SILKの入手まで




最初に「サイクルスポーツ」誌を買ったのが1977年、中学1年の11月でした。
それまではオートバイに入れあげていて、同級生と盛り上がっていたのですが
この月の特集「オーダーフレーム」に魅せられて
一気に自転車に引き寄せられたあとの3年間は孤独な自転車少年でした。

最初に触れたのがもう「トーエイ」「ケルビム」「アマンダ」「サンレンショー」
でしたから、それはもう強烈でした。
しかしフレームをオーダーするようなお金があるはずもなく、
当時保有していたジュニアスポーツ車をあれこれいじる一方で、
将来についての夢をふくらませていました。

いちばん欲求が深かったのは、カナダの荒野を自転車で走破するというもので、
観光局から情報の少ない北方のパンフレットを入手したりしていました。
ただ自転車としてのキャンピングはあまり興味がなく、
海外では700Cがメインとの情報もあり、漠然とスポルティーフをイメージしていました。

そこからなぜロードに変換したのかはよく憶えていません。
当時いちばん近くにあったショップ「ベロウ」での影響かもしれません。
卒業前になにか自転車趣味の集大成をつくりたかったのでしょう。
オーダーするお金はなく、吊るしのフレームから組んでいくというのも
工具を持っていなくて不安でしたし、パーツもランドナーならユーレーとか
TAとかブルックスとか美的基準がありましたが、ロードパーツはわからない。
カンパニョーロの縦型ディレイラーなんて無理だし。

で、たぶん「ベロウ」のおじちゃんに勧められたのでしょう。
おそらくそれまで片倉の名前は知らなかったのではないかと思います。
それでシルクの廉価版のロードを買いに行ったら、型落ちの上位版なら在庫があるので
安くすると言われて、そのまんまそれを買ってしまいました。

買った時にショップの客から「ロードなんて初めてじゃないの?」とからかわれ
「乗ったことありますよ」と強気に答えたものの、実はまるっきり初体験。
乗った印象は軽くて固い、あっというまにスピードアップするというものでした。
チューブラータイヤの印象も強烈だったかもしれません。
デフォルトでソーヨーのトラック用のスリックみたいなめちゃめちゃ軽いやつがついていて
まさに地面に吸い付く感じ。さすがに減りも早かったですが。

しかしなにぶん身分不相応の高級車だったので、長いことちんまりと屋内保管。
怖くて部品もいじれず、その後、大学の自転車サークルの輪行で
フレームの塗装がはげて諦めるまでは道具というより美術品でした。

もう30年近く昔の話ですね。

販売時のSILK




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