『シンデレラ・前編』


世界迷作劇場その5 シンデレラ

キャスト
シンデレラ:さくら
意地悪な継母:大道寺園美
意地悪な継姉:大道寺知世
親切な魔法使い:?
王子様:小狼

(ちょっと。なんなのよ。この『意地悪な継母』っていうのは)
(わたしもですわ。なんでわざわざ『意地悪な』ってついてるんですの?)
(ん? 二人にぴったりな役名やと思うけどな)
((なんですって〜〜〜!))
(わ、わっ。とりあえず落ち着けや。そういう物語なんやからしょうがないやろ。ほな、行くで〜〜)

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昔々、あるところにシンデレラというとても可愛らしい女の子がいました。
でも可哀想なことに、女の子のお母さんは早くに亡くなってしまっていました。
そこでお父さんは二度目の結婚をしました。
相手のお母さんにも一人の娘がいたため、シンデレラは一度に新しいお母さんとお姉さんの両方ができました。
しかし。
このお母さんとお姉さんは大変に意地悪な人たちだったのです。

「シンデレラ! シンデレラはいないの」
「はい。お呼びでしょうかお母様」
「(おかあさま・・・あぁ、なんていい響きなの。さくらちゃんにそう呼ばれるとゾクゾクしちゃう〜〜)」
「お母様? 何かご用があるのではないのですか?」
「ん? あ、そうそう。シンデレラ! お前にはこの部屋を掃除しろと言っておいたはずよね」
「はい。先ほどお掃除はすませました」
「済ませた? じゃあ、これはなんなの!」

そう言うと、意地悪な継母は障子の桟を人差し指でツッーとなぞりました。

「この埃はなんなの! これでも掃除をしたと言えるの!」
「え? あ、申し訳ありません! そこは拭き忘れてしまいました」
「拭き忘れたぁ? お前、最近ちょっと弛んでるんじゃないの? どうやら少しオシオキが必要なようね」
「そんな・・・お許しください、お母様!」
「謝ってすんだら警察は要らないわ!(あぁ、もうさくらちゃん、なんて可愛い目をするの。たまらないわ〜〜) シンデレラ! 覚悟をおし!」
「お母様! あぁっ、そんな・・・あぁぁ・・・」

無茶苦茶な理由をつけてシンデレラをいじめる意地悪な継母。
なんでシンデレラの舞台に障子があるんだ? とか
お前は昔の昼ドラに出てくる嫁をいびる姑か! とか
とりあえず口元のヨダレを拭え! など
ツッコミどころが満載ですが、ツッこんでると話が進まないので先に進ませていただきます。

☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆

「ハァッ、ハァッ・・・」

ようやく意地悪な継母のオシオキから解放されたシンデレラ。
と、そこへ今度は

「シンデレラ。ちょっとよろしいかしら」

意地悪な継姉から声をかけられました。

「なあに、知世ちゃん」

パシンッ!

「!? と、知世ちゃん?」
「知世ちゃん〜〜?? お前はいつからそんなに気安くわたしの名を呼べる身分になったの! どう呼べばいいか教えてあげたはずよ!」
「ごめんなさい、お姉さま・・・。うっかりしていました」
「(おねえさま・・・なんて素晴らしい響きなのかしら。さくらちゃんにそう呼ばれると・・・あぁ、幸せすぎて目眩が・・・)」

意地悪な継母と同じ反応を見せて悶える意地悪な継姉。
さすがは母子です。
しかし、アブナサにかけてはこの意地悪な継姉の方が一段と上でしょうか。
完全にトリップして目がアッチの世界に行ってしまっています。

「お姉さま・・・?」
「あら、いけない。わたしとしたことが。シンデレラ。お前、ずいぶんと長いことお母様のお部屋にいたみたいだけど、二人きりで何をしていたのかしら?」
「そ、その・・・。掃除をさぼった罰でお母様にオシオキをされていました」
「オシオキ〜〜? 部屋の外までお前の悩ましい声が聞こえていたけど。一体、どんなオシオキだったの?」
「うぅぅ・・・それは・・・」
「シンデレラ。お洋服をお脱ぎ」
「えぇっ? お、お姉さま!?」
「お母様にどんなオシオキをされたのか、わたしの目で確めたくなったわ。さぁ、さっさとお脱ぎ!」
「はい・・・。お姉さま・・・」

意地悪な継姉の鋭い眼光に逆らえず、衣服を落とすシンデレラ。
露になる真っ白な裸体。
その肌に刻まれた赤い鞭の跡・・・

「あらあら。お母様ったら。ホントに容赦がないわね。フフッ、でもお前も・・・こんな目にあわされてたのに、あんな声をあげるなんて。なんてイヤラシイ子なの!」
「恥ずかしいことを言わないでください・・・」
「お前みたいにイヤラシイ子には厳しいオシオキがいるわね」
「お姉さま・・・お願いです。もう許してください・・・」
「もちろんダメよ、シンデレラ。さぁ、こちらへおいで」
「あぁぁ・・・」

再びシンデレラの身体を襲う愛という名の陵辱。
それにしても、この母子にシンデレラを預けたらこうなるのは目に見えてたと思うのですが。
お父さんは一体、何をやってるんですかね〜〜。

☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆

「くすんくすん。今日もお母様とお姉さまにいじめられちゃった。どうしてお母様とお姉さまはわたしをいじめるの? お母様もお姉さまもシンデレラのことが嫌いなの?」

一人、屋根裏に与えられた部屋で身の不幸を嘆くシンデレラ。
ま、あの二人はシンデレラのことが嫌いなのではなくて、愛しすぎるほどに愛してるからこそイジめてしまうのですが。
純真なシンデレラにはそういうディープな愛はまだ理解できないようです。
シンデレラにはそんなディープな世界に踏み込んで欲しくないですけど。

「で、でも!」

そんなシンデレラの最近の心の拠りどころは、お城から届いた舞踏会のチラシ。
なんでも王子様のお相手を探すための舞踏会が開かれるのだそうです。

「舞踏会の夜、わたしは一人でお留守番させられるんだけど、親切な魔法使いさんがわたしのためにドレスとカボチャの馬車を用意してくれて! それでお城で素敵な王子様に見初められて! で、ガラスの靴を落としちゃうんだけど、最後はそれが目印になって王子様と結ばれるんだよ! きっと、そうだよ! だって・・・」

カチャカチャカチャ・・・

「Wik○ped○aにそう書いてあるもん! だから、絶対大丈夫だよ!」

iPh○neでWi○ipe○iaを見ながらガッツポーズを決めるシンデレラ。
シンデレラ、わりと現代っ子です。

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