Company

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プロローグ6


酒場では楽しい会話がいまだに続いていた。
「いや〜、メルちゃんは良い腕してるね〜」
「いえ、私よりお姉ちゃんのほうが料理は上手ですよ」
「ん?お姉さんがいるんだ。これ以上の腕か。あってみたいね〜」
「あ〜、それは無理ですね。お姉ちゃんは交易商人だったんですが、嵐に遭遇して船もろとも沈んじゃいましたから」
「おっと、それはすまない。つらい話をしてしまったね」
「いえ、もうずいぶん前の事ですから」
「そっか……。ああ、そうだ、一応名前を聞いておいてもいいかな?もし助かってどこかの街に流れ着いていたら知らせてあげるよ」
「そうですね。そんな事もあるかもしれないですね。お姉ちゃんの名前はルビーダイスって言います」
その名前を聞いた時、ロビンの手がぴたっと止まった。
まるでその名前に聞き覚えがあるように……。
「あれ?どうしたんですか?」
急に動きが止まったロビンを気遣うようにメルが覗き込んでくる。
「あ!ああ、いやなんでもない。ルビーダイスさんか。OK覚えておくよ」
「はい、よろしくお願いします。っと、そろそろ厨房に戻らないと。でわ、私はこれで」
ぺこりとお辞儀をし、メルは厨房に戻っていった。
その後姿を見送った後、
「はは、まさかな……同姓同名の別人だろう。向こうは海賊だし、第一交易商人といってたしな」
気のせい気のせいと言う思いと共に飲み込むようにぐいっとジョッキを空けるのであった。
久しぶりに飲んだこともあり、その日はつい量を過ぎてしまった。
(そういえば、昨日からきつねが来てたんだった……やべ〜は部屋あさられてたらどうしよう)
ふらつく足をどうにか前に進めながら家に向かって一歩一歩進んでいるのだが、どうにもまっすぐ進めていない。
「やばいな〜ちと飲みすぎたよ〜。ねみ〜。のでおやすみ〜!!」
ふらふらと眠気をこらえながら歩いていたのだがどうにも限界だった。
酔っ払いの典型的な状態である。
結局横道にそれる通りで限界を向かえたロビンはそのまま眠ってしまうのだった。
そして、それが結果的にロビンの命を救う事になるのであった……


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