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多次元世界を平面に封印する魅力 「弾丸より速く、機関車より強く、高いビルもひとっ飛び! あれを見ろ!、鳥だ!、飛行機だ!、スーパーマンだ!」 デイリープラネット新聞社を舞台に大活躍するアメリカのヒーロー、スーパーマン冒頭のナレーションである。 少年の頃、毎週のように胸踊らせて見たテレビ番組。それはまだモノクロの画面であったため、赤いマントだということを知ったのは後になってからである。 アメリカのコミックス誌に登場し、ロサンゼルスが舞台のテレビ番組で高視聴率を取り、近年ハリウッド映画として世界的ヒットとなる。今やその地位をゆるぎないものとした世界のヒーロー、スーパーマン。 スーパーマンが地球より進んだ文明を持つというクリプトン星の生まれであることを知ったのは、後年、映画スーパーマンの第1作を見た時だった。その中にまだ赤ん坊のスーパーマンが登場する。そして第1作の中ではその後、地球にたどり着くまでのいきさつを、スーパーマンの両親をとりまくクリプトン星の様子の中に描きだしてゆく。 その中に、後に唯一スーパーマンと体力的に互角の戦いをする3人の悪人が登場するシーンがある。それは彼の地の裁判にかけられたその3人がちょうど有罪を宣告され、罪人として投獄されるシーンであった。 ・・・裁判の判決が下された時、一瞬呆然とした彼らの視線が裁判官から離れ、空をさまよう…。と、突然、天空から得体の知れない、透明で、巨大な、輝く板が、糸の切れた振り子のように、だが、勢いよく舞い降りてくる。それが彼らの頭上をかすめた瞬間、壇上に立つ罪人の姿はこつ然と消えてしまった。 再び勢いよく宙に舞い上がる透明な板には、窓ガラスに張り付いたかのような3人の姿が写し出される。・・・ 大写しになった彼らの表情は畏怖と苦痛に満ちている。 巨大なガラス板の中に閉じ込められたに相違ない。だが、どうみても空に舞う巨大なガラス板は2次元平面そのものである。3次元空間らしい厚みや奥行きは一切ない。厚みのない世界に罪人を閉じ込める。私はこの意表をついた鮮烈な展開に圧倒されてしまった。 ・・・「許してくれっ!出してくれっ!」と大声で泣き叫ぶ彼らの恐怖を時折り明確に写し出しながら、それは急速に上昇し、ついには暗黒の宇宙の彼方に消失する。・・・ いったいあれはどのような仕組みなんだろう…?と、今もその謎ときはできないままにいる。常識を打ち破り、いとも簡単に2次元平面の世界の囚人とするアイデアは秀逸だ。1次元、次元を下げた世界に閉じ込めるという発想はみごとと言うほかはない。 ![]() ![]() ![]() ![]() Think Visually, Act Graphically! |