『淫戯編・2』
「きゃっ!?」
さくらが最初にその感触に気がついたのは、朝食のクロワッサンをテーブルへ運んでいる途中だった。
何かがお尻を撫でていったような感触があったのだ。
あわてて背後を見回すがもちろん誰もいない。
「どうした」
「いえ。誰かにお尻を触られたような気がしたのですが」
「気のせいだろう。この部屋にはオレとお前しかいない。それより、さっさと飯の準備をしてくれないか。今日は忙しいんだ」
「は、はい」
小狼の言う通り、部屋の中にはさくらと小狼しかいない。また、背後に何かぶつかるような物も置いてない。
気のせいだったのかと給仕を再開する。
が、しばらくたったころ。
「ひゃぁぁ!?」
再び、何かがさくらに接触してきた。
今度は触れられたのはお尻ではない。太股だ。
スカートの内側の太股を何者かに触られている。
その感触にビックリして手にしていたティーポットを床に落としてしまう。
カチャン
ティーポットが床に当たる硬質な音が響く。
「さくら。さっきから何をやっている! 少し気が緩んでるんじゃないのか」
「も、申し訳ありません。でも、今、誰かがわたしの身体を・・・」
「いいかげんにしろ。この部屋にはオレとお前以外、誰もいない。何べん言えばわかるんだ。これ以上、ふざけたことを口にするな!」
「はい・・・」
小狼に怒声を浴びせられてさくらは口をつぐんだ。
これ以上、この気難しい御主人様の機嫌を損ねるわけにはいかなかったからだ。
だが、この感触は気のせいなどではない。
現に、今も何者かが太股を擦っている。
しかも、それはジリジリと太股の根元の方へとにじり寄って来る。
スカートの上から両手で太股を抑えたが無駄だった。
何の手応えもない。
なのに確かに触られている感触はある。
そして、その感触はついに太股の根元へと、女の子の一番敏感な箇所へと到達した。
「んんっ・・・くぅ・・・」
思わず洩れそうになる声を必死で抑える。
そんなさくらの抵抗を嘲笑うかのように、謎の侵入者の蹂躙は続く。
何者かはわからないが、それは女の子の秘密の箇所に大いに関心をもっているようだ。
しかも、関心があるだけでなくその扱いにも長けているらしい。
敏感な秘裂の入り口をゆっくりと弄うようになぞってくる。
力任せに押し入ってくるような真似はしない。
何度も何度もくり返しなぞりながら、少しずつ侵入を深めていく。
それがさくらには堪らない。
純潔を奪われて以来、何度も調教を受けてきたさくらの体は、普通の女の子のそれに比べて遥かに敏感になっている。
そんなさくらの体はこの接触に耐えることができない。
すでに、侵入者の愛撫によって自分のそこがタラタラといやらしい汁を分泌し始めているのがわかる。
愛する御主人様の目の前で、何処の誰ともわからぬ者の辱めを受けている。
しかも、自分の体はそれに淫らな反応を見せてしまっている。
悔しい。
(やぁ・・・こんなのいやぁ・・・小狼様の前でこんな・・・助けて、小狼様・・・小狼さ・・・ま・・・?)
救いを求めるように小狼に目をやったさくらは、そこであることに気がついた。
小狼の瞳がわずかだが妖しい光を帯びて輝いている。
これは小狼が不思議な力を使う時に発生する現象だ。
つまり、小狼は今、何か妖しの術を使っているのだ。
そして、もう一つのことにも気がついた。
小狼は先ほどから左手しか使っていない。
クロワッサンを口に運ぶのも左手だったし、ティーカップを持っているのも左手だ。
右手はテーブルの上に投げ出されたままで全く動いていない。
いや、全く動いていないわけではない。
人差し指と中指だけがかすかな動きを見せている。
まるで、手の上に見えない何かがあってそれを撫でているかのような不思議な動きだ。
見えない何かを撫でるような・・・
(あ、まさか? わたしを触ってるのは・・・小狼様の・・・指?)
その疑惑が確信に変わったのは、小狼の2本の指が天に向かって直立した瞬間だった。
ぬぷぅっ
指が起き上がるのと同時に、さくらの内部に2本の棒状のものが侵入してくる。
さんざんに焦らされたさくらの体は、この侵入によって一瞬、頂点へと昇りつめてしまいそうになった。
もう、間違いない。
謎の侵入者の正体は小狼の指だ。
(しゃ、小狼様・・・朝からこんな・・・ダメぇぇぇ・・・)
なおも声を押し殺そうとするさくらをよそに、小狼の指は妖しく蠢く。
手首まで起こして指を伸ばし、さくらの最奥をつつく。
かと思えば、鉤爪ように指を折り曲げて柔らかい肉壁を穿る。
くねる様に、ねじる様に指を回して抉りこむ。
それは女の子にとって果てしなく妖しい光景だった。
自分の中をどのように掻き回されているかを見せつけられているのだ。
常識では有り得ない光景だ。
目の前で蠢く指の動きがそのまま、自分の肉の中で再現されている。
それとも、自分の肉をほじくられる様を目の前で再現されていると言った方がいいか。
小狼の指に絡みつく自分の淫肉が見えてきそうだ。
聞こえぬはずのぬちゃぬちゃという音がさくらの頭の中で響く。
股間から流れ込む甘い快感がさくらの体を蕩かしてゆく。
「く・・・ふむぅ・・・」
陵辱者が小狼と判明しても状況は何一つ変わらない。
さくらと小狼の関係は世間一般の男女のそれとは全く違う。
さくらには冷酷な御主人様の悪戯に抗議する権利など与えられていない。
御主人様のお食事が終わるのを直立不動の姿勢で待ち続ける、これがさくらに課せられた義務だ。
小狼の声がかかるまで、さくらは身動き一つすることができない。
ただひたすらに御主人様の気まぐれのお遊びが終わるのを待つしかないのだ。
(ふ・・・うぅん・・・だ、大丈夫・・・。あと少し・・・あと少しだけ我慢すれば・・・)
崩れ落ちそうになる膝を抑えながら、さくらは必死になって今日の小狼のスケジュールを思い出していた。
今日は朝から重要な会議がいくつも入っていたと記憶している。
いつまでも自分と戯れている暇はないはずだ。
あと少し、小狼の食事が終わるまでのほんの少しの時間だけ我慢すればいい。
あとほんの少し。
あと5分。
あと3分。
あと・・・
そんなさくらの前で小狼の指はさらなる変化を見せる。
もう微妙な動きはしていない。
そのかわり、まるでVサインをするかのように人差し指と中指をパックリと開いている。
当然、さくらの秘裂も下着の中で同じようにパックリと口を開いている。
開かれた肉壁からジクジクと蜜が滲み出して下着に染み込む。
染み込みきらなかった分は太股を伝わって滴り落ちていく。
流れ落ちた愛液がさくらの膝下までもを濡らしていく。
ツーぅっと蜜が垂れ落ちるたびに、さくらの体はガクガクと震える。
もう我慢できない。
このまま座り込んで自分の指も添えて慰めてしまいたい。
激しく秘肉を掻き回して思う存分に絶頂を貪りたい。
後でどれほどキビシイ罰をうけてもいい。
今、この瞬間の快楽に全てを・・・・・・
(こ、これ以上は、もう・・・小狼様ぁぁ・・・お、お情けを・・・さくらにお慈悲をお与えくださ・・・)
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
―――――――――――――――――――――――――――――――――
「そろそろ時間だな」
小狼が立ち上がったのは、まさにさくらの忍耐が潰えようとする瞬間のことだった。
同時にさくらの中から指の感触が消える。
「じゃあ、行ってくる。それと、今日の帰りは遅くなる。食事は先に済ませておけ」
「はい。わかりました。いってらっしゃいませ」
予定を告げる小狼の表情も口調もいつもと変わらない。
瞳の妖しい光も消えている。
残酷な妖術師のそれから財閥御曹司のそれへと戻っている。
戯れの時間は終わったのだ。
よかった。
なんとか耐え切った・・・
さくらはホッと心の中で安堵のため息をついた。
それがいけなかった。
「あひぃっ!? ひいいいぃぃぃぃっっ!!」
さくらの口から人のものとは思えぬ絶叫が迸る。
先ほどまで弄られていた秘裂の上、女の子の最も敏感な肉の芽を凄まじい激痛が襲ったのだ。
この時、小狼の人差し指と親指が何かを捻り上げるような動きを見せていたのだが、それはさくらの目には入らなかった。
激痛と快感が一緒くたになって股間から頭頂まで突き抜けていく。
先ほどまでの愛撫に焦れ切った肉が立て続けの絶頂に見舞われる。
そして。
ぷっしゅうぅぅ〜〜〜
「いやあぁぁぁっ!」
悲鳴と共にさくらの股間から生ぬるい液体が吹き出した。
あまりに激しい快感が、さくらの膀胱の筋肉を弛緩させてしまったのだ。
緩みきった股間から大量の小水が流れ出る。
「いやあぁ・・・止まってぇ・・・止まってぇぇっ!」
あわてて両手で股間を抑えるが、一度堰を切った流れを止めることはできない。
もう立っていることができず、その場にへたり込んでしまう。
それでも小水の流れは止まらない。
へたりこんださくらを中心に小水の水溜りが広がっていく。
「やあぁぁ・・・こんなのやぁぁ・・・いやぁぁ・・・」
ようやく流出が止まった後も、さくらは自らが作り出した水溜りの上で赤子のように泣きじゃくり続けた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
「とんでもないことをしてくれたな。さくら・・・」
小狼が声をかけてきたのは、さくらの泣き声が声にならぬ嗚咽に変わってからのことだった。
肩がビクッと震える。しかし、小狼の顔を見返すことはできない。
フルフルと震えながら俯くばかりだ。
そんなさくらにさらなる残酷な追い討がかかる。
「その絨毯がいくらすると思ってるんだ。お前が何年働いたって買えるような代物じゃないんだぞ」
「お、お許しください、小狼様・・・」
「謝ったくらいで許されると思ってるのか? どうやらお前には李家のメイドとしての心構えが足りてないようだな」
「あぁぁ・・・」
「いい機会だ。今日はお前にみっちりと仕込んでやろう。淑女のたしなみというやつを。お前の体にみっちりとなぁ・・・」
「お許しを・・・お許しを・・・小狼様・・・」
無茶苦茶な小狼の命令に対して、さくらはただひたすらに許しを乞い続ける。
無論、どんなに許しを乞うたところで、この男が許してくれるはずなどないことはわかっている。
しかし、さくらにできることはそれしかない。
冷酷な御主人様に飼われる「ペット」にできることは、泣きながら許しを乞う・・・それくらいしかないのだ・・・
NEXT・・・