『真・白雪姫』 前編


世界迷作劇場その9 真・白雪姫 前篇

キャスト
白雪姫:小狼
王妃様:山崎:
王妃様の付き人:千春、利佳、奈緒子
魔法の鏡:苺鈴
猟師:桃矢
7人の小人:知世
王子様:さくら

うん、やっぱりこれやな〜〜。
CCさくらでおとぎ話ちゅ〜たらこのキャストでないとあかんな〜〜。
ほな、いってみよか〜〜。

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昔々のその昔。
ある国に一人の王妃様がいました。
この王妃様はとても美しく、国中で評判になるほどでした。
ですが。
なんといいますかその。
CLAMPでおとぎ話っていったらほら。
やっぱアレしかないでしょ?

「お〜〜ほほほほほ。今日も良いお天気ですこと。こんな日にはいいことがありそうですわ〜〜」
(ひそひそ・・・・・・なんか山崎くん、ノリノリだね)
(ひそひそ・・・・・・うん。女の子しゃべりも上手いし)
(ひそひそ・・・・・・山崎くんってそういう趣味があるんじゃないの千春ちゃん)
(ひそひそ・・・・・・ひょ、ひょっとしたらそうかも)

かなりというか相当にアレな王妃様にお付きの女官たちも困惑気味。
そんな女官たちを気にもとめずに王妃様は命令します。

「これ、お前たち。そんなところでこそこそしていないで早くアレを持ってきておいで」
「は〜〜い、かしこまりました」

しばらくして女官たちが持ってきたアレとは大きな鏡。
ちょっと古びていますが豪華な装飾のついたなかなか値打ちものそうな鏡です。

「ご苦労。さ、お前たちは下がっておいで。いいと言うまで入ってくるんじゃありませんよ」
「は〜〜い」
(山崎くん、やっぱりちょっとアブナイよね)
(う〜〜ん、この先のつきあい方を考えた方がいいのかなあ)

女官たちが下がり王妃様以外だれもいなくなったはずの部屋。
孤独なはずの部屋の中で王妃様は鏡に向かって話しかけます。

「鏡や鏡、魔法のかかった不思議な鏡よ。この世界で一番美しいのはだあれ?」

問う者はいても答える者はいないはずの空間。
にもかかわらず、どこからともなく不思議な声が王妃様に答えるのでした。

「ちょっと! なんなのよこのキャストは! なんでわたしがこんな役なのよ! 普通だっらここはわたしが王妃様役でしょ!?」
「あははは〜〜。一応それも考えたんだけどね〜〜。苺鈴ちゃんが王妃様役だとちょっと洒落にならない気がして」
「なんでよ」
「それにね。実は書いてる人がアニメ版で一番気にいらなかったのが学芸会の時に僕が魔女役じゃなかったってところなんだよ」
「はあ?」
「書いてる人がね〜〜。僕の魔女役を期待してあの回を見たら苺鈴ちゃんが魔女役で落胆しちゃったってこと(*)があってね〜〜。だから今回はどうしても僕でってことに」
「なんなのよ、それは!」
「ま、それはいいから。鏡や鏡、この世界で一番美しいのはだあれ?」
「もう。はいはい。王妃様、それは貴方です。こう言えばいいんでしょ」
「ダメだよ苺鈴ちゃん。もっと心を込めて言わないと」
「めんどくさいわねぇ。王妃様、世界で一番美しい人、それはあなたですわ!」
「ほ〜〜ほっほっほ。ありがとう、鏡さん」

・・・・・・なんかいろいろとツッコミどころはありますが。
そうなのです。
この鏡は普通の鏡ではありません。
不世出の魔導師、クロウ・リードが残した魔法のかかった不思議な鏡なのです。
人語を解するだけでなく、世界中のどこでも写すことのできる不思議な魔法の鏡。
そんな魔法の鏡の評価は世界でもっとも信用のある言葉といっても過言ではないでしょう。
王妃様もその辺のことはよくわかっていらっしゃるので、鏡の返事にいつも満足して眠りにつくのでした。

(*)本当。
当時、ビデオでこの回を見て魔女が山崎くんでなかったことに大きなショックを受けました。
この回のせいで苺鈴ちゃんへの評価が悪くなっています。
ここのお話に苺鈴ちゃんがあまり出てこないのはそのせいかもしれません。
他にもツバサのアニメ版で一番残念だったのはピッフルワールド編に山崎くんが出てこなかったことというのもあります。

それはさておいて。
時とは流れうつろってゆくもの。
苺鈴ちゃんが魔女役をやった日もツバサのピッフルワールド編に山崎くんが出なかったことも、もう過ぎ去った遠い日々。
全てのものは移り変わっていく。
それが伝説の魔道士クロウ・リードの残した言葉。
鏡の評価もまた。
ある日のこと。

「鏡よ鏡、魔法のかかった不思議な鏡。世界で一番美しいのはだあれ?」

いつも通りの答えを期待して鏡に問いかける王妃様。
しかし、それに対する答えは。

「王妃様それはあなたです、なんて言うと思った? 残念でした! 今日から世界一は変わったのよ!」

トンデモナイことを言い始めた魔法の鏡。
これには王妃様もビックリ仰天。

「な、なんですって!? わたしよりも美しい女の子がいるっていうの?」
「そうよ」
「きーーっ、それはいったいどこの誰なの!」
「それは・・・・・・この子よ!」

ババ〜〜ン!

大仰なSEとともに鏡に映しだされたのは。
・・・・・・。
えぇ〜〜っと。
なんていったらいいんでしょうか。
キリットした眉毛に凛々しいお目目。
それとアンマッチないかにもウィッグという感じのロール巻きリボンの髪にカチューシャ。
まあ、かわいいっちゃあ可愛いですね。
一般的な女の子の可愛さとはかなり違うような気もしますけど。
この辺は魔法の鏡さんの趣味が入ってるような気がします。

「こ、この子が世界一可愛い子?」
「そうよ! 小狼こそが世界一! 小狼の可愛さに比べたらあなたなんか月とスッポン、障子にのれん、馬の耳に猫の小判よ! お〜ほっほっほっほっほ」

わけのわからんことわざで白雪姫を褒める魔法の鏡さん。
この魔法の鏡さんは外国出身の方ですので日本のことわざにはあまりくわしくありません。
その辺は大目に見てあげてください。
白雪姫の舞台って日本か? というのもスルーの方向で。

「きぃ〜〜〜、くやしい〜〜!! わたしよりも可愛い子がいるなんてゆるせない!」
「そんなこと言ったってダメなんだからね〜〜。小狼こそ世界一の男の娘よ!」

いや、それ違いますから。
やはり外国の方に日本の文化を正しく伝えるのは難しいですね。
正しく伝わるのもそれはそれで問題だとは思いますが。
まあ、その辺もおいておいて。
魔法の鏡さんの言葉に王妃様はカンカン。

「これ、だれかある!」
「へいへい」

王妃様のお呼びにこたえて出てきたのは一人の猟師。
ところでこのシーン、なんで猟師さんなんでしょうね。
普通、王妃様が呼んだら出てくるのは城の人だと思うのですが。
なんか深い意味があるんでしょうか。
考えてもしょうがないのでその辺もスルーしましょうか。

「お前に命じます。この子を森に連れ出して始末してしまいなさい! 手段は問いません」
「そんなこと言われてもなあ。ん? こいつは・・・・・・あのガキか。わかった! まかせろ。確実に始末してやる」
「たのんだわよ」

王妃様の無茶な命令に猟師さん、なぜかあっさりと従ってしまいます。
それどころかかなりノリノリです。
どうやら白雪姫に何か含むところがあるみたいです。
白雪姫と何かあったんですかね。
まあ、どうせしょーもないことだとは思いますが。

さてさて。
こうして王妃様の命令に従って白雪姫を森に連れ出した猟師さん、森の奥深く誰も通りそうもないところまで来ると腰からすらりとよく切れそうな刀を抜き放ちました。
その目からして完全に殺る気マンマンです。

「そ、そんなものを出してなにをする気だ!」
「なにってそんなのきまってるじゃねえか。悪いがここで死んでもらうぜ! 恨むんならおれじゃなくて王妃様を恨むんだな!」
「お、王妃様が?」
「そうだ。おれはこんなことしたくないんだが王妃様の命令なんだ。悪く思うなよ」
「本当か? そうは見えないんだが」
「うるさいやつだな。とっととくたばりやがれ!」
「わわわっ」

どう見ても個人的なうらみつらみで白雪姫に襲い掛かる猟師さん。
持ち前の身軽さでなんとか刀をかわす白雪姫でしたが、じょじょに追いつめられていきます。
そして、ついには逃げ場のない木陰に追いつめられてしまうのでした。
白雪姫、絶対絶命です。

「ここまでだな。観念しな」
「ま、待ってくれ。おれを助けてくれたらいいものをやるぞ!」
「いいものだと? なんだ」
「こ、これだ!」

そう言って白雪姫が取り出したのはかわいらしい女の子のお人形。

「こ、これでどうだ」
「バカ野郎、それはCCさくら一番くじ D賞の『あつめてフィギュア for Girls』じゃねえか! そんなもんで許されると思ってんのか!」
「ううっ、くそ。な、ならばこれならどうだ」

お人形が通じなかった白雪姫が次に取り出したのはやはり女の子のお人形。
ですが、さきほどの品物よりもちょっと豪華っぽいものです。

「ほう。A賞のハートフルフィギュアか。なかなかのもんだが、その程度じゃあまだまだだな」
「くっ、しかたがない。ならばこれでどうだ!」

最後に白雪姫が取り出したのはこれもかわいらしい女の子の描かれたブックレットらしき品物。

「ラストワン賞の描き下ろしイラストホルダーだ! これでどうだ」
「ラストワン賞か。まあ、これならいいだろう。貰っていくぞ」
「お、おい、ちょっと待て! 全部持ってく気か!」
「当たり前だろう」
「せめて一つくらいは・・・・・・」
「甘えるんじゃねえ。命があっただけありがたいと思うんだな!」
「く、くそう」

こうしてレアなグッズと引き換えになんとか命を永らえた白雪姫。
っちゅーか、一番くじとか本当にこの物語の舞台はどこなんでしょうか。
どーみてもグリム童話の世界じゃありませんよね。
ま、その辺はも考えてもしょうがないのでスルーして先に進みましょうか。

白雪姫の苦難はまだまだ続きます。

NEXT……


続きます。

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