森ミステリィの感想文4

(その他)

一部ネタバレ感想となっていますのでご注意下さい!

 

「そして二人だけになった」

 完全に外部との接触を断った世界での生活。あのバルブ内の雰囲気は「すべてがFになる」を連想させられました。最新のテクノロジィを使って出来上がったシェルターというのが凄く魅力的でしたね。勅使河原潤、森島有佳の身代わりをつとめた主人公達のそれぞれの視点からの描写が凄くテンポよく進んで読んでいて気持ちが良かったです。どっちかというと、森島有佳の視点からのストーリィが面白かった。それから、各章の終わりの方で語られる本物の勅使河原潤のインタビューにひかれてしまいました。自分でも一度は考えたけど、文章に出来なかった考え方、人に言うのが怖かった思想があったからです。(ちょっと極端かな)

 この作品では、主人公の二人以外のキャラクタに関しては、あまり描写がなされていないというか、そこが特徴のような気がします。ただ殺されるために登場してきたみたいな印象がしました。

 うーんと他には、そうそう「白熊のなぞなぞ」これがちょっと頭に引っかかって(笑)今度のは、答えが分かっていて「問題が分からない」という新しい宿題の出され方でしたよね。まだ分かっていないです。

 一番好きなシーンは、救助され、北海道に移り住んだ後。キスして初めて「お互いバルブに一緒にいた相手とは、違う」ということに気づいたところですね。凄く素敵な行為だと思います。キスして「え?」と森島有佳が感じる瞬間が一番光っているというか。なんだか憧れてしまいます。

 ラストは、タイトルの通りになるのですがそこがまたジーンと来てしまうんですよね〜。どこがそうさせるのか、はっきりとかけないのがもどかしいですが。なんだかよく分からない感想になってしまいましたが、これが初めて読んだ僕の感想でした。(99/06/20)

 

「女王の百年密室」


 「笑わない数学者」以来の電撃が走りました。とにかく、引き込まれてしまったのはこの世界観。森博嗣先生の未来像というものをかいま見ることが出来てドキドキ、わくわくしながら読み進めていましたからね〜。特に衝撃的だったのが、言葉の定義が100年経ったら変わるだろうというところでした。「図書館」が建物を指さないで、ネット上のサイトを表すなんて・・・。でも今でも「掲示板」なんて言葉は、それに一部該当するなぁと思うと全然不思議じゃないんですよね。もう一つ気になったのは、冷凍睡眠の技術でしょうか。僕が小さい頃TVでそういう企業の紹介がされていました。利用しているお客さんもいたようで、その人達はきっと今でも眠り続けているのでしょうが、うまく起きられるのだろうかと。この研究はいったいどこまで行ったのか、無理だと判断されて中止してしまったのか。ネットで調べられるといいな。

 話は変わって、ルナティック・シティの住人達について。初めは、「とても幻想的な」という印象だったのです。綺麗な女王様がいて、権力争いもなくて、ちょっと独特の思想があって・・・。でも読み終わってみると「自分が巻き込まれるのがいやで、見て見ぬ振りをする人たち」という印象も出てきたのです。だって、誰も殺人犯をなんとかしようと思わないのですよ。こういうのって大なり小なり現実社会のもあるような気がします。

 さて、好きなキャラクタは、なんといってもデボウ女王でしょう。綺麗なお姉さんにはとても弱いのです(おいおい)すごく儚げなところとか、読んでいてクラクラきてしまったことよ。最後、ミチルに助けられて欲しかったです。それだけが残念。次に好きだったのは、ロイディかな。あの不器用な感じがとても可愛いです。一つ気になったのは、どんな格好をしているのだろう?ということでした。一目見ただけでは生身の人間と見分けが付かないのかなぁ。 なんか、脈絡が全然ないですが、僕が思ったことは、こんな感じなのです。(2000/07/06)

 

 


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