Company
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プロローグ8
「ロビン!お前死んだんじゃなかったのか?」
いきなり作業場の奥に連れ込まれて言われた第一声がこれである。
「親方。足もちゃんとあるでしょうに。勝手に殺さないでくださいよ。まあ、家は燃えちゃいましたが」
なるべく冗談で通じるように軽く答えてみる。
すると、親方は今朝の新聞を取り出し読んでみろ!と渡してくる。
渡された新聞を確認すると、
『王室転覆犯死亡』
と言うタイトルで一面が飾られている。
中身を読むと、王室の転覆を図っていたロビンを逮捕に来た王宮守備兵との戦闘の結果
建物が炎上、犯人であるロビンは焼死したという内容だった。
守備兵は焼死したロビンの死体を回収、国家転覆犯は撲滅された。
情報提供はまろこ商事の現会長まろこ氏で、まろこ氏には勲章が授与されるとの事。
「……まさか、昨日の資料の件か……」
ここにいたってロビンは自分が提出した資料と案件が握りつぶされた事を知った。
そして、ヘンリー卿はまろこ商事と繋がっていると確信した。
「そんな、俺の……俺のせいで狐が……」
「わしはお前がこんな事をする奴だとは思っておらん。だが、面識の無いものはこの記事を信じておるだろう」
「そうですね、どこかに身を隠さないと……でも、何処に行けば……」
「……わしの知人がこれからアムステルダムへ出航する。話をつけてやるからそれに乗って脱出しろ」
「ご迷惑をおかけします。この恩は忘れません」
「なに、わしもお前さんには世話になったからな。たまにはこれくらいさせてくれ」
ロビンは何度も礼を言い、紹介された船に乗り込み無事にロンドンを脱出する事に成功するのであった。
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「これでよかったんですか?姫伯様」
親方は作業場のさらにおくに隠れていた人物に声をかける。
「ええ、十分です。彼が持っていた資料は大変貴重でした。
資料は奪われてしまいましたが彼の記憶にはまだまだ用がありますからね」
暗闇から現れた人物こそ、王宮御用達商人にしてロイヤルガード商会の現会長。姫伯であった。
「それにしてもヘンリー卿までまろこ商事と繋がっていたとはこちらの予想を超える展開です」
「あの財務大臣様までもが……ですか。王室の財政を黒字化させた手腕は見事でしたが……」
「いよいよ我が商会も危うくなってきましたね。彼の力を借りる時は意外と近いかもしれません」
「あいつなら。ロビンならうまくやりますよ。確実に。何せ、まろこ商事で1,2を争う交渉役でしたからね」
「そうですね。彼の仕入れてくる紅茶や絨毯などはどれも最高のものでしたから。うちにぜひ欲しい人材ですよ
さて、この後の事は彼に任せましょう。私は私で対抗策を練らなくては」
「我ら造船所一同は姫伯様のご指示通りに動きます。まろこ商事に手を貸すものは皆無です。いつでも声をかけてください」
「ありがとう。これからも頼りにさせていただきますよ」
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