ミニベロ1泊ツーリング秋葉街道




ランドナーオフ1日め

朝いちばん早いスーパーあずさ、新宿7:00発の自由席を確保してほっとしていると
何やら車内に急病人が出たらしく、救急隊が出てホームで電気心臓マッサージなどをしている様子。
で、その間に隣の臨時の風林火山号7:03発が先に出てしまい、こちらは10分遅れで出発。
しかしあろうことか、先行した風林火山号が踏切で異常音を感知したらしく、緊急停止。
後続のこちらもストップし20分待機。結局茅野には30分以上遅れて着きました。

ホームから今回の幹事であるhさんを駅外に発見。声をかけて組み立て合流する。
その手前で自転車を組み立てていたローディが気にかかっていたので、hさんが声をかけると
参加者のtさんであることが判明。期せずして一緒になった3名で杖突峠、分杭峠を目指すことに。

茅野から国道152号線へは昨年、逆から一度走っているのでその記憶をもとになんとかルートを発見。
走り出して30分もたたないうちの上り坂はやはり辛く、特に心肺に大きな負担がかかって、早くもあえぎはじめる。
斜度が緩くなっていくのは分かっていたので、それを心の頼りにひたすらこぐ。

着いた杖突峠はほぼ晴れで、諏訪湖は一望できましたが八ヶ岳には雲がかかっていました。
展望台入口にはいつの間にか料金箱が。
水分補給して小休止後、高遠方面へ。まだ少し上りが残っていてしんどかったです。
その後は緩やかな長い下り。高遠は桜の季節がよいそうですが、今は格別見るものもなし。

今回は地図なしでGPSを搭載していきました。
英語版なので地名等は表示されないのですが、道の種類(国道、県道)はわかるので、
心のよりどころとはなりました。
2日めにしらびそで電池が切れ、その後はちょっと不安になりました。

高遠で時間があるようだったので、hさんのお勧めの高遠蕎麦屋さんへ。
そばつゆが大根おろしでそれに薬味として味噌とネギを入れます。
おろしだけだと何の味もありませんが、味噌がほんのり風味を出していて美味しかったです。
hさんが頼まれていた五平餅も少し頂いて、これも甘い味噌味で美味しい。

走り出すと、遠くに南アルプスらしい冠雪した山が見えました。赤石岳だったのか。
このあたりでtさんは高遠城趾を見に行くとのことでいったん離脱。
自分とhさんは美和湖の道の駅でうわさのミニクロワッサンを買おうとするも、売り切れの様子。
しかし見ていると厨房からそれらしきパンは山にように出てきて店頭には並ばず、
すべて箱詰めされ予約客に渡されているようでした。予約がいるほど人気なのか。

その後、hさんともばらけて単独で分杭峠へ。
そこまでずっと2車線の整備された道でしたが、一気に山道になっていきます。
勾配は少しずつきつくなり、くるくる回す回線数を落とさないよう、蛇行を始めます。
この蛇行、目の前の急勾配から目もそれるので、精神的にも楽です。
ただ、きついところだと4km/hくらいまで速度が落ちたので、押しても変わらなかったかも。
心肺の方は杖突で慣れたようで、分杭では足の筋肉をつかい、後に股裏から尻にかけて痛みが残りました。

中沢峠で紅葉を見かけて小休止、もう少し登って無事、分杭峠に到着。
遠くに今まで走ってきた高遠、美和湖が望めました。
hさんから「ゼロ磁場」なるパワースポットがあると聞いていたので、峠から4、5分歩いて降りる。
なんでも「気」が充満しているとのことでしたが、こういうのに感受性が薄い自分にはわかりませんでした。
急峻なすり鉢状の土地で面白い空間であり、吸い込まれそうな感覚はあったような気がしましたが。

ここを出たとこでhさん、tさんと落ち合うも、寒いので先に行かせてもらうことに。
日が陰りはじめていたのでちょっと焦りました。下り勾配は登ってきた方より若干緩いか。
売店で明日の上り用にパンと飲料を購入すると、そこがその日の宿泊地であることが判明。

宿に着いて自転車置場について聞いたりしていると、他の参加者のkさん、sさんが一緒に到着。
宿の少し下の売店で偶然会ったとのこと。
部屋で荷物整理して、浴室へ向かう途中でhさん、tさんも到着。

温泉は匂いはなくちょっとしょっぱい。鹿塩温泉の塩はそういう意味なのか。
鹿の方は鹿塩の人口より多いそうで、方々で鳴き声が聞こえたそうです。

6時から夕食でしたが、τさんが未到着。連絡手段もないので、とりあえず食べ始める。
山間の宿だけあって、鯉の料理が多い。あと、鱒とか鹿のステーキとか。鹿は美味しかった。
kさん、hさんが結構なピッチでビールを空けていく。tさんが詳しい中国に関すること等雑談モード。
7時頃ようやくτさん到着。ここから自己紹介が延々始まり、自転車談義にスイッチが入る。

9時頃いったん食事場を引き上げ、部屋へ。
11時くらいまで話していたそうですが、自分は疲れて眠く、部屋ですぐ布団に入り眠ってしまいました。



紅葉の中沢峠。


ランドナーオフ2日め

朝、風呂につかって7時半から朝食。
この日は行程的にタイトなので、急いで準備して8時半頃出発。
寒い。アームウオーマーと長袖ジャージの上にもうひとつウインドブレーカーが欲しい。

この日は快晴で雲ひとつなし。しばらく下ってから、緩いアップダウンを繰り返す。
地蔵峠へ向けて徐々に上りはじめ、最初はやはり心肺がしんどかったです。
しかし今日は1100m程度、一気に上らなくてはならないので、体力温存。
出発前に付け替えたチェンリングインナー39Tが思いのほか効いてくれたのが嬉しい。

半分くらい上ったところで「中央構造線」というものを見に行く。
日本海側と太平洋側からのプレート?がぶつかりあう地点だそうな。
岸壁の地層断面の色が変わっているのが見て取れましたが、今ひとつ理解できず。

さらに蛇行でマイペースに上り、地蔵峠着。
少し登ったところにお地蔵さんがいるくらいで、特に展望等はなし。
小休止しさらに少し上ったあと、ダウンヒルが。また上るのだから下りたくないのに…。

でもここらへんは並木が奇麗で気持ちのよい道でした。
幾つかアップダウンを繰り返してようやくしらびそへの分岐点へ。
ここで、今日水窪まで行かれるというkさんが離脱。5名で峠を目指す。

勾配は地蔵峠までとあまり変わらず、しかし道が崖沿いに移ってきて谷をへて対面する山々が美しい。
この斜面はかなり急で、ガードレールから下を見ると、谷底まで真っ逆さま。よくつくったな、こんな道。
途中で「坂道自転車通勤隊」のジャージを着たローディ3名にあっさり抜かれました。
やっぱり日々坂道で鍛錬しているローディにはかないません。

しらびそ峠には唐突に到着しました。めったに晴れないという峠はガスひとつない快晴。
先程とは逆側の谷を介して南アルプスが望めます。冠雪した白い赤石岳が遠く輝いて見えました。
標高1833mは自転車復帰後の最高到達地点です。

しらびそ高原ロッジはここから600m上ったところにあるのですが、ここが今回最大の勾配でした。
意地で降りずに上りましたが、時間的には押すのとほとんどかわらず、しんどかった。
ロッジは思いのほか立派で、レストランに鹿ジンギスカンに風呂まであります。
まるでドライブインのような感じで観光客も多く、しらびそのイメージと随分違っていました。
ここで昼食。自分は五平餅と持ってきたパンを食べる。展望台に上ってからそろそろ出発。

ペアのサイクリストから下栗方面の情報を入手。
途中崩落箇所はロードシューズでも何とか越えられるそうな。
一抹の不安は抱えつつも、飯田線平岡駅発16:29の特急に乗るのが目標なので急ぐ。

しばらくは峰のなだらかな道が続き、気持ちがいい。
クレーター跡地といわれるところを少し進むと通行止めに。
ここをくぐると路面状態が一気に悪化します。小さな崩落が多く、砕石が路面に転がっています。
さらに落葉も加わって危険、慎重に下っていきます。しばらくすると大崩落箇所に。

うーん、これはすごいと一同うなります。大きな岩が2、3個転がって完全に道をふさいでいる。
ここは担いで越えますが、荷物の重いランドナーには辛そうです。
全員無事越えてほっとするも、そこから思いがけないアップダウンがあります。聞いてないよ〜。
なんとかしのいで、今度は豪快なダウンヒル。途中、キャンチブレーキでは止まれない程の勾配あり。
下栗側から上るのは、路面状況も含めて避けたいところです。

再び通行止めゲートをまたいで、さあ出発というところでtさんの自転車の前輪がパンク。
tさん以外で気付いたのは自分だけで、他の3名は先に下って行ってしまいました。
で、tさん、パンク修理経験なし。さらに自分もクリンチャー(当時はW/O)修理は20年ぶり。
他の3方はベテランなのになんでこの2名が残ってしまったのか…。

前輪を外してタイヤを外そうとするも、1、2カ所外れるだけで前に進まない。
業を煮やしてタイヤレバーのフック側で横方向に無理矢理引きはがしました。
タイヤとリムを点検するも異物や損傷箇所は見当たらず、とりあえずチューブ交換。
で、タイヤをはめようとするもこれも難航。レバーのへらの方で無理矢理こじ入れました。
バキッとか音がしましたが、これは正しかった模様。
バーストというのが嫌いなので、ビートがチューブを噛んでいないか、入念にチェック。

さて空気を入れようとすると、tさんのもらったばかりというポンプはフレンチバルブにあってない。
(これはなかのパッキンを反転させれば解決するとあとで教わりました)
仕方なく自分の古いプリマスのポンプを使うも途中からエアが入らなくなる。
抜いてみるとポンプを差す量が足りなかったようで、バルブが曲がってしまっていました。
プライヤーもなく呆然としましたが、手持ちの携帯工具の間にバルブをはさんで曲げなんとか応急処置。
今度は慎重に空気を入れてもらい、ようやく走り始める。この間おそらく30-40分。

下栗のつづら折れの下で皆さん待っていてくださいました。連絡も取れずご心配おかけしました。
hさんにパンクで良かったと言われ、確かにその通り、事故ったらしゃれになりません。
sさんのポンプであらためてエアを追加して再スタートです。
下栗はいい雰囲気の集落でもう少し見ていたい気もしましたが、
この時間ロスは大きく、列車時刻への危機感が走ります。

自分はこの間の欲求不満をぶつけるがごとく、下り坂を激走。
国道152号と合流してからも、緩い下りを特急に間に合うべくアウター-トップを踏み続ける。
しかし平岡まであと9kmのあたりでインナー-ローに落とすような上り坂あり、小休止。
この時点で15:40。まだ上りに直面する可能性を考えると危機的状況です。

最終日に激走ってパターン、嫌だなあとおっしゃっていたsさんとふたりで踏む踏む。
ようやく平岡という地名が目に入ってきて、左手に線路らしきものが見えると駅はすぐそこでした。
到着時刻は16時過ぎ。やった、間に合った!とはhさん。たぶんみんな同じ気持ちだったでしょう。

しかしあと20数分で全員が自転車をたたみ、切符を買わなければなりません。
ばたばたと作業を進めるも、自動券売機がない上、機械に疎そうな駅員さんの対応が遅い。
3名の切符を買った段階でホームに上がると、列車到着まであとわずか。
列車がホームに入ってくるぎりぎりのところで他の2名もなんとか乗車。ほっっっ。

τさんはこのばたばたで体調を崩されてしまったようでした。
残りの4名は豊橋までの1時間半にビールが欲しいと、停車駅で何度も購入を試みましたが、失敗。
寂しい車内にワゴンサービス等あるはずもなく、車窓から天竜川を眺めたりしていました。
また、この列車が3分程遅延で豊橋着。豊橋に止まる新幹線ひかりとの接続は約5分。
慌ただしく幹事のhさんと別れを告げ、コンコースを急ぐ。果たして新幹線には間に合いました。

後続のこだまで行くというτさん、tさんと別れ、満員に近い車内にsさんと離れて着席。
ワゴンサービスを待つも来ず、仕方なく非常食のカロリーメイトを寂しくかじりました。
車窓には3D動画のように駅の光がパースを描いて通り過ぎて行く。
それまで時速10km/h以下で自転車で坂を上っていた自分が時速270km/hで移動している。
なんだかまるで別の世界に迷い込んだようで不思議な感じがしました。

途中、新横浜でsさんと別れ、東京駅には19:43着。中央線に乗り換え、新宿で自転車組み立て。
そこから自走で帰宅は20:30過ぎ。思ったより早く帰れました。
最後の自走も激走で、疲れ果てました。これでしばらく自転車はいいかな。

ま、でも楽しかったです。ご一緒頂いた、皆様、ありがとうございました。

(07/10/20-21 h.taki)

しらびそ峠と南アルプス。




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