初診相談時に、患者さんや保護者の方が知りたいことの一つは、
ご自分やお子さんの不正咬合がどんな状態で、
具体的にどのような治療をするのか、といったことではないかと思います。
誠に申し訳ありませんが、初診時に、この二つの質問にはお答えできません。
わかっているけれども言わないのではありません。
私自身、よくわからないから申し上げられないのです。
確かに、初診時、お口の中やお顔の輪郭などは拝見します。
この方の不正咬合はこんな状態で、このような治療になるかな、
といった大体の『見当』をつけるのですが、この『見当』が、
検査、診断をしていく過程で、しばしば裏切られるのです。
(つまり、「見当はずれ」です。)
口の中だけ見ていては真の状態は正しく把握できない、
ということをつくづく思い知らされます。
したがって、初診相談にいらっしゃった方は、
検査、診断までは、されることをお勧めします。
ご自分やお子さんの現状がどんな具合か、
客観的に知ることは大切なことだと思います。
実際、診断時にご自身の口腔内模型や写真をご覧になって、
想像以上の不正咬合にびっくりされる方が多いのです。
また、口の前の方は鏡を使って見ることができますが、
奥の方は自分ではなかなか分かりませんし、ご自身が気になる所よりも
重篤で緊急性の高い症状が見つかることもあります。
初診時にはっきりしたことを申し上げられないのは我ながら不甲斐なく、
歯がゆく感じます。
患者さんは「せっかく来たのに、な〜んだ」と思われるかもしれませんが、
あやふやなことを申し上げて患者さんを混乱させるようなことのないよう
慮ってのことです。
どうか、お許し願いたいと思います。
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