地 | 小説春秋 | 1986年10月 | アルプス冬物語 | ||
アルプス冬物語 | 小説春秋 | 1986年12月 | アルプス冬物語 | ||
下山近道 | 下山追走 | 小説春秋 | 1987年3月 | アルプス冬物語 | |
魔性の尾根 | 小説City | 1987年4月 | アルプス冬物語 | ||
雪渓下の密室 | 知ってる者は消せ | 小説春秋 | 1987年5月 | 雪渓下の密室 | |
謀殺の鹿島槍 | 小説NON | 1987年8月 | 雪渓下の密室 | ||
晩夏の気流 | 小説春秋 | 1987年10月 | 雪渓下の密室 | ||
白銀の暗黒 | 小説NON | 1988年4月 | 雪渓下の密室 | ||
霧の崩壊地 | 小説NON | 1988年10月 | 雪渓下の密室 | ||
濁る渓谷 | 問題小説 | 1988年11月 | 雪渓下の密室 | ||
蝶ヶ岳越え | コットン | 1989年3月 | 上高地発殺意の墓標 | ||
山麓の奇跡 | コットン | 1989年6月 | 上高地発殺意の墓標 | ||
絶壁の白い罠 | 小説City | 1989年7月 | 上高地発殺意の墓標 | ||
惨死硫黄岳 | 問題小説 | 1989年7月 | 月光の岩稜 | ||
月光の死槽 | 改題:月光の岩稜 | 小説NON | 1989年7月 | 月光の岩稜 | |
夏寒上高地 | コットン | 1989年9月 | 上高地発殺意の墓標 | ||
山中の奇貨 | コットン | 1989年12月 | 上高地発殺意の墓標 | ||
岩稜の幽鬼 | 小説NON | 1990年1月 | 上高地発殺意の墓標 | ||
凍る沢 | 小説宝石 | 1990年2月 | 黒い岩壁 | ||
雪山の墓穴 | コットン | 1990年3月 | 上高地発殺意の墓標 | ||
赤岳のスプーン | 問題小説 | 1990年7月 | 月光の岩稜 | ||
暗い谷への接近 | 別冊小説宝石 | 1990年9月 | 黒い岩壁 | ||
潜伏 | 小説NON | 1991年1月 | 黒い岩壁 | ||
偽装 | コットン | 1991年1月 | 北アルプス冬の罠 | ||
刺殺 | 小説CLUB | 1991年2月 | 黒い岩壁 | ||
春の弾痕 | 小説City | 1991年4月 | 黒い岩壁 | ||
避難命令 | 別冊小説宝石 | 1991年5月 | 北アルプス冬の罠 | ||
滑落 | コットン | 1991年7月 | 北アルプス冬の罠 | ||
岩稜の記憶 | 小説CLUB | 1991年9月 | 修羅の高峰 | ||
墜死の源流 | コットン | 1991年10月 | 北アルプス冬の罠 | ||
断崖の絵 | 小説City | 1991年11月 | 死化粧山脈 | ||
冬の訪れ | 別冊小説宝石 | 1991年12月 | 北アルプス冬の罠 | ||
弱味 | コットン | 1992年1月 | 北アルプス冬の罠 | ||
氷雨の感染 | 小説CLUB | 1992年2月 | 修羅の高峰 | ||
岩の降る谷 | コットン | 1992年4月 | 死化粧山脈 | ||
雪の蝶 | 別冊小説宝石 | 1992年5月 | 死化粧山脈 | ||
旅さきの女 | 小説NON | 1992年6月 | 死化粧山脈 | ||
霧の墓標 | コットン | 1992年7月 | 死化粧山脈 | ||
高峰の掟 | 小説CLUB | 1992年8月 | 修羅の高峰 | ||
血の雪崩 | 小説City | 1992年11月 | 血の雪崩 | ||
探偵の素行 | 小説NON | 1992年12月 | 血の雪崩 | ||
灯を消す岬 | 別冊小説宝石 | 1992年12月 | 血の雪崩 | ||
転落死の遠景 | 小説City | 1993年1月 | 血の雪崩 | ||
穂高屏風岩 | 小説CLUB | 1993年2月 | 穂高屏風岩 | ||
天狗の壁 | 小説NON | 1993年8月 | 血の雪崩 | ||
鬼の生還 | 小説CLUB | 1993年8月 | 穂高屏風岩 | ||
傘 | 別冊小説宝石 | 1993年9月 | 血の雪崩 | ||
夜の山脈 | 小説CLUB | 1993年11月 | 穂高屏風岩 | ||
松本市裏町 | 別冊小説宝石 | 1993年12月 | 処女山行 | ||
冬の父娘 | 小説NON | 1994年1月 | 処女山行 | ||
仮面の雪山 | 小説CLUB | 1994年3月 | 仮面の雪山 | ||
死後の凶器 | 別冊小説宝石 | 1994年5月 | 処女山行 | ||
幻の避難小屋 | 小説NON | 1994年6月 | 処女山行 | ||
月の女神 | 小説CLUB | 1994年8月 | 仮面の雪山 | ||
処女山行 | 別冊小説宝石 | 1994年9月 | 処女山行 | ||
絶頂の餓鬼 | 小説CLUB | 1994年11月 | 仮面の雪山 | ||
氷の密室 | 小説CLUB | 1995年3月 | 虚線の山 | ||
雪の錦 | 別冊小説宝石 | 1995年5月 | 処女山行 | ||
右岸の林 | 小説NON | 1995年6月 | 処女山行 | ||
虚線の山 | 小説CLUB | 1995年7月 | 虚線の山 | ||
夏の氷雨 | 別冊小説宝石 | 1995年9月 | 北アルプス殺人連峰 | ||
殺人・クリヤ谷 | 小説CLUB | 1996年2月 | 虚線の山 | ||
なぜアイゼンが…… | 別冊小説宝石 | 1996年3月 | 北アルプス殺人連峰 | ||
遠い沢音 | 小説NON | 1996年7月 | 北アルプス殺人連峰 | ||
岩稜の蝶 | 別冊小説宝石 | 1996年9月 | 北アルプス殺人連峰 | ||
霧の弾痕 | 小説NON | 1997年6月 | 北アルプス殺人連峰 | ||
天の配剤 | 文庫のぶんこ | 1997年6月 | |||
迷子の山稜 | 小説宝石 | 1997年8月 | 北アルプス殺人連峰 | ||
山麓の異邦人 | 別冊小説宝石 | 1997年9月 | 北アルプス殺人連峰 | ||
雪を見にきた女 | 小説宝石 | 1998年8月 | 湿原に消えた女 | ||
下山中の事件 | 小説NON | 1998年9月 | 湿原に消えた女 | ||
湿原に消えた女 | 小説NON | 1998年12月 | 湿原に消えた女 | ||
実害なし | 別冊小説宝石 | 1999年5月 | 湿原に消えた女 | ||
白い狙撃者 | 夜の傷口 | 小説NON | 1999年6月 | 湿原に消えた女 | |
灰色の隠れ家 | 小説NON | 2000年10月 | 湿原に消えた女 | ||
傷口書留 | 小説宝石 | 2001年1月 | 湿原に消えた女 | ||
夜の雪渓 | 小説NON | 2001年6月 | 湿原に消えた女 | ||
岩稜の目 | 小説宝石 | 2002年4月 | 常念岳 一ノ沢の死角 | ||
春の血筋 | 小説宝石 | 2003年5月 | 常念岳 一ノ沢の死角 | ||
常念岳 一ノ沢の死角 | 常念岳一ノ沢コース | 小説宝石 | 2008年7月 | 常念岳 一ノ沢の死角 | |
小屋閉め前夜 | 小説宝石 | 2009年5月 | 常念岳 一ノ沢の死角 | ||
近い山 | 小説宝石 | 2010年2月 | 常念岳 一ノ沢の死角 | ||
重装備 | 書き下ろし | 2012年2月 | 常念岳 一ノ沢の死角 | ||
地獄への縦走 | アルプス冬物語 |
まず、致命的に情けないのが、『走行超過』と『奇妙な依頼人』の2冊については、全く初出が分かっていない。初期短編であるから、書き下ろし短編集の可能性もあると思うが、前者はともかく、後者はどこかの雑誌に載ったものではないか、という印象も拭えない。この点については、情報を待ちたい。――
で、これらは初期作品なのは確実なので、リストの冒頭に並べてみた。
この2冊を除いては、一応、初出不明なのは、「地獄への縦走」の一編のみ(こちらは、これまでのに揃えるべく、リストの最後に載せている)。まあ、付け焼刃のリストとしては、それなりに読めるものにはなっていると思うのだが……。甘いかも知れない。
調べたもののうち、初期の官能ミステリー1編と、ショートショート1編以外は、いずれも短編集に収められているようだ。ちょっと珍しいかな、と思いながら、改めてリストを見ていて、ははあ、と思ったことがある。これが、梓リストをまとめようと思った、もう一つの理由といえよう。
――リストを見ると分かるが、それこそ独自に編まれたように見える(ただ、その理由も、短編集ではなく、中編集だから、と見ることも出来そうな)《小説CLUB》掲載のものを除くと、いくつかの雑誌に書いた短編が1冊分になったら、どこかの出版社から本にまとまる――という形で作られたように見えるのだ。最近だと、ある雑誌に書いた作品を同じ出版社からまとめる例が圧倒的に多く、このような形の編集は余り見ない(昔は、こちらの方が普通だった気もするが……)。梓が同じ探偵役を使っていて、出版社に閉じたシリーズがないせいはあるだろうが、出版社の垣根を越えての編集が垣間見えた気がしたのだ。
その極端な例にも見えるのが、初期の《アサヒゴルフ》に連載された作品だろうか。同じシリーズとして書かれたものが、違った出版社から連続して刊行されているのだ。さすがに、こんな例は殆ど見たことがない、と思ったのは私だけだろうか……。
戸田和光