同軸ケーブルでアンテナは短縮できるか?

同軸ケーブルとは、特性の把握と短縮率の実験
HFアンテナはできるだけ効率を落とさず短く小型にしたい、昔から大変重要な問題です。
短くする方法としてローディング・コイルやエレメントを折り返すリニヤー・ローディングなどがあります。
大きな短縮率を持つ同軸ケーブル(5D-2Vで公称0.67)をそのまま利用できれば特別なローディングをせづに短いアンテナが実現できるのではないでしょうか?
実際に同軸ケーブルをエレメントに使用し短縮率も公称値(0.67程度)をそのまま適用したアンテナもCQ誌の記事などに見受けられます。
モデルとして図1の様なアンテナ・エレメント及びラジアル・エレメントに同軸ケーブルを使用したと仮定したアンテナのモデルで同軸ケーブルの短縮率も検証します。
同軸ケーブルとは
同軸ケーブルの原理は図2のようにパイプ状の外側導体の中心に別の導体を配置したもので、電力の伝送は中心導体と外側導体の内側で行われ、高周波電流の流れる方向は必ず逆方向です。外部とは外側導体で電気的、機械的にも遮断されています。このため外部への輻射や外部からの誘導などの影響はほとんどありません。
同軸ケーブルの固有インピーダンスは外側導体の内径と中心導体の直径の比と内部に充填された誘電体の材質で決まりますが先端が開放や短絡状態で1/4λ、1/2λと波長に共振したときは直列共振回路や並列共振回路と同様に、インピーダンスは0〜数100KΩと大きく変化し、リアクタンスは1/4λより短いときは容量性リアクタンスとなり長い場合は誘導性リアクタンスの性質を示します。同軸ケーブルの短縮率(K)は中心導体と外部導体の誘電体により真空中より伝播速度が遅くなる割合で、空気中では真空時とほぼ同じくK=1,ポリエチレン充填同軸(5D−2Vなど)では公称K=0.67,発泡ポリエチレン充填同軸(5D−FBなど)は公称K=0.8といわれています。
これらの検証のために、以下の三種類の測定をしてみることにします。
@実際の同軸ケーブルの短縮率はいくらか、
Aアンテナのエレメントとして使用できるか。
Bラジアルのエレメントとして使用できるか。
測定環境
測定にはノイズブリッジとMFJ−269アンテナ・アナライザを使いインピーダンスの実効抵抗値(Rs)とリアクタンス(Xs)を測定します。
リアクタンスXs=0Ω(または最小数Ω以下)の時を共振周波数、共振状態とします。アンテナとしての動作の確認はICOM IC-729に接続して受信状態で判断します。
接地型アンテナとしての測定時は1.8mx4mの金網を地面に敷き高周波接地にします。これは7MHzで十分なグランドとして動作することは確認済みです。測定する同軸ケーブルは5D−2Vと比較のために5D−FB,300ΩTVフィダー、1.6mビニール電線を使用します。
写真1