武蔵野市市長交際費裁判

一審判決

 

武蔵野市長の交際費一部返還を訴えた裁判の一審判決では、原告(三宅えい子)が6件中件に勝訴しました2002.6.21 :東京地裁 市村陽典裁判長)  

判決は、平成11年度の市長交際費からの支出の内、問題ありとして提訴した6件 合計7万5千円について、5件 6万5千円の返還を被告である市長側に命じるというもので、ほぼこちらの主張が認められました。

 

 

市長交際費返還訴訟とは?

土屋正忠武蔵野市長等を相手取り、武蔵野市に住む原告三宅えい子(atむさしの代表)が、平成11年度の市長交際費支出(693件、 総額7,924,210 )の一部が違法であるとして平成1212月東京地裁に提訴したものです。

 

提訴した6件の支出と原告から見た判決結果

   一審
ジャズライブハウス「A」新店主披 露・祝宴祝い金 1万円
部課長会研修会後の懇親会祝い金 3万円
市内G寺院住職承継披露祝い金  1万円
市役所稲門会祝い金 1万円 
市民クラブ忘年会祝い金 1万円
焼酎愛飲党定例会祝い金  5千円 

         

提訴した金額が少ないのは、監査請求した支出58件約95万円(市の監査委員が全て棄却)の内、提訴を6件のみに絞ったからです。これは弁護士をつけない本人訴訟なので、あまり時間を割けないこと、費用のこと、なるべく短期間で判決を得ること、などを考慮したことが理由です。58件の中で6件が際だって違法性が高いということではなかったので、提訴件数次第では返還金額がもっと増えた可能性があります。

 

東京地裁判決文の内容のあらまし

判決文は29ページにわたりますが、要点をを自分なりに、分かりやすく書いてみました。

(判決文で述べられた首長交際費の定義)

地方公共団体は、外部の者との間で社会通念上相当と認められる範囲内の交際を行うことがあることから、その交際に伴って公金の支出が必要となる場合があり、このような場合交際費として支出を行うことも、社会通念上相当な範囲内である限り許容されていると解される。」

 

(各件支出の適否)

この定義に従って、裁判所は6件支出の適法性を検討しています。

1.ジャズライブハウス「A」新店主披 露・祝宴祝い金 ライブハウスの営業開始を祝賀する会合にすぎず、市長が出席することが地元商業振興の見地から必要なものとも言えない。従って社会通念上相当な範囲を逸脱していると言わざるを得ない。
2.部課長会研修会後の懇親会祝い金 市職員の間における親睦のための会合にすぎず、市政に関する意見交換や情報収集を目的とした行事とは認め難い。このような費用を交際費で賄うことは、社会通念上相当な範囲を逸脱していると言わざるを得ない。
3.市内G寺院住職承継披露祝い金  祝賀会自体は市政と直接関係のない住職の承継を披露する趣旨の会合に過ぎず、市長としての職務を遂行する上で必要であるいうことは困難。従って本件支出は社会通念上相当な範囲を逸脱しているものとして違法である。
4.市役所稲門会祝い金 同市の行政に従事する、特定の職員の間における親睦のための会合にすぎない。市長がこのような行事に交際費を支出して参加することの必要性は認められない。従って本件支出は社会通念上相当な範囲を逸脱していると言わざるを得ない。
5.市民クラブ忘年会祝い金 市長が市議会議員の会派の招待に応じて、議員との間で意見交換や意志疎通を行うことを目的として出席したもので、社会通念上の儀礼の範囲であり違法とは言えない
6.焼酎愛飲党定例会祝い金  同党の活動や定例会が武蔵野市の市政と具体的な関連を有することを認めるに足る主張や立証はなく、市長が同党定例会に参加することが市長としての職務を遂行する上で必要であるとは言えない。従って本件支出は社会通念上相当な範囲を逸脱しているものとして違法である。

 

(裁判所の判断に対する私の見解)

こちらの主張が認められなかった5について反論します。

5 は正式な招待状もなしに親しい市議から口頭で誘われた忘年会です。酒席で議員との間で意見交換や意志疎通を行うことは地方自治にとって正常な姿ではありません。出席することが、市長の職務を遂行する上で必要であるとも到底言えず、公金を支出することは、社会通念上相当な範囲を逸脱しているものとして違法であると考えます。

 

 

(秘書室長の責任について)

またこの裁判では、市長・市役所交際費にかかわる資金前渡しを受け、これを管理する秘書室長の被告適格が争われました。裁判所は市長の要請に基づくものであっても、違法であることが明かな支出に対して、前渡金管理者である秘書室長にも一定の責任があるとしました。