Pirate family(仮) 2

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第2章 再開、宴会、再結成?

オスロ沖で海賊に襲われてから3日。
普段5日かかる航海を3日で踏破するという脅威の船速を見せたマリアンデール号は、
ロンドンの港で補修を受けていた。
「さすがに嵐の中を全力でってのはマストと帆にダメージでかかったか〜」
たはは、と頬をぽりぽりかきながら自分の船を見上げるイルシーダ。
驚異的な速さで戻ってこれた理由の一つに途中で出合った嵐があった。
普段は縮帆して碇を下ろし漂いながら嵐を乗り切るのだが、
今回は展帆した状態で全速で突っ切ってきたのである。
そのため、強い風を受け脅威の速力は出せたものの、負担がかかりすぎたマストと帆にダメージが大きかったのである。
「船長、何で今回はこんな無茶を?」
イルシーダの横で船大工と値段交渉をしていたメルが不思議そうに聞いてくる。
「ん〜、ちょっと昔なじみの船がいたらしいって情報が入ってね。所でメルちゃん、交渉は?」
笑顔でVと出してくるメルを苦笑しながら見つめる船大工。
どうやら、うまく交渉できたようである。
「うんうん、さすがメルちゃん。私がやるとどうもだめなのよね〜」
たはは、と苦笑いを浮かべる。
「イルシーダさんはこちらの提示額を一切みようとしませんからね〜」
「いたた、きつい所をついてくるわね。いいじゃない。優秀な副官をGETしたんだから」
おかげでうちは儲けが少ないですよ。
と、苦笑いを浮かべながら船大工は席を立った。
「ああ、そういえば例の船は明日入港予定だそうですよ。ついたら連絡しますね」
そういって船大工は職場に戻っていった。
「例の船?船長、例の船って?」
メルが?マークを浮かべた状態で確認してくる。
(そういえば、メルちゃんが乗ってからはあったこと無かったっけな)
と思い、教えてあげようとしたのだが……
「明日になればわかるわよ。さて、宿にもどりましょうか。今日は飲むわよ」
事前に教えるのもつまらないと考え直し、秘密にするのであった。
「ぇぇぇぇぇ!気になって眠れなくなるよ〜。でもまあいっか。
 お仕事も終わったし、私は久しぶりにマスターの手伝いでもしてくるね」
色々と気にはなるようであるが、聞いても教えてもらえないと把握してるらしく、
それ以上の追求はせずに酒場へ走っていく。
メルはロンドンに寄港すると決まって酒場に手伝いにでかける。
自分で残してきたレシピが気になっているのだろうか?
それとも酒場の仕事がすきなのだろうか……
「マスターによろしくね〜。さて、私も部屋で飲もうかなっと」
明日の予定に少しわくわくしながら宿に戻るイルシーダであった。



一方その頃、噂の船では船員が慌しく作業を行っていた。
「船長!帆が破れてる部分があったよ〜これで4箇所目だね〜、補修用の予備帆頂戴!」
どうやらイルシーダが突っ切った嵐に散々苦しめられていたようである。
「だ〜、このぼろ船が〜!おいルビー。その帆の修理が終わったら改装計画策定しようぜ」
手桶を片手に入り込んだ水を汲み出しながら予備帆を投げてよこす。
「しょうがないよ6年も放置してたんだから。大体なんで急に復帰したりするのかね〜この人は」
予備帆を受け取り、帆の破れた部分を繕い、他に損傷が無いかを確かめる。
男の名はギルス。かつてカリブの双璧と言われた海賊の一人である。
数々の私掠行為がロンドンの王室に認められて伯爵の称号を授与されてからは
ロンドンで貴族の真似事をして暮らしていたのであった。
最初のうちは楽にわいわい過ごせる毎日を堪能していたものの、段々と飽きてきてしまい、
結局海に戻ってきてしまったのであった。
「うっせ〜な、良いじゃねえか。やっぱ俺は海にいなくちゃ様にならねえよ」
やれやれ、とため息を付きつつも船長はやっぱり船長だな〜と思った女性の名はルビーダイス。
ギルスの筆頭副官にして、『交渉人』の称号を持つ人物である。
彼女の手にかかると、2割、3割は当たり前。すごい時には倍額まで吹っかけられてしまう事もあるほどである。
だが、対応した商人は決まって、
「なぜか損をした気分にはならない」
と言うから不思議な話であった。
もちろん値切りの交渉も同様に2割、3割は当たり前という交渉上手な副官である。
ギルスがロンドンに落ち着いていた6年間の間は、他の船の副官になることも無く。
ロンドンの街角にある食堂にてその料理の腕を振るっていた。
王室料理人も勤められるほどの腕を持ちながらも、堅苦しい王室の厨房ではなく街の大衆食堂を選ぶ辺り、
彼女らしいといえば彼女らしい。とルビーを知る者は皆がそういったとか。
そのためか彼女の料理のファンは大変多く、彼女の勤めていた食堂は開店から閉店までお客さんで溢れていた。
伯爵であるギルスもふらっと町に出かけたときは決まってルビーの食堂に立ち寄っていたため『貴族も納得の味!』
という噂が広まりますます繁盛しており、近々店を大きくしようかという計画もあったほどである。
そんな穏やか(?)な日々も先日ギルスが海にでるぞ!と声をかけたことで終わりを告げた。
「はぁ、せっかくお店も良い調子だったのに……お客さんも一杯だったのに……私の店じゃないけど」
よよよ、と泣きまねの一つもしてみる。
「声かけた次の日に荷物まとめて船に乗り込んでたお前が言うか?それ」
「まあね〜、なんだかんだ言っても僕も海がすきなんだよ。まあ、店長には悪い事したかな〜とは思うけどね」
結局似たものどうしな二人であった。
ちなみに、しっかりとレシピは置いてきたのだがやはりその日その日の微妙な味付けの差異は再現できなかったらしく
以前ほどの大賑わいとは行かなくなっていたようである。それでも、ロンドン1の食堂という地位は健在であるらしいが。
ルビー以外の他の船員も以前とほぼ同じメンバーが勢ぞろいしていた。
なんでも、
 ルビーさんの料理にほれた!
 他の船での生活なんざもう無理!
 やっぱりトライアンカー号じゃないと!
 この船が一番稼ぎがいいんでさ〜!!
 せ、船長にほれてますので!!
と、一部おや?っというのもあったが皆この船が好きなことに変わりはないと言うことらしい。
「所で船長。今回の航海はなんだったの?僕の記憶だとオスロで木材を買えるだけ買っただけに見えたんだけど?」
急に海に出るぞといって、やってる事が木材の購入と言うのもなんだか腑に落ちない。
第一この船は私掠船であって交易船ではないはずだが……
「6年も離れてたからちと勘も鈍っててよ。それに新人もいるし慣熟訓練ってやつだ。嵐にも遭遇できたし良い経験になったろ?」
手桶で水をかき出しながらはっはっはと笑うギルスとは対照的に新人の船員はぐったりとしていた。
初の航海でいきなりの嵐。
しかも船のトラブルを自分たちのミスだと思い込み、その挽回にがんばりすぎていたのが原因だろう。
「まあ、良い経験ってのはそうだろうね。嵐の中をはしるときの操船の仕方とかも体験できたろうし」
今回は新人の操帆ミスで帆が破けたわけだが、途中までは良い感じでがんばってくれていた。
最後に少し気を抜いた所に急に風がぶれるというアクシデントが重なったがために帆が破れるという事故が起こったが、
熟練の船員達でも気づけなかった程のアクシデントである。
そのため、誰の責任でもないと承知しているギルス達だったのだが、責任を感じてしまった新人は
その後、倒れるまで水のかき出しに従事してくれたのだった。
「港に戻ったら特別手当でも出してやるか。木材の黒字でな。ってことで頼むぜルビー」
売れた値段が臨時ボーナスだ!
と、ギルスが言った為、船員から喝采があがる。
そして、交渉役のルビーに対する期待の視線が集中するのであった。
「船長……あんまりプレッシャーかけないでよね?僕、重圧には弱いんだから」
ため息をつきつつギルスを睨む。
「重圧に弱い?誰が??どの口が言ってんだ???寝言は寝てる時に言うもんだぞルビー」
はっはっはとギルスを含めた全ての船員に笑われる。
「ひどい扱いだわ……定価で売ってきちゃおうかしら……」
 そんな!ルビーさんお願いしますよ〜
 そうそう、臨時ボーナス多いのがこの船のうりじゃないっすか!
 ほら、新人も疲れきった表情でもよろしくってうったえてるじゃないっすか!
 お、おれは船長がいてくれれば臨時とかは別に無くても……
 お前はすっこんでろ!!
といった謎の非難殺到により、真面目に交渉するしかないルビーであった。
もとより、定価で売る気はさらさらないのだが……。
そうこうしている間に、船はロンドンの近くまで航行してきていた。
見張りが、目的地であるロンドンの町を視認し、
「船長。目的地のロンドンが見えやしたぜ。おや?あれは……。船長、マリアンデール号が入港してるようですぜ?」
発見したマリアンデール号の情報を報告してくる。
いわずと知れたカリブの双璧の片割れである。
「イルのやつ、ロンドンにいるとは珍しいな。久しぶりだし酒場で一杯やるか」
 おう!
 おごりっすよね!?
「あ〜、手持ちにそんな金あったかな。ルビー?」
「え〜と、ちょっとまってね。ん〜、ちょっと厳しいかな。この船大改修必要になるからお金は手元においておきたいんだ
 さっきの臨時ボーナスの話を無かった事にして良いならいけるけど?」
申し訳なさそうに帳簿を確認しながらそういうルビー。
「って事らしい。すまんが各自で支払いよろしく!まあ、ルビーが予想以上に高値で売ってくればいけるかもしれんがな。
 さて、ロンドンに入港するぞ!」
ロンドンに入港し、一路酒場へ向かうと、目当ての人物はそこにいた。
久しぶりに対面した二人は何も言わずに対面の席につき、何も言わずに杯を掲げて飲み始めるのであった。



「次だ!次もってこ〜い!!」
イルシーダとギルス。
カリブの双璧と言われたこの二人がそろうと決まってこうなる。
毎度毎度飽きもせず飲み比べの勝負を行っては、同時に潰れるので決着が付かないのは毎度の事。
もはやお約束である。
「やれやれ、6年もたってるのに相変わらずだな〜この二人は。所でマスター。料理の味変えたの?」
ルビーはというと、以前自分が置いていったレシピにはない料理が多々並んでいることが気になっていた、
しかもなんとなく懐かしい味であることも気になる要因の一つである。
「この味、なんか覚えがあるんだよね。ちょっとシェフを呼んでもらってもいい?」
ああ。
マスターが厨房から一人の少女を連れて出てくる。
その姿を見たとたん、
「メル?貴女メルよね?なるほど、道理で覚えがあるわけよね。それにしても航海士になったって聞いていたのに
 酒場の厨房に勤めたの?」
出てきた少女が自分の妹だったことに多少は驚いたものの、料理の味について覚えがある事に関しては納得できていた。
昔、自分が教えた味だったのだから。
一方、メルの方は突然あらわれた姉に驚いてうまく言葉が出せないでいるようである。
「お〜い、メル〜?大丈夫〜?」
顔の前で手をひらひらと振られると、メルははっと我に返って、
「お、お姉ちゃん!?あれ?船沈んだって言われてたし、一緒に沈んだって聞いてたのに
 ……え?なに?どういうこと??幽霊?でも足あるし……あ!夢か。そうかそうか。夢か〜」
軽くパニックになっているようであった。
わたわたと慌てている妹を見ながら、そういえば無事だったと連絡入れるの忘れてたわ〜。
と、うっかりミスをしていた事にしまった〜と思いつつ、
「落ち着きなさいって。確かに船は沈んだけど僕は無事に生きてたのよ。まあ、軽く記憶喪失になってたけど。
 で、今はそこでぶっ倒れてるギルスって人の副官として彼の船に乗ってるのよ」
ぱちんと両頬を軽く叩き、ルビーは妹にそう告げる。
死んだと思ってた姉が実は生きていたと言う現実にまだ追いつけていないメルだったが、
「え〜と、じゃあ、お姉ちゃんは本物のお姉ちゃんで、無事に生きてるって事なんだね?」
「さっきからそう言ってるわよ。久しぶりねメル。元気そうでなによりよ」
にこっと微笑みかけるルビー。
その笑顔がメルの記憶の中にある笑顔と一致し、本物なんだと言う実感がじわっと沸いてくる。
「お、お姉ちゃ〜ん!」
だっとルビーの胸に飛び込んで泣きまくる……かと思われたが、
「生きてたなら連絡くらいよこさんか〜!!」
ルビーの懐にもぐりこむとえぐる様なアッパーをルビーのあごに決め、
ふわっと浮き上がったルビーの体に流れるような動作でくるりと回し蹴りを叩き込み酒場の壁に激突させるのであった。
「ぐはっ!あ、相変わらず過激な妹ね……まったく。ごほっごほっ」
壁にたたきつけられはしたものの何とか立ち上がったルビーは、よろよろになりながらもメルの前の席に戻ってくる。
「それにしても、酒場の料理長になったの?噂じゃ航海士になったって聞いてたんだけど?」
一撃入れた事で満足したのか、にこっと微笑みながら、
「ううん、私もそこのイルシーダって人の副官になったんだよ。
 今日はお世話になってたマスターにお礼がてらお店を手伝ってただけ」
と笑顔で答えてくる。
そういえば、酒場の料理のLVが一時期上がったとか何とか聞いた事があったな〜。
と今更ながらに思い出していたルビーであった。
「なんにせよ、イルさんの船か。そりゃ大変でしょうね〜あの人……い、忙しいから!」
交易所などでもめにもめまくる姿を思い出しては噴出しそうになる。
なんにせよ久しぶりに会ったのだし。と乾杯するルビーとメルであった。



翌日、二日酔いに苦しむ船員達を尻目に元気一杯のイルシーダ、ギルス、ルビーダイス、メルファリアの4人は
連れ立ってロンドンの町を歩いていた。
この4人、どうやらかなりの酒豪のようである。
「所でギルス。あんたこの6年なにしてたのよ?」
「ああ?どっかの誰かさんが俺に押し付けた伯爵の地位を思う存分満喫してたよ。すげ〜楽しかったぜ〜?」
ジト目でイルシーダをにらみつけながら嫌味っぽくいうギルス。
それに対し、あははと乾いた笑みを浮かべてごまかすイルシーダであった。
「そういえば、イルさんはなんで辞退したんです?」
「めんどそうだったから」
きっぱりと答えるその表情には偽りはなさそうであった。
「俺だってそう思ってたから断ろうとしたのに……二人が同時に辞退すると王室の威厳がどうとか言われたから……」
ぶつぶつと悪態を呟くギルスをさらっと無視してイルシーダが話を続ける。
「そういえばメルちゃんとるびちゃんは姉妹だったんだってね〜。いや〜偶然ってのは怖いもんだ」
確かに偶然と言うには出来すぎな話ではあるが、その辺りを気にするような面子ではない。
なので、
「そうですね。でも私としてはお姉ちゃんが生きてたって事のほうがびっくりです」
「悪かったわよ。何せ記憶が飛んじゃっててね〜。僕の記憶が完全に戻ったときはカリブにいたから連絡するのを忘れてたのよ」
この調子だと兄に再開したら殴られるだけじゃすまなそうだな〜……。
と軽く覚悟を決めるルビーであった。
「でも、これでメルちゃんの料理の腕や交渉術なんかの腕前が見事なのも納得できたわ」
ん?と立ち止まるルビー。
「イルさん、まさかメルに料理長とかやらせてるの?」
「もちろん。私がやるより上手よ?なんで??」
さ〜っと青くなるルビー。
「メル!特別製レシピだけは公表しちゃだめよ?絶対にだめだからね?あれは……、
 あれの封印はといてないでしょうね?」
青い顔をメルに向けながらがくがくと揺さぶりながら問いつめる。
「わわわ、お、落ち着いてお姉ちゃん。と、特別製レシピってなんのこと?」
ぴた!と止まり、驚愕の表情でメルを見つめる。
一方思い切り揺さぶられたメルは軽く目を回したのかふらふらになっていた。
「わ、忘れてるならいいのよ。うん。そのまま忘れたままでいなさい。イルさん、後でお話が……」
ただならぬ雰囲気を感じ取ったイルシーダはこくっと頷くのであった。

「そういや、イルの船は改装したのか?ずいぶん砲門が減ってるように見えたが?」
いつの間にか饅頭を買ったらしく、美味しそうに食べながらギルスがそう聞いてくる。
「ええ、今の私は交易商人だからね。砲門は最低限で十分。その分船倉を大きくしたのよ。そっちの船は……前のままのようね」
港に停泊してある船を一目見ただけでそこまでわかるほど、二人はお互いの船を熟知していた。
「ああ、俺の船は6年ほど放置してたからな。前のままなのは当然だ。なので、この機に新造しようと思ってな」
それを聞いたルビーが、
「あれ?新造するの?改修じゃなくて??じゃあ、この船はどうするの?売っちゃうわけ?」
ルビーとしては少々愛着のある船であるため売却に関しては不満があるようであった。
もちろんギルスにしても手放す気はさらさら無い船である。
「ああ、副官船ってことでルビーお前にやる。もちろん改装して新品同様にするがな。倉庫容量広めに頼むぞ。
 なにせ、3隻分の食料と水を積む事になるんだからな」
いきなり何の話をされているのだろう。
話についていけないメルを他所に、イルとルビーはギルスが何を言いたいのか把握していた。
「なるほど、それは楽しそうね〜。となると私の船も改装が必要ね」
「はぁ……、副官船とはいえまた船長をやる羽目になるとはね〜。でもまあ、面白そうではあるかな。砲室つけてもいいんでしょ?」
「ああもちろん。戦闘になったら参加してもらうからな。白兵時は引っ込んでもらうが。さて、忙しくなるぜ〜?」
盛り上がっている3人に取り残されて呆然とたたずむメルではあったが、
「あの〜、話が見えないんですけど。つまりはどういうことです?」
くるっとメルに向き直る3人。一様に笑顔である。

「そうか、メルちゃんは前いなかったからな」
「うちの副官だけど、るびーちゃんの船に同乗させてもらいましょう」
「完全に支援船ですね。でも、それが一番いいかも。メルがいれば色々助かりますし」
なんとなくわかってきたが、いまいち確信が持てないのはイルシーダの船が交易船だったからだろうか。
だが、先ほど改装といっていたし。まさか……
「「「ようこそ!私掠船団へ!」」」
つまりは、以前のようにイルシーダとギルスの連合船団になるというわけだ。
更に今回はルビーダイスも船を操船し、支援船として参加すると言う事らしい。
で、その支援船に私も同乗するってことなのね……
「正直助かるわ〜。僕一人で2隻分の食事作ったりするのは大変だったんだよね。今回は更に増えて3隻分だし」
今回の船団は楽できそう〜。
と嬉しそうに言うルビーをジト目で見ながら、
「お姉ちゃん、海賊になってたのね……」
と、ため息を付くメルであった。
こうして、ギルス、イルシーダの私掠船団はロンドンにて復活を遂げるのであった。
「さって、まずは昔の古巣であるカリブ海にいくか〜って、俺の船まだ発注すらしてなかった!!」
大慌てで造船所に走るギルス。その後をやれやれと言いながら追いかけるルビー。
その二人に遅れて駆け出すイルシーダとメルファリア。
4人の大航海が今始まろうとしていた。

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