『さくらと不思議な羽』


※注意
本作はパラレルものです。

小狼−高校生
さくら−小狼に拾われた子犬

という設定です。



「じゃあ、さくら行ってくるよ。今日もいい子でお留守番してるんだぞ」
「わん!」

いってらっしゃ〜〜い、小狼くん。
わぅ!
小狼くんはえらいなあ。
いっつも真面目に学校行ってお勉強してるんだもん。
朝から夕方までずっとお勉強でしょ?
すごいよね〜〜。
さくらには無理かなあ〜〜。
さくら、そんなに真面目にお勉強なんかできないよ。
やっぱり小狼くんはすごいなあ。

さ〜〜て。
今日は何してようかなあ〜〜。
小狼くんがいないとやることなくてヒマになっちゃうんだよね。
ううん、いけないいけない。
小狼くんはお勉強してるんだから。
そんなこと言ってちゃダメだよね。
でも、どうしようかなあ〜〜。
テレビでも見てようかな〜〜。
えへへ、実はね。
さくら、最近テレビの見方をおぼえたの。
このリモコンってやつをぽちぽちするとテレビが映るんだよ。
それでここをぽちぽちするとチャンネルが変わるの。
どう、すごいでしょ。
こんなに頭のいいワンコはそうはいないんだから。
小狼くんもほめてくれたよ。

「お前ってやつは本当に……。こういうことには頭が回るんだな。まったく……はぁ」

ほめてくれたんだよね?
なんかちょっとびみょ〜〜なお顔だった気もするけど。
まあ、いっかあ。
さ〜〜て、今日はどんなのがやってるかなあ〜〜。
美味しそうなお料理番組とかやってないかな〜〜。

………………………
………………
………

ふぅ。
テレビもあんまり長いこと見てちゃダメだね。
ちょっと疲れちゃった。
でも、さっきのお料理はすごく美味しそうだったよ。
今度小狼くんにお願いして作ってもらおうっと。
あ、もうこんな時間かあ。
ちょっと早いけどお昼ごはんにしようか。
お腹も空いてきたし。
ご〜〜はん、ご〜〜はん♪♪
今日のご飯はなにかな〜〜。
さくらの好きなものだといいんだけど。

ヒュゥゥゥゥゥ……
パァァァァァッ

ん?
今、なにか音がしなかった?
あっちのお部屋の方から聞こえたみたいだけど。
あれ?
廊下の向こうでなんか光ってる?
なんだろ。
どろぼうさん……じゃないよね。
どろぼうさんは光らないと思うし。
いったい、なんだろ。
ちょっと見てこよっか。

パァァァァァッ

ほえ〜〜。
ま、まぶしい〜〜。
なんなの、これ〜〜??
なにが光ってるの〜〜??

ヒュゥゥゥゥゥ……

んん、少しまぶしくなくなってきたような。
ちょっとずつ見えてきたよ。
光ってるのは、ええっと。
これって。
羽……だよね。
なんでこんなところに?
ひょっとすると小狼くんのかな。
小狼くんは不思議なものいっぱい持ってるから。
でも、小狼くんがいない時になんで急に光り始めたんだろ。
これまでこんなことなかったけどなあ。
それに、こんな羽はこのお部屋に置いてなかったと思うけど。
小狼くんはさくらと違って何でもすぐかたづけちゃうから、こんな風に置きっぱなしなんてこともないし。
それにしても。
とっても綺麗な羽だね。
こんな綺麗な羽は見たことないよ。
ううん、羽だけじゃない。
こんな綺麗なもの、見たことないよ。
不思議な模様も書いてあるけど、それもよく似合ってる。
これ、やっぱり小狼くんの?
この模様、小狼くんが持ってるお札の模様とちょっと似てる気がする。

それに。
なんていうか。
なんだろ。この気持ち。
この羽を見てるとなんかおかしな気持ちになっちゃう。
とっても不思議な感じ。
あ、そっかあ。
これ、この前のサンタさんの感じに似てるんだ。
でも、あの時のサンタさんよりもこの羽、もっともっと強い感じがする。
もっともっと不思議な感じがする。
この羽を見てると。
なんでもできそうな気がするよ。
そう、この羽さえあれば。
なんでも願いが叶うような気がするよ。
なんでも。
どんなお願いでも……

ピカァァァァァァァァァァァ!!

え、え?
な、なんなの??
またひかりはじめた?
さ、さっきよりまぶしいよ〜〜。
ほ、ほぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜

………………………
………………
………

―――――――――――――――――――――――――――――――――

う、う〜〜ん。
まだ頭がくらくらする〜〜。
いったい、なんだったの〜〜?
ん?
あの羽は?
羽がなくなってる。
どこいっちゃったんだろ。
おかしいなあ。
ま、いっかあ。
どうせさくらが考えてもわかんないしね。
それより、ご〜〜はん、ご飯。
お昼ご飯だよ〜〜。
おひるごはん……んん?
あ、あれ?
もうこんな時間になってる!
な、なんで〜〜?
まだお昼になってなかったはずなのに〜〜?
もうすぐ小狼くんが帰ってくるお時間だよ。
どうして〜〜??
おっかしいなあ。
さっきの羽のせいなの?
ひょっとしてさくら、あの羽が光った時に眠っちゃったのかなあ。
さくらが眠ってる間にあの羽はどっかに行っちゃったってこと?
と、とりあえず。
小狼くんが帰ってくる前にご飯を食べなきゃ。
よいしょっと。
うん?
あれ?
な、なんか変だな。
お部屋がなんかいつもと違うような?
なんていうか、こう……
ちっちゃくなってる?
小狼くんの椅子、もっとおっきかったよね。
さくらが背伸びしても届かなかったもん。
でも、今はさくらよりちっちゃいよ。
どうなってるの?
おっとっと。
う〜〜ん、やっぱりなんかおかしいなあ。
ふらふらするよ。
なんか自分の足が自分の足じゃないみたい。
ん?
足?
あれ? あれれ?
わたし、足で立ってる?
人みたいに?
そういえば体についてるこのひらひら。これってお洋服?
わたし、お洋服を着てるの?
ま、まさか。
ひょっとして。

そ〜〜〜〜〜っと。

やっぱり!
このおて手!
これ、人間のおて手だよ!
あの初夢の時といっしょだ!
わたし、人間の女の子になってる!
きっとあの羽!
あの羽がさくらのお願いを聞いてくれたんだ!
そっか〜〜。
サンタさんが言ってたのはこのことだったんだね。
やったあ。
これで小狼くんをぎゅ〜〜ってできるぞ〜〜。
うん!
今度こそ小狼くんをぎゅ〜〜ってするんだ。
小狼くん、早く帰ってこないかなあ。

あ!
この感じ。
この感じは小狼くんだ!
小狼くんが近くにいる!
帰ってきたんだ。
やったあ。
うれしいなあ。
ああん、もう。
もうこんなところで待ってられない。
小狼くん、今行くからね〜〜。

NEXT……


続きます。

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