『至高の愛?(逆襲の小狼編)』



チュン チュン チュン・・・

「う・・・ん・・・」

窓から届いてくる小鳥たちの声にさくらは目を覚まされた。
視界に入ってくる光景は見慣れた自分の部屋のものではない。
整然と片付けられた、それでいてどこかに異国の香りのする部屋。

「ここ小狼くんの部屋だよね。そっか。わたし昨日、小狼くんの家に泊まったんだ」

目を覚ました場所が自分の部屋と違う場所。
この感覚にまださくらは慣れていない。
それは当然だろう。
まだ片手の指で数えるほどしか経験していないのだから。

(でも、いつかは・・・)

いつかはこれが当たり前のことになる。
その日を夢見てさくらは少しだけ頬を赤く染めた。

一人で寝るには少し広すぎるベッド。
小学生の時この部屋にあったものとは違う。
彼は何を思ってベッドを換えたのか。
それを想うと少し体がむずがゆくなってくる。

今、その広いベッドの上にいるのは自分だけ。
この部屋で目覚めた時はいつもそうだ。
さくらと違って早起きな彼。
今頃はさくらのために朝食の準備をしているところだろう。

(たまには小狼くんが起こしに来る前に起きなくちゃね)

そして朝一番に言わなくちゃ。

「おはよう、小狼くん」

って。
そしたら今日も1日、素晴らしい日になる・・・

(※らぶらぶモード終了。以下、アホ話モード)


☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆


ぐにっ。

「あれ?」

ベッドから降りたら足が何かを踏んづけた。
やわらかくて中に堅い芯が入ったもの。
なんだろう?と思って視線を床に下ろす。

・・・?

最初、さくらは「それ」がなんであるのかわからなかった。
荒縄でぐるぐる巻きにされたなにか。
よ〜く見ると手足がついてるらしい。
全体がなんか赤っぽい。
何かで叩かれたような痕と熔けた蝋が全身を覆っているからだ。
それがみょ〜な格好で床の上に転がっている。
時々落ちてる車に轢かれてぺっちゃんこになったカエルに似ているような・・・?

もう一度目をゴシゴシしてから「それ」を見つめる。

そして「それ」が愛する小狼の成れの果ての姿と気づくまでタップリ30秒はかかった。

「ほ、ほえ〜〜〜!!!小狼くん!」
「さくら・・・やっと起きてくれたか・・・」
「ひどい!一体、誰がこんなことを!」

いや、全部あなたがやったんですけど。

「とりあえず縄をほどいてくれ・・・。あと水が欲しい・・・」
「わかったよ!水だね!『水(ウォーティ)!』」
「うわっ、水ってコップに1杯でいいん・・・ごぼごぼっ!」

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****** しばらくお待ちください ******

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「え〜っとね。知世ちゃんにビデオ見せてもらってね」
「ふんふん」
「そのビデオで男の人がどうしたら悦んでくれるかやっててね」
「ほうほう」
「それで知世ちゃんがビデオに出てた道具を貸してくれてね」
「なるほどなるほど」
「あと、奈緒子ちゃんに借りたマンガでもお勉強して。それで小狼くんにも悦んでもらおうかな〜って思って。え〜っと・・・小狼くん、やっぱり怒ってる?」
「ん?いや、全然怒ってないぞ」
(はぅ〜〜〜ウソだよ〜〜〜。小狼くん怒ってるよ〜〜〜)

当たり前だ。

あんな真似をされても怒らないのはよほどに特殊な性癖の持ち主だけだ。
いつも通り穏やかに見える小狼だが、こめかみにびちびちと血管が浮かび上がってるのが見える。
これが少年マンガだったら小狼の背景に



という文字が浮かび上がっているところだろう。

「なるほどなるほど。いや、よ〜っくわかったよ(怒)」
「わかったって・・・何がわかったの?」
「つまり『これ』が至高の愛を確認するための道具ってわけだな」

小狼の言う「これ」は昨日小狼を縛り上げていた荒縄。
それを両手でピン!と張ってさくらにジリジリとにじり寄ってくる。
一見、穏やかな顔をしているが目が笑っていない
なまじ表情が優しいだけに目の怖さが際立つ。
はっきり言ってめちゃくちゃ怖い

「しゃ、小狼くん?それで何するつもりなの?」
「なにって決まってるじゃないか。オレとさくらの愛を確めるのさ」
「え?えぇ?あ、あの、え〜と・・・そ、それやっぱり愛を確める道具じゃないんじゃないかな〜〜〜って思うんだけど・・・」
「い〜〜〜や。オレはそうは思わないな。さくらは使い方を間違ってたみたいだけどな」
「使い方って・・・え?えぇぇっ???小狼くん?ほ、ほえ〜〜〜〜〜〜!!!」

小狼の心の奥底に潜む悪魔の封印を解き放ってしまったさくら!
その運命や如何に・・・!

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**** しばらくお待ちください ****
            (※R18指定)
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「うぅっ、ひどいよ〜〜〜。こんなに痕が残っちゃったよ〜〜〜」
「お互い様だ。今日は学校がないから大丈夫だろ。ったく・・・イテテ」

朝っぱらからのドアホウな一幕もようやく落ち着いたようだ。
それにしても二人そろってトンでもない状態である。
どちらかだけならともかく、両方とも縛られた痕があるときては一体どんなマニアックなプレイをしているのか?と誤解されそうだ。
どちらかというと小狼の痕の方がヒドイ。
最低限の力しかかけなかった小狼と違って、さくらは『力(パワー)』まで使っておもいっきり縛り上げたからだ。
よく死ななかったものである。

「まったく大道寺のヤツ・・・なにが至高の愛だ。さくらもさくらだ!あいつの言うことをいちいち真に受けるな!」
「う〜ん。でも・・・」
「でも、なんだ!」
「小狼くん、いつもよりずっと激しかったよ。『お前の体が誰のものか教えてやる!』とか言っちゃって(ポッ///)。やっぱり男の人ってああいうのが好きなの?」
「!?な、なに言ってるんだ!オレにそんな趣味はないぞ!そんなこと言ったらさくらだって・・・いつもよりずっと感じてなかったか?」
「!?ち、違うよ!そんなことないもん!さくら変態さんじゃないもん!」
「と、とにかく!『至高の愛』は禁止だ!柳沢のマンガも禁止!そのバカな道具も大道寺に返して来い!」
「は〜〜〜い」

とお互い「変態さんじゃない!」と主張しあう二人。
でも、そんなこと言いながら心の中では

(縛られたさくら、すごく艶っぽかった・・・あと1回くらいは見てみたいな・・・)
(ちょっと怖かったけど、いつもと違って新鮮だったかな〜。もう1回くらいだったらいいかも・・・)

などと思っているのでした。
ま、これで「至高の愛」騒動はひとまずオシマイ。

・・・のはずですが???

END?


逆襲の小狼編。
最初だけいろいろなサイト様のお話を参考にして甘甘モードにしました。
すぐいつも通りのアホ話になりますけど。
なお、おまけの『逆襲の小狼・本編』は男性視点のR18なので女性にはあまりオススメできません。

この後は
「至高の愛・・・その果てにあるもの」
に続く・・・かもしれません。

逆襲の小狼・本編(※R18指定)

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