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プロローグ4


「さて、落ち着いた所で本日の用件をうかがおうかな?」
ロビンは先ほど早口で伝えた内容を今度は落ち着いて一つずつ
ゆっくり丁寧に説明しだした。
「実は先日、1冊の資料を見つけまして。中身を確認しました所、王室で禁じている品々の売買記録でした。
 この資料によると昨年度の我が社の売上は公表している数字の倍……
 いえ、3倍にはなっていると思われます。これは王室に対する反逆です。見逃すわけには行かず、こうして持参いたしました」
すっと持参した資料をヘンリー卿に手渡す。
ヘンリーは受け取った資料を興味深そうに読み進め、
「なるほど、確かにこの数字が事実ならば驚くべき事だな。取扱っている品々に関しても問題があるようだ」
手渡された資料を確認し、重々しく頷く。
「この資料は私が預かろう。良くぞ提出してくれた。この件に関しては私の方でも調査をしよう」
「はい、よろしくお願いします」
無事に目的の資料を手渡せた事でロビンは今まで溜め込んでいた重い空気をようやく吐き出せた感じがした。
これで自分の会社はかなり危機的状況に追い込まれてしまうだろう。
もしかしたら倒産の危機に繋がるかもしれない。
自分も職を失う事になるだろう。
しかし、もしチャンスがあるならば自分の手で立て直していきたい。
そんな思いをもってロビンは王宮を後にするのであった。
一方、執務室にて問題の資料を確認していたヘンリーは、
「まったく、内部資料をあっさりと持ち出されるとは、君の所は大丈夫なのかね?」
隣の部屋に控えていた女性に先ほどの資料を渡していた。
その資料を受け取りながら、多少困った笑みを浮かべ、
「卿にはお手数おかけしました。次回の献金には色をつけますのでどうぞ良しなに……」
ぺこりと頭を下げるのであった。
「色か……果てさて何色であることやら……まあよい。所であの者の処分はそちらに任せてもよろしいのかな?」
「もちろん。今夜中には処理いたしますわ。ご安心を」
「でわ、そちらは任せよう。ああそうそう。本日私は誰にも会っていないということでよろしく頼むよ。まろこ君」
「はい、わかっております。守衛にもそのように伝えておりますゆえご安心を」
それではな。と片手を上げヘンリーは部屋を後にする。
残された女性は苦々しい顔をしながら問題の資料を確認。
全てのページがそろっている事を確認し、ほっとため息を付く。
「まさかあんな年代物の資料を見る社員がいるとはね。保管場所も考え直す必要がある……か」
資料をかばんにしまい、まろこも部屋を後にする。


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