Company

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プロローグ3


「あの、まろこ商事の使いで来ました。ヘンリー卿にお会いしたいのですが?」
門番の人にそういうと、すんなりと宮殿の中に通してもらえた。
(うちの会社ってすごいんだなやっぱ)
改めて自分はすごい会社にいるんだと実感する。
しかし、そのすごさも手元の資料による不正な利益で大きくなったのではと思うととたんに気が重くなる。
そんな事を考えながら控えの間で待っていると、
「卿がお会いになるそうだ、こちらへ」
と、執務室へと案内される。
部屋に入ると、机に座り大量の書類に目を通す人物が顔を上げて、
「まろこ商事の使いのものはそなたか?私に何の用事かね?」
と、聞いてきた。この人物こそヘンリー卿その人である。
まさか本当に本人に会えるとは……
「は、はい。私はロビンと言いまして、まろこ商事に勤めているものです。実は重要な資料を見つけてしまいまして
 どうしていいかわからずにこちらへ持ってきた次第です」
少し早口になってしまったが一気に用件を伝える。
卿は少し困った顔をみせ、
「あ〜、緊張するな……とはいえ無理か。もう少し落ち着いてゆっくりと話してくれるとありがたいのだが?」
とりあえず、かけたまえと、ソファーの方に座るように促してくれる。
緊張したままソファーに座ると、侍女の方が紅茶を入れて持ってきてくれた。
「まあ、飲みたまえ。君の所から仕入れている紅茶だ。味は保障するよ?」
促されるままに紅茶を一口飲んでみる。
確かにうまい。
そして、その味には確かに覚えがある。
自分がセイロン島から仕入れた紅茶の味と同じものであったからだ。
「これ、私が仕入れた紅茶に似てますが……」
その答えを聞いてにやりとしながら、
「どうやら落ち着いたようだねロビン君。確か資材調達部に優秀な舌を持つものがいると聞いた事があってね。
 あえて嬉しいよ。君の仕入れた紅茶をはじめとする嗜好品の数々には大変満足している」
「え?あ、ありがとうございます。まさか私ごときの名前まで覚えていただけているとは光栄です」
調達などと言う裏方の仕事をする人物の名前まで覚えてくれているとは
さすがは、名大臣ヘンリー卿。
ロビンは恐縮するばかりであった。





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