Company

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プロローグ5


先ほどの執務室を出た所で守衛に見咎められるたが、既に話は通っているらしく
守衛はまろこがいないものとしてちらりとも目をくれずに横を素通りしていった。
「ふふ、どうやら守衛の方には問題は無いみたいね。さすがに話しのわかる子達だわ」
問題があるとすれば先ほどの人物のみだ。
「さて、後始末はすばやくしないとね。ラルゴはいるかしら?」
王宮を出た後、呟くように呼びかける。
すると、いつの間にいたのかまろこの背後に一人の男性がすぅっと現れた。
「仕事か?」
「ええ、先ほど王宮を出ていった人物をよろしく。もちろん全て含めて……ね」
「わかった」
了解の返事を伝えたと後、現れたときと同じようにすぅっといなくなる。
まるで影のような人物である。
彼こそが、まろこ商事の裏の仕事を引き受ける人物であった。
「さて、明日はインドへの香辛料買い付け船団の出航式だったわね。早く帰って寝ようっと」
裏の仕事を依頼したあとだというのにそんな事は何処吹く風といった感じでまろこは帰宅の徒につくのであった。
その夜、ロビンはここ数日の懸案事項を全て払拭できた事で気晴らしに酒場に寄っていた。
普段は一切飲まないロビンであったが、今日ばかりは飲みたい気分であった。
久しぶりに飲む酒は大変うまく、出てくる料理もかなりのLVであった。
「マスター、今日の料理は最高にうまいね。料理長変えたの?」
以前の料理長など知らないが、この酒場にこれだけうまい料理が出ることなど聞いた事が無かった。
そのため、料理長が代わったのかと思ったらしい。
「副官希望ってことで来たんだが、良い腕してたんでな。試しにやらせてみたらこれがまたすごいの何の……」
マスター的には掘り出し物をGETした!といった感じであった。
確かにこれだけの腕を持つ料理人はなかなかいないだろう。
世界中を周って色々な品を仕入れていたロビンも絶賛できる味であったからだ。
「一度挨拶しておきたいな〜。マスター紹介してくれない?」
ああ、ちょっとまってろとマスターは厨房へと呼びに行ってくれる。
少しまっていると噂の人物がやってきた。
「あの、私にお話があるとの事ですが。なんでしょう?」
少しおどおどした感じの少女、名前はメルファリアと言うらしい。
「いや、俺世界中を旅して色々なものを食べたんだけど、今日の料理はその中でもかなり上位に入るんでね
 一言挨拶をしておきたかった。あとはまあ、お近づきになっておきたかったって所かな」
酔った勢いもあったのだろうか、そんな軽口を叩きつつすっと右手を差し出す。
「俺、ロビン。まろこ商事の資材調達部門で働いてるんだ。よろしくな」
「あ、はい。こちらこそよろしくです」
その夜は、世界の料理や世界の食材の話、世界中の嗜好品の話など楽しい会話が尽きる事が無かった。


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