『生誕の日・狂狼編』


※この先、R-18指定な内容を含みます。苦手な人と18歳未満の方はご遠慮ください。
小狼が鬼畜でもOK! という方だけどうぞ。




















熱い。
身体が熱い。
頬が、胸が、お腹が、秘所が、お尻が、太股が、身体中いたるところが熱い。
これまで受けたことのない強い力で舐られているからだ。

揉む。
こねる。
摩る。
ねじる。
摘む。
潰す。

およそ考えられる限りの手段で身体中を嬲られている。
だから熱い。
身体中が燃えるように熱い。

けれど、痛くはない。

小狼の行為はたしかに激しいものだった。
これまでの優しい閨事とはまるで違う。
肌に食い込む指には容赦のない力が込められている。
しかし、その力は人の肉体の限界を超えるほどのものではない。
さくらの身体を破壊するには到っていない。
たしかに荒々しいが破壊のための行為ではなく、人を愛するための行為だ。
たとえ愛する側が人でないものであったとしても。

「ひゃぅぅ・・・・・・」

さくらの口から今宵何度目になるかわからない喘ぎ声が漏れる。
胸の先端の敏感な突起を摘みあげられたのだ。
2本の爪が薄桃色の突起に食い込み、キリキリと捻りあげてゆく。
かなりの力が加わっているように見えるが、不思議なことに血一滴滲んでこない。
鋼すらやすやすと引き裂きそうに見える凶悪な爪は、柔い肌に傷一つつけていない。
さくらも見た目ほどの痛みは感じていないようだ。
ぼうっと熱に浮かされたような顔で己の肉を弄う指を見つめている。
その瞳にあるのは恐怖や苦痛の情ではない。
さすがに悦びのそれとまではいかぬものの、どこか満足そうな顔をしている。

人外の妖魔に身体を貪られている。
身動き一つできぬミジメな身体を無惨に汚されてゆく。
なのに、心のどこかでそれを喜ぶ自分がいる。
貪られることを望む自分がいる。
それは相手が小狼だから。
ようやく手に入れた自分だけの『いちばんの人』だから・・・・・・

―――――――――――――――――――――――――――――――――

小狼の変貌を目の当たりにした時は、さすがにさくらも恐怖を感じた。
一年前の恐怖が数倍に増幅されて全身を駆け巡った。
鋭い爪と牙が、剣によるものよりも無惨な末路を連想させたからだ。
やはり、これが自分の運命だったのか・・・・・・そうあきらめかけた。
肉を引き裂かれる激痛を予感して身をこわばらせた。

だが、それからの小狼の行為はさくらの予想とは異なるものであった。
行為自体は激しく、荒々しい。
そして、やはり人ではない妖異な責めもその中には混じっていた。
四肢を縛る黒い縄は、ただ身を拘束するにとどまらず、妖しい蠢きを示して全身の性感を刺激する。
秘裂にねじ込まれた舌が、異物が侵入するはずのない胎奥の壁をゾロリと舐めあげる。
もう一つの絶対不可侵の秘穴も、人の指を遥かに超える長さの触手の侵略を受けてヒクヒクといやらしい悶えを見せる。
人には成しえぬ、妖魔の血を引く者にのみ可能な淫虐な責め。
舌がぬめる度、触手が震える度にさくらはあられもない絶叫を上げて悶え狂った。

しかし、それはそれだけのことだ。
たしかに壮絶な責めではあるが、破壊や暴力を目的としたものではない。
牙が肉を裂くこともなければ、打擲されることもない。
狂気にとりつかれ完全に理性を失ったかに見える小狼だが、ギリギリのところで最後の一線は越えていない。
すなわち、さくらを傷つけてはいない。
その一線を越えてしまったらもう、さくらの傍にいることはできない。
小狼の中に最後に残った微かな心と理性がそれを恐れているのだ。
陵辱を受ける側にいるさくらにはそれがわかる。
激しく責め嬲られている。
けれど、その責めの中には自分へのいたわりもたしかにある。
彼は自分を傷つけようとしているのではない。
これは彼の愛情表現なのだ。
ただ、ちょっとだけ愛し方が不器用なだけなのだ。

(あは・・・・・・やっぱり小狼様は優しいよ・・・・・・どんなに変わっても・・・・・・さくらのこと大事にしてくれる・・・・・・)

―――――――――――――――――――――――――――――――――

さくらのこの感慨には残念ながら少し的外れなところがある。
小狼の責めはさくらが考えているほど甘いものではないのだ。
妖魔に変貌した肉体の放つ魔力が、尋常でないレベルにまで高まっている。
並みの人間ならば、触れただけで肉も精神も焼き尽くされて5分と持たずに絶命するほどの強さだ。
それを心地よいと感じられるのは、小狼に劣らぬ魔力を持つさくらだけであったろう。

「あ・・・・・・ふぅ・・・・・・」

触れ合う肌からさらなる魔力が流れ込んでくる。
触れてくる肌は冷たい。それが妖魔の体温なのだろう。
けれど、流れ込んでくる力はとても熱い。
その熱さの中には怒り、嫉妬、独占欲、女体への獣欲、支配欲・・・・・・さまざまな感情が入り混じっている。
ぽややんなさくらにはそれらの凶暴な感情をうまく理解することはできない。
さくらにわかるのはそれらの感情の芯に自分への想いがあること、それだけだ。
強い熱も、凶暴な感情も、肉体の変化すらも全て自分への想いから生まれている。
今、自分はそれほどまでに強く求められ、愛されているのだ。
自分だけのいちばんの人に―――

(小狼さまぁ・・・・・・もっともっとさくらを苛めてください・・・・・・さくらは小狼様を裏切ったいけない女の子です・・・・・・・いけないさくらにもっとキツイオシオキをくださいぃぃ・・・・・・)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・

―――――――――――――――――――――――――――――――――

「ひゃぁぁ・・・・・・ひぐぅ・・・・・・」

熱いものに貫かれている。
背後から、いわゆる獣の姿勢で貫かれている。
無論、さくらが望んだポーズではない。
『影』の触手に強制された結果だ。
頭をベッドに押し付けられ、膝をついて無理やり腰を浮かせた状態で固定されてしまっている。
ミジメで不様で屈辱この上ない格好だ。
いつもならば、いかに小狼が相手でも羞恥心が先立ってこのような状態で快楽を感じることなどできなかったろうが、今夜ばかりは別だ。
小狼から流し込まれた多量の魔力がさくらの肉体と理性を狂わせている。
胎奥を突き上げられる度にはしたない声が口から迸る。
その瞳にも表情にも理性の欠片も感じられない。
汚され、陵辱されることを悦ぶ卑しいマゾヒズムがじわじわとさくらの精神を侵食していく。
心が溶け堕ちていく。どこまでも。

「・・・・・・か」

そんなさくらの精神をわずかに覚醒させたのは小狼の声だった。
小狼が耳元で何かを囁いている。
だけど、よく聞こえない。
正確には聞こえてはいるけれど、快楽に焼け爛れた脳が言葉をうまく解釈していない。

「姉上に・・・・・・よりも・・・・・・いいか」

また何かを囁かれている。
でも、やっぱりよくわからない。
わからないので答えようがない。
さくらにできたのは、理性の無いうつろな瞳を小狼に向けることだけだ。
そんなさくらに業を煮やしたのか。
次の問いかけは激しい刺激と同時に発せられた。

「姉上にされるよりも気持ちいいかって聞いてるんだ! 答えろ、さくら!」
「いぎぃぃっ!」

背後から強烈な力で胸を押し潰されてさくらは白目を剥いて悶絶した。
新たな刺激が電流となって全身を駆け巡り、さくらの精神が完全に覚醒する。
そして、ようやく小狼の言葉を理解した。
芙蝶たちと自分、どちらの方が気持ちいいか、そう聞かれているのだ。

「答えろ、さくら。どっちが気持ちいいんだ。姉上か、オレか? どっちだ、さくら!」
「しゃおらんさまです! 小狼様にされる方が気持ちいいですぅ!」

叫ぶようにしてさくらは答える。
それは微塵も嘘偽りの無い、本心からの叫びだった。
だが、さくらの答えを得ても小狼の表情に変化は現れない。
さくらの答えは小狼の望みどおりのものではあったが、まだ満足していないらしい。
さらに聞き返してくる。

「本当にか? 本当にそう思っているのか!」
「ほんとうです! 小狼様の方が気持ちいいです!」
「本当だな。本当にオレの方がいいと思ってるんだな」
「ほんとうですぅ! 本当に小狼様の方が気持ちいいんです! しんじてくださいぃっ!」
「本当だな!」

執拗に問いを繰り返してようやく小狼は満足の笑みを浮かべた。
さくらの絶叫と痴態が狂った精神を充足させたようだ。
さくらを貫く動作を再開する。
禍々しい肉の凶器で先ほどまでよりも更に深く、更に鋭くさくらの胎奥を抉る。
抉りながら叫ぶ。

「お前のご主人様は誰だ! 言ってみろ!」
「小狼様です! わたしのご主人様は小狼様ですぅ!」
「お前の身体は誰のものだ!」
「小狼様のものです!」
「ならば、心はどうだ。魂はどうだ。言え、さくら! お前の魂は誰のものだ!」
「小狼様のものですぅ! さくらの心も魂もみんなしゃおらんさまのものですぅぅ!」
「そうだ、お前はオレのものだ! オレの、オレだけのものだ! くぅっ・・・・・・さくら、さくらぁ!」
「小狼さまぁっ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・

互いの名を呼び合いながらどこまでも昇りつめていく二人。
李家当主の生誕を祝う宴はまだ当分終わりそうにない・・・・・・

NEXT・・・


生誕の日の続き話その3です。
前回、調子に乗って小狼様を魔物にしてしまったので、うまくラブい方向にいってくれません。
オチはもう少しラブい方向になる予定です。

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