『知世の望み・中学生編(邪悪編)』



「知世ちゃん、お誕生日おめでとう!」
「ありがとうございます。さあ、みなさん。今日は存分に楽しんでいってくださいね」

ありがとうございます、千春ちゃん。奈緒子ちゃん。
みんなにそう言っていただけて知世は本当に幸せですわ。
ですが。

「知世ちゃん! お誕生日おめでとう!」
「ありがとうございます、さくらちゃん」

やっぱり、さくらちゃんに言ってもらえるのが一番! ですわ!
あぁっ、幸せすぎてめまいが・・・・・・。
幸せ絶頂ですわ〜〜。

「さあさあ、さくらちゃん。今日のお菓子はわたしが腕によりをかけて作った特別製のお菓子ですわ。いっぱい、召し上がってくださいね」
「うん!」

うふふふふふふふふふふ(邪笑)。
そうですわ。
今日のお菓子は大道寺知世特製クッキー&ケーキ。
厳選した材料に一流パティシエのアドバイズを受けて作ったスペシャルスィート!
もちろん、他のみなさまがお食べになっているのも同じものですけど・・・・・・さくらちゃん!
あなたがお食べになっている『それ』はさらに特別!
知世のハイパースペシャルグレートワンダフルな愛情がたっぷりとふりかけてありますわ〜〜!
ぶっちゃけて言うと睡眠薬が。
おほほほほほほほほほほほ〜〜〜〜。

知世は待ちました。
本当に長い間、待っていました。
このチャンスが来るのを!
いえ、それよりも李くん!
あなたがさくらちゃんの『初めて』を奪ってしまわれる時を!
ずっと、ずっと、待ちましたわ!!

本音を言ってしまえば、わたくしの手でさくらちゃんの純潔を散らしてさしあげたかったですわ!
わたくし愛用のこの○×△でさくらちゃんの可愛い×□○を×*?して○×□を?*+してから泣いて許しを乞うさくらちゃんを思いっきり×△○*して□○△してあげたかったですわ〜〜!!
(※本文中に不適切な表現があったことを深くお詫びいたします)

でも、さすがのわたくしもそこまではできませんわ。
前にさくらちゃんのファーストキスをこっそり奪ってしまったことがありましたけど、こちらはそういうわけにはいきませんものね。
お体を重ね合わせる特別な儀式の初めては、やっぱり李くん。
あなたしかいませんわ。
悔しいですけれど。

ですが!

その『初めての儀式』をこの間の李くんのお誕生日に済ませたのは確認済み!
さくらちゃんの純潔は見事に李くんに捧げられました。
ですからもう、わたしがさくらちゃんのお体を自由にすることに何の問題もありませんわ!
(※大丈夫だ、問題ない・・・・・・と言いたいところですが犯罪です。よい子のみんなは真似しないでください)

うふふふふふふふ。
さあ、さくらちゃん。
どんどん召し上がってくださいね。
す〜〜ぐにお薬が効いてまいりますから。
そうしたら、皆様をお帰しした後でわたくしが心行くまで介抱してさしあげますわ〜〜。
そのためのお部屋もお道具も用意してありますの。
このお邸でもわたくしとお母様しか知らない『特別監禁室』。
あそこなら、さくらちゃんがどんなお声をあげても誰にも聞こえませんわ〜〜。
念のため、眠っているうちに特製拘束衣でお体の自由を奪って、カードさんも魔法の鍵も取り上げて抵抗できないようにしてと。
ふふっ、さくらちゃん。
目を覚ましたらどんなお顔をされるのでしょうか。
きっと、李くんに助けをお求めになるのでしょうね。
でも、無駄ですわよ。
李くんはお家の都合で香港に戻られてますものね。
どんなお声をお上げになっても、さすがに香港までは届きませんわ〜〜。
あぁ、今日のこの良き日に李くんが日本にいらっしゃらない。
これぞまさに天祐!
天がわたくしにさくらちゃんのお体を奪えと叫ぶ声が聞こえますわ!
(※幻聴です)

さあさあ。
さくらちゃん、どんどんお食べに・・・・・・あら?
おかしいですわね。
さくらちゃん、全然召し上がっていらっしゃいませんね。
いつもだったらもっとこう、バクバクとお召し上がりになっているはずですが。
まさか・・・・・・お薬が盛られていることにお気がつきになった??
ま、まさか!?

「さくらちゃん、どうなされました? あまり食がお進みにならないようですけど」
「あ、うん、ちょっとね。実は家を出る前にケロちゃんとお菓子を食べちゃってて」
「まあ、そうでしたの。でも、今日のお菓子は母にも手伝ってもらって作った特別製のお菓子ですから。少しでもさくらちゃんに召し上がっていただきたいものですわ」
「そうだね。せっかくだからいただくよ。パクッ。もぐもぐ・・・・・・うん、知世ちゃん、とっても美味しいよ!」

ふぅ。
どうやら杞憂だったようですわ。
しっかりお食べになりましたわね。
思ったより、お食べにならないようですが。
けれども、あのお菓子にふりかけたのは巨象をも数秒で昏倒させる特製のお薬!
一口お食べになれば充分!
これでさくらちゃんもすぐにお眠りに・・・・・・

・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・?

あ、あら?
変ですわね。
一向におねむになる様子がありませんわ。
お薬が効いていない?

「さくらちゃん、こちらのクッキーもいかがですか。このクッキーの生地はフランスからとりよせたものですの」
「ありがとう、知世ちゃん。パクパクもぐもぐ・・・・・・。うん、これも美味しいね!」

ひょっとして、魔力のせいでお薬の効きが弱いのでしょうか。
ですが、さすがにこれだけお食べになればお眠りに・・・・・・

・・・・・・?
・・・・・・・・・・・・??
・・・・・・・・・・・・・・・・・・???

ならない!?
そんなバカな!?
どうして??
いくらなんでもおかしいですわ!!
あれだけ食べれば相撲取りでも眠ってしまうはずですわ!
それなのにどうして??
どうして〜〜〜〜????

◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇

「知世ちゃん、今日はお誕生会へ招待してくれてありがとう」
「とっても楽しかったよ」
「お菓子もとっても美味しかったよ。ちょっと食べすぎちゃった」
「さくらちゃんにそう言っていただけると、わたしもがんばって作ったかいがあったというものですわ」
「じゃあ、知世ちゃん、また明日学校でね」
「はい、さくらちゃん」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・

どういうことですの、これは!
さくらちゃん、最後まで全然眠そうな素振りを見せませんでしたわ!
お薬が効かなかった?
いえ、そんなはずはありませんわ!
あのお薬が効かないなんてことはありえませんわ!
まさか、他の方にお配りするお菓子と間違えた?
でも、それなら他の方がお眠りになってしまうはず。
別のお薬と間違えてしまった?
でも、それならそれで、何かの効果が現れるはずですが。
おかしいですわ!
このクッキーに確かにお薬をふりかけたはず!

ひょい
パクッ
もぐもぐもぐ・・・・・・ごっくん!

うん、この微妙な味は確かにお薬がかかってますわ!
ほら・・・・・・もうお薬が効いてきて・・・・・・
こんなに・・・・・・眠く・・・・・・
おかし・・・・・・いです・・・・・・わ・・・・・・
さくらちゃんには・・・・・・
どうして・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・

すぅーーっ・・・・・・
すぅーーっ・・・・・・

◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇・・・◇

「ただいま、さくらさん」
「おかえり、『鏡(ミラー)』さん。お誕生会、どうだった?」
「とっても楽しかったですわ。お菓子もいっぱい頂いて。それよりも、さくらさんのお風邪の具合の方はどうです?」
「うん、もうだいぶ良くなったよ。ゴメンね『鏡』さん。無理に身代わりをお願いしちゃって」
「いえ、わたしも楽しかったですから」
「本当はこういうのはいけないんだけどね。でも、知世ちゃんお誕生会をとっても楽しみにしてたから。それで、知世ちゃんには『鏡』さんのこと、バレなかった?」
「う〜〜ん、バレなかったとは思うのですけど。ただ・・・・・・」
「ただ?」
「知世さん、わたしのことをとても不思議そうなお顔で見ていらっしゃいました」
「え、それってバレちゃったってことじゃないの?」
「ですが、知世さんはわたしのことはご存知のはずです。もしも、わたしに気づいたのならそう言ってくると思うのですけど」
「そういえばそうだね。不思議そうな顔で見てた? う〜〜ん、なんだったんだろう」
「さあ?」

知世の真意がわからずに困惑するさくらと『鏡』。

まあ、それはともかくとして。
日頃、元気いっぱいのさくらが、こんな季節はずれの風邪をひいてしまったのは。
邪悪なたくらみを阻止せんとする天の計らいでもあったのでしょうか・・・・・・

えんど


知世ちゃんお誕生日話、中学生編です。
まあ、実際のところ知世ちゃんは本当にいい子で、さくらに無理やり何かするなどということは無いと思います。
せいぜいが小学生編に書いたように、眠っているさくらにこっそりキスをするくらいではないでしょうか。

・・・・・・と思ってはいるのですが、どうしても気になってしまうのが劇場版・封印されたカードの冒頭で見せた邪悪な微笑み

「わたしが作ったお洋服を着ていただいて撮影するためには手段を選びませんわ〜〜おほほほほほ〜〜」

あれを見ると、どうしてもこの少女、実は邪悪な本性を隠しているのでは?
東京バビロンの星史郎さんやXの封真のように、優しい微笑は仮面で冷酷な素顔があるのでは?
彼女もCLAMPキャラだし。
と思ってしまうのです。

いや、そんなことはないと信じていますけど。
さて、もう一度、『封印されたカード』でも見てみますか。
Blu-rayないんでDVD版ですが。

って・・・・・・あれ?
パソコンがない?
さっきまでそこに置いてあったはずなのに・・・・・・ハッ!? 人の気配?
なっ、何っ!?
あ、貴方は・・・・・・知世嬢!?
いつのま・・・・・・・・・・・・

「『THE WORLD!』 わたしだけの時間ですわ!」

ドォォ――――――ン!!

ズラァッ

ビタァァァァッ!!


まったく、このタワケ男は・・・・・・。
前にもアレほど警告したというのにまたこんなアホ話を。
まあいいですわ。
ヒガシカタ・ノリスケ!
これで貴方はオシマイ! ですわ!

ズギャァァァ――――――ン!!

本体名:ヒガシカタ・ノリスケ
スタンド:友枝物語(トモエダ・ストーリー)
再起不能(リタイア)
To be continued・・・・・・

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