『お兄様へ 1』


(※この先は完全に「男性視点」のR18指定でかなりエグイ表現があります。
苦手な方と18歳未満の方はご遠慮ください)



お兄ちゃん。
なんか懐かしいな。
最後にお兄ちゃんって呼んだのはいつのことだったけ。
もう1年にもなるのかな。
わたしがこのお屋敷に奉公するようになってから。
早いものだね。
もうそんなになるんだ。
お兄ちゃん、体の具合はどう?
悪くなっていない?
不便なことはない?
あぁ、でもそこは大丈夫だよね。
雪兎さんがいてくれるから。
ケロちゃんもいるしね。
ケロちゃんはちゃんとやってるのかな。
またおかしなことをして雪兎さんを困らせてなければいいけど。
わたし?
うん。
わたしは大丈夫。
元気と丈夫さだけがわたしの取り柄だからね。
とっても元気だよ。
身体の方は。
身体はほんとうに大丈夫。
傷一つないよ。
このお屋敷は住むところも食べるものもとっても素敵なの。
前にお兄ちゃんといっしょにいたころとは比べ物にならないくらいにね。
お仕事もそんなに辛いことはないし。
だからわたしの身体のことは心配しなくていいよ。
身体はとっても元気だから。
身体は……

お兄ちゃん。
ほんとうに懐かしいなあこの呼び方。
もう一度こう呼んでみたいなあ。
お兄ちゃんに会って。
雪兎さんにも。
ケロちゃんにも。
みんなに会いたいなあ。
でもね。
もうダメなの。
わたし、もうみんなに会えないの。
みんなに会えない子になっちゃったの。
わたしはもう、みんなが知るさくらじゃなくなっちゃたの……

―――――――――――――――――――――――――――――――――

「さくらです。今日からお仕えさせていただきます」

今でもよくおぼえているよ。
わたしがこれからお仕えすることになる“小狼様”に初めてお会いしたあの日のことは。
はじめて小狼様を見たときはちょっと驚いたよ。
小狼様はすごい素敵な方なの。
ううん、なんていうのかな。
ハンサムとかアイドルみたい、とかそういうのとはちょっと違う。
ハンサムなのはたしかなんだけどね。
なんていうのかなあ。
気品があるっ、ていうのかなあ。
でもそれだけじゃなくて。
とんでもないなにかがある、っていう感じがする人なの。
その時はちょっと見とれちゃった。
こんな素敵な人にお仕えできるなんて夢みたいって思っちゃったの。
その後、どんな目にあうかも知らないで。
でも小狼様がとっても素敵な方なのはたしかだから。
今でもそう思っているよ。

「お前が新しいメイドか。ほぅ。なかなかの上玉だな。偉のやつふんぱつしたか。ふふっ、こいつは楽しみだ」
「はい。よろしくお願いします」

わたしって本当におバカだよね。
小狼様にこう言われてもそれがなんのことなのか全然わからなかったよ。
考えたらすぐわかりそうなものなんだけど。
でも、これはお兄ちゃんのせいでもあるんだよ。
お兄ちゃんのせいでわたし、男の子と遊んだことなんかなかったんだもん。
だから全然知らなかったの。
男の子が女の子のことをどう見ているかなんて。
「男の人」にとって「女」にどんな意味があるのかなんて。
本当に全然知らなかったんだよ。
この時までは……

その夜、わたしは小狼様の部屋に呼び出されたの。
こんな時間に男の人の部屋に呼び出される意味なんて一つしかないよね。
さすがにわたしもまさかって思ったよ。
でも、この時はいくらなんでも会ったその日にすぐなんてないだろうって思っちゃった。
今ならわかるよ。それがどんなバカな考えだったのか。
小狼様を普通の人と同じように考えちゃうなんてね。

「さくらです。入ります」
「よく来た。まあ、そこにかけろ」

小狼様のお部屋はシンプルで少し殺風景な気はしたけど、よく見ると置いてある調度のどれもがお金がかかったものなのかはわかる。
そんなお部屋で小狼様が最初にかけてきたお言葉は。

「率直に聞くぞ。お前、処女か」
「は? あ、あの今なんと」
「聞こえなかったか? 処女かって聞いたんだよ。男と寝た経験はあるか」

こんなの聞かれたこと今まで一度もなかったよ。
それも会ったばかりの人に。
あたりまえだよね。
でも、小狼様はそのあたりまえが通用しない人なの。
小狼様の言っている意味は理解できたけど、わたしは答えられなかった。
答えられるわけないよ。
いくら素敵な人でも会ったばかりの人にそんなこと言えないよ。
まっ赤になってうつむいちゃった。
そうしたらね。

「ふん。反応の鈍い豚だな。調べる方が手っ取り早いか」

って言われて。
いきなり胸元をつかまれてひっぱられたの。
びっくりするよね。

「な、なにをするんですか!」
「まったく。本当に鈍いやつだな。お前が答えないなら調べるしかないだろ。とっとと裸になれ」
「いやあ!」

もちろん逃げたよ。
入ってきた時にドアに鍵はかけてない。
ドアまで逃げられれば、そう思ったの。
でも。
ドアに手が届く前に足元を掴まれちゃった。

「や、やめてくだ……?」

声をあげようとして。
ふりかえった時に見えちゃったの。
小狼様が椅子に腰かけたままなのが。
小狼様は一歩も動いていない。
それじゃあわたしの足首を掴んでいるのはいったいなに?
それであわてて足首に目をやったんだけど。
今度はなにも見えなかった。
見えないけれどたしかに足首は掴まれている。
掴まれてじりじりと小狼様の方にひきずろうとしている。
見えない何かに足首を掴まれている!

「い、いやぁぁぁ!」

今度の悲鳴はさっきのとは違う。
目に見えない人間じゃないなにかが部屋の中にいる。
それに対する人間の本能的な恐怖による悲鳴。
わたしは床を掴んで必死で抵抗したけど無駄だった。
それの力はわたしよりもはるかに強かった。
「それ」はわたしを小狼様の前にひきずり出して固定した。
そして小狼様は優しい声でこう言ったよ。

「で? 自分で脱ぐか。それとも脱がされたいか」

自分で脱ぐ方を選んだよ。
しょうがないよね。
だって、もしも抵抗したらどうなるか。
この目に見えない「なにか」に服を引きちぎられることになるのが一目瞭然だったもん。
そうするしかなかったよ。
もちろん小狼様もそれをわかってて聞いてきている。
小狼様はそういう人なんだよね。
優しく選択肢を与えてくるけど。
選ぶ余地なんかさいしょっから欠片もない。
わたしが迷うのを見て楽しむ。
そういう意地の悪い人なんだよ。小狼様は。

一枚一枚服を脱いでいく。
スカートを脱いでズロースを下ろして。
最近つけ始めたブラジャーもパンツも一枚一枚脱いでいく。
男の人の目の前で。
これがどんなに恥ずかしいかなんて男の人にはわからないかなあ。わからないよね。
わたしもこんなに恥ずかしいなんて思ってなかったもん。
全て脱ぎ終えたけど、やっぱり恥ずかしくて。
おっぱいとあそこだけは必死で手で隠してたの。
もちろんそんなの許されるわけがないけど。

「手をどかせ。見えないだろう」
「もうこれ以上は……お許しください」
「やれやれ。この豚はまだ自分の立場が理解できてないのか。手がかかりそうだな。まあいい」

ここでもまだ小狼様は自分の手は動かさなかった。
目に見えない力がわたしの両手を掴んで引きずりあげる。

「いやぁぁっ!」

両手を吊り上げられてわたしのおっぱいもあそこもみんな小狼さんの目に晒されてしまった。
それだけじゃない。
見えない何かはわたしの足首も掴んでじりじりと左右に割り開いていく。
必死で抵抗したけど、もちろんまったくの無意味。
簡単に広げられちゃった。
両手を吊り上げられた状態で足もこれ以上ないくらいに広げられてる。
素っ裸でだよ?
それも男の人の目の前で。
もう恥ずかしくて。
それに見えない何かが怖くて。
泣くこともできなかったよ。
ただぷるぷる震えているだけ。
小狼様がようやく椅子から立ち上がったのはわたしが恥ずかしいポーズで完全に固定されてからだった。

「ほう。こいつは……。服の上からではわからないものだな。これほどの上玉とは。偉のやつ、俺の趣味がよくわかっているじゃないか。どれ」

誉められたらしいことはわかったよ。
そこでちょっぴり嬉しく思っちゃうのがわたしのおバカさんなところ?

「ふむ。大きさも形もいいな。いや、素晴らしい。偉のやつめ。どうやってこういうのを選んでくるんだ? さて、感度の方は」
「痛ッ!」

痛い痛い痛い痛い痛い!
もう、痛いなんてもんじゃなかったよ。
だって、乳首をいきなり捻り上げられたんだもん。
そんなに強い力じゃないんだけど、敏感なところをそんな風にされたら。
そりゃあ痛いよ。ものすごく。
その後も小狼様はわたしの胸をしばらく触り続けた。
捻られたのは最初の時だけで、あとはさすったりつまんだりだったんんだけど。
やっぱり痛いよ。

「こっちの方はまだまだか。まあいい。おいおい仕上げるとしよう。さて。問題はこっちだな」
「やぁぁ……いやぁぁぁ……」
「毛はずいぶんと薄いんだな。ま、それも俺の好みにあうが。中の方は」

小狼様の指がわたしの「あそこ」に伸びる。
自分でもめったに触ることなんてない秘密の場所。
そこを男の人に弄られる。
多分、女の人にとって最大の屈辱。
小狼様の指がわたしのそこを撫で、つねり、さすり、そしておもむろに開いていく。
二本の指で、秘密の花びらはこれ以上はないといところまで広げられて、その奥まで小狼様の目に晒されてしまう。
あぁ、見られている。
自分の一番恥ずかしいところを。
その奥の奥まで。

「つぅ……!」

小狼様の指がそこに侵入してきた時、全身に電流が流れたみたいな刺激が走った。
今まで感じたことのない感触。
異物が身体に侵入してくるおぞましい感触。
おぞましいのに、なぜかふるえてしまうような感触。
小狼様の指はそのまま侵入を続け、あるところまで進んで止まった。
わたしの……わたしの女の子の証のあるところで。

「あ、あっ……」

あぁ、擦られてる。
わたしの「女の子の証」を小狼様の指で擦られてる……
擦られる度に身体に痺れが走る。
それは女の子の純潔を守ろうとする身体の必死の抵抗。
びくんびくんと身体を震わせたんだけど。
それって、小狼様を楽しませてるだけだよね。
ようやく小狼様の指が抜かれた時にはもう、ぐったりなって声も出なくなってたよ。

「やはりまだ、のようだな。まあ当然か。俺への供物だからな」

そこでふいに目に見えない力が消えた。
支えを失って床に崩れ落ちる。
もう身体を隠す気力もない。
ただうずくまるだけ。
「検査」は終わったらしい。
わたしが女の子であることを調べる検査は。
この次にくるのは一つしかない。
ここでわたしの「女の子」はおしまい。
そう覚悟したんだけど。

「ご苦労だったな。戻っていいぞ」
「え……?」

小狼様の言葉は意外なものだった。
さっき脱いだ服を投げ渡される。

「どうした。行っていいぞ」
「は、はい」

あわててお洋服を身につけて立ち上がりドアへと。

「し、失礼します」

それは小狼様の耳には届かなかったみたい。
もうわたしには興味がないという風に関係ないところを見ていた。
こうしてわたしのお仕えの最初の日は終わった。
ううん、はじまったの。
わたしの人生を根こそぎ溶ろかしてしまう恐ろしくも妖しい日々が……

NEXT……


ときどき書きたくなるえろえろ話。
続く。
ちなみにオチはいつも通り。

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