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A Holistic Approach to Design

デザイナーは今日個性化と世界化という一見矛盾した論題を解くよう求められている。デザインは元来 社会的な地域のニーズを満たす役目を果たした。けれども工業化以後、世界各地からの物や情報が活発に行き交い、街や家庭にあふれるようになり、デザインはもはや一地域に留まらなくなった。まさに今、デザインには世界的なレベルで等しく人々の生活の必要を満たすことが要求されている。

一方、この豊かなの時代において、ますます洗練された消費者は、この惑星を苦しめている環境問題の心配をしながら同時に彼ら自身の独立したライフスタイルを作ることを熱心に望んでいる。自分らしい暮らしと地球体全体に影響を与えるより大きいエコロジー的な問題との間にバランス良く調和をはかりたいと願っている。

例えば、人々はある企業の製品を購入するとか、あるいはそのサービスを使うことを決める前に今一度慎重にその企業の社会的な姿勢を見るようになった。 増大する社会の要求に応えて行く上で、企業は彼らの社会的責任を明確なビジョンで彼らのアイデンティティーとして打ち出すことが産業とビジネスにとって重要性を増している。

この二元性を再検討することにおいて、デザインの領域は今日個別のデザイナーの能力を超えた多岐な観点を採用しなくてはならない。 このような状況下でデザインは単に美しさの提供に留まらず、まさしくクライアント会社の体質改善のコンサルティングとして、トータルに魅力的なものづくりを提供していかなければならない。

デザインは医学のようである。 近年、日本での傾向に東洋医学に相当する方法の採用が増えている。そこでは時間をかけ、本当に健康によい、そして美しい体を作るため、患者の体の内側から全体的な体質の基本的な改善を行う手法がとられている。これは実は東洋医学が追い求めてきた手法である。 br>
これからのデザインの役割はこれまでの思考の枠組みを広げていっそう上位の観点から全体との調和や整合性を見据えてかかる必要がある。そこには自然環境系レベルでの調和もあれば、社会、人類学の、あるいは精神的、物理的な面での調和も含まれる。

西洋の医学が一般に実践されるこの時代に、中国 とインドで発展させられた古代の伝統的な医学が再発見されている。モダンデザインは西洋から東洋 に導入され、そしてしっかりと根をはった。そして今、デザインの未来を求めることにおいて、上手に東洋の全体論的な方法を取り入れることが価値を持つように思えてならない。





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