家の中に猫がいるなんて考えた事もない私は、猫の大きな鳴き声に、何度も

窓から庭をのぞいてみたがタマの姿が見えない。

あまりにタマの鳴き声がうるさいので地下にいる主人に声をかけようと

立ち上がって、ふっと右手を見ると我家の廊下をタマが横切った。

「ギャー」

すぐさま ドアを閉めて 地下の主人に電話をした。

私の泣き叫ぶ金切り声に主人は飛んで自宅にあがってきた。

「おーい。見つけたぞ。 どうやって 家にはいったんやろ。おかしいなあ。」

そういいながら タマをつまみ出した。

私との約束で、タマを家に入れたら タマを捨てる事になっていた。

今回は不可抗力なので 大目に見たが その代わりに

猫が歩いたと思しき所は主人に即効拭き掃除をしてもらった。

タマを捨てられたら大変と 素直に拭き掃除をしてくれた。

結婚以来、掃除などした事のない主人は、その腹いせに

「おまえは 恥ずかしいやつや。あんな 大声出して。おお はずかし。」

「近所中にお前の悲鳴が響きわたったわ。

「お前の声で しばらく近所を歩けんわ。おお恥ずかし。」と、

目一杯の捨て台詞を残して地下に降りていきました。