『シャオデレラ』


世界迷作劇場その5怪 シャオデレラ前編

キャスト
シャオデレラ:小狼
意地悪な継母:夜蘭
意地悪な継姉:芙蝶、雪花、黄蓮、緋梅
親切な魔法使い:?
王子様:?

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昔々、あるところにシャオデレラというとても可愛らしい男の子女の子がいました。
小さい頃にお父さんを亡くしたシャオデレラは、お母さんと4人のお姉さんと一緒に森の家で暮らしていました。
貧しいながらも家族6人、幸せな毎日・・・のはずなのですが。
なぜか、母と4人の姉達はシャオデレラに辛く当たるのでした。

「シャオデレラ! シャオデレラはどこにいるの!」
「はい、姉上。なんでしょうか」
「シャオデレラ! お前にはわたしの部屋を掃除しておけと言っておいたはずよね。なんでまだ終わってないの!」
「ですが、姉上。芙蝶姉さまにも部屋をかたづけろと言われていまして。先にそちらの方を掃除していたところです」
「なにそれ。芙蝶姉さまの部屋は掃除できても、わたしの部屋は掃除できないって言うの?」
「いや、姉上。芙蝶姉さまの部屋の掃除が終わったら・・・」
「言い訳は無用よ! まったく、なんて子なの! わたしはお前をそんな子に育てた覚えはないわ! そんな子にはオシオキよ!」

バシィッ!

「あ、姉上!? ちょ、ちょっと待ってくださいよ」

今日もいきなり始まった姉のイチャモンにうろたえるシャオデレラ。
と、そこへ他の姉達も登場。

「な〜に、雪花姉さま。またシャオデレラが何かしでかしたの?」
「あ、聞いてよ、姉さま、黄蓮、緋梅。シャオデレラったら、お部屋の掃除をお願いしたら、あんな汚い部屋掃除する気になるか! なんて言うのよ」
「まあ! なんてヒドイことを言うの、この子は!」
「誰のおかげで毎日ご飯が食べれると思ってるのよ! どうやらまだ自分の立場がわかってないみたいね。たっぷり身体に教え込んであげるわ!」
「わわわ! あ、姉上! オレそんなこと言って・・・どわわわわ〜〜っっ!!」

ボカスカボカスカ
ドカバキドカバキ
ボカスカボカスカ
ドカバキドカバキ

シャオデレラ、フルボッコです。

(あぁ、許して小狼。これもお前を立派な李一族の当主にするための試練なのよ)

ボカスカボカスカ

(そうよ、これは試練なの。わたしたちも好きでこんなことをやってるんじゃないのよ)

ドカバキドカバキ

(本当よ。決してお前が悶える顔がカワイイから、とかそんなこと思ってないから)

ボカスカボカスカ

(でも小狼ってイジめると本当に可愛い顔するのよね〜〜。この顔見てるとつい・・・えいっ!)

ボカァッ!

「きゅう」
「ふ〜〜、スッキリした〜〜・・・じゃなくて。いいことシャオデレラ! 昼までには掃除を終わらせておくのよ」
「わたしの部屋もやっておくのよ」
「ついでに庭のお掃除もね!」

☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆

「うぅっ、あんまりですよ。姉上・・・」

姉達のオシオキでボッロボロになったシャオデレラ。
しかし、可哀想なシャオデレラには体を休める間もありません。
今度は意地悪な実の継母が登場です。

「シャオデレラ! そんなところで何をやっているのですか。朝の修練は終わったのですか」
「は、母上。いえ、まだ始めておりません」
「まだ始めてもいない? シャオデレラ! お前はこんな時間になるまで何をやっていたのですか!」
「それが・・・姉上たちに邪魔されて」
「見苦しい言い訳はお止めなさい! そんなことでお父上の跡が継げると思っているのですか! シャオデレラ! そこへお直りなさい!」
「母上! ですから・・・」
「雷帝招来!」

どっかぁぁ〜〜ん!

姉の暴行に続いてお母様のキツイ一撃が炸裂。
真っ黒コゲになってひっくり返るシャオデレラ。

「いいですね、シャオデレラ。昼までに魔法と拳法と語学と経済学の予習を終えておくのですよ」
「あうぅ・・・」
「わかったのですか、シャオデレラ! わかったならキチンと返事をなさい!」
「わ、わかりました・・・母上・・・がくっ」
(あぁ・・・許しておくれ小狼。これもお前をお父上に負けない立派な当主にするための愛の鞭なのよ。わかっておくれ)

顔で怒って心で泣いて・・・涙を隠して辛い愛の鞭を振るうお母様。
ま、なんと言いますか。
愛の鞭も行き過ぎるとただの鞭と変わんないよ〜〜の見本みたいな気もしますけどね。

☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆

「イテテテ。今日の母上のオシオキは一段とキツかったな。こんなんじゃ身がもたないよ」

一人、屋根裏に与えられた部屋で身の不幸を嘆くシャオデレラ。
あの後も庭のお掃除にお買い物とお料理、さらには日課の修行とハードなスケジュールが続きました。
普通の男の子女の子ではとても耐えられそうにない厳しい毎日です。
ですが、シャオデレラはめげません。

「だけど、これも一人前の当主になるためには必要な修行なんだ! そうだ、母上も姉上たちもオレのためにわざとキツイ課題を与えてくださるんだ! そうに違いない!」

キリッ!

「こんなことでくじけないぞ! 父上、見ててください。小狼は必ず李家を再興してみせます!」

夜空に浮ぶ亡き父の面影に誓いをたてるシャオデレラ。
シャオデレラ、無駄に前向きです。

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