同軸ケーブルの短縮率を生かしたアンテナは可能か?
HFアンテナは昔から効率を落とさず出来るだけ小型にしたい、悲願のようなものです。
コイルでローディングする方法やエレメントを折り返したリニヤーローディングする方法がありますがワイヤーアンテナの場合は同軸カーブルの大きな短縮率(5D-2Vで公称.0.67)を利用できれば特別な細工をせずに短縮アンテナが出来るのではないか、この様な考えから色々考案されて来ました。
図1はCQ誌02年5月号(P40)の記事です、アンテナエレメント、ラジアルエレメント共に1/4λに共振した同軸ケーブルを使用しています。果たしてこの様なアンテナは実際に動作するのか検討してみました。
まず同軸ケーブルとはどんな性質を持つのでしょうか。

図2は同軸ケーブルの構造です、基本は平衡2線伝送回路(平衡フィダー)の片側の導体を中心に他方の導体を一定の半径でパイプ状に配置したものと同じと考えられます。高周波の伝送は中心導体と外側導体(シールド)の内側で伝送され外部への輻射や外部からの誘導などはありません。これはトランシバーのアンテナ端子へ先に何も繋がない同軸ケーブルを接続しても殆ど何も聞こえないことより実感できます。
同軸ケーブルの短縮率は中心導体とシールドの間の物質により真空中より伝播速度が遅くなりますがこの遅くなる割合を短縮率(K)であらわします。
空気中はK=1、ポリエチレン充填同軸(5D-2V等)はK=0.67発泡ポリエチレン充填同軸(5D−FB等)はK=0.8といわれています。
同軸ケーブルの実際の短縮率と1/4λに共振した時の性質などをしらべてみます。
図3はSWRアナライザ(MFJ-269)を使用して5D−2V,5D−FB及び300ΩTVフィダーの短縮率を測定したものです。各々ケーブルの長さは5mで物理長での共振周波数は15MHzです、測定は先端開放状態でのインピーダンスの抵抗分(Rs)、リアクタンス(Xs)が共に最小になる位置とします。
測定の結果は5D−2Vは9.45MHzでRs,Xsとも最小になり短縮率K=0.63になり5D−FBでは11.2MHzでK=0.75です、両方とも公称値より小さくなりましたこれは測定誤差や製造上のばらつきによるものと想像できます。300ΩTVフィダーは12.5MHzでK=0.83でした。
このパイプよりロープで吊り下げて測定します
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