生徒指導通信 11

 

食事と短気

 朝、玄関に立っていると、足を重そうに引きずって歩いてくる、そんな生徒がいます。

 ある生徒は「だるい、だるい」と言い、ある生徒は、「おはよう!」という声にも、うなずくのがやっとなんでずね。一人の生徒に「どうしたの?」って聞いてみます。

 「朝、辛くって。起きれねなんだ」と答えました。

 「昨日、何時に寝たの?」って、わたし聞いてみたら、

 「10時ぐれがな?」と答えました。

 「朝ごはんは?」と聞くと、

 「ほとんど、食べたことね。朝、起きても誰もいねもん」っと。

 決して、睡眠不足ではないようですね。それでも“気分悪い”“むしゃくしゃする“こんな状態の生徒が見受けられるんですね。どうしてなんでしょうか?一見、きちんと生活リズムも整っているように見られるんですけど、何が原因なのでしょう。

 こんな生徒は、ここ数年、中学校によく見られ始めた特徴ある生徒の様子です。全部が全部というわけでは、ないんですよ。それでも、このけだるそうな、だらだらした中学生は確実に増加しているんです。

 【反抗期!?】そんな、大ざっぱなことで、この原因をわかったつもりになって良いのでしょうか?わたしは、疑問に感じるんです。

 

 先日、今年度PTAの生活指導部長である、Hさんと副部長であるMさんと、今年度第1回目の生活指導部会の持ち方について、3人で話し合いました。生活指導部の活動の中心は、やはり地区座談会です。今年も、いよいよそんな時期にきたんだなあと実感します。

 「ところで、学校の様子はどうです?」とHさんに聞かれます。

 「今は、落ち着いていますが、2学期がどうなるか問題ですね。」と正直にわたし答えました。お二人とも、中学校の様子をよく見ていらして、わたしの言葉に別に説明はいらないようです。

 「まずは、夏休みの過ごさせ方で決まりますよ!」と、半ば断定的にわたしが言います。話は、部会の持ち方から、簡単な雑談まで及びました。今は地域でも、自分の子以外に声をかけるのが難しくなったと、お二人がおっしゃいます。この地域で、そうなのだから、他の地域ではもっと難しいに違いありません。それでも、何か全家庭で意識してがんばるようなことを、この部会で提案していきたいものです。

 「数年前は、わたしの地区でね、親がまず自分の親に朝のあいさつをしようという活動をしたことがあるんでけど」とMさん。

 「それは、わたしもやりました。最初は、辛かったけど。慣れてくると向こうの方から声をかけるようになったりして。」とHさん。

 「本当はあいさつ運動だからあいさつするなんて、変な話だけど。そうすることで自然に当たり前に活動が広まっていけばね」とMさん。わたしも、その通りだと思います。座談会で、学校に要求することも大切だけど、もっと上を目指すならば、みなさんで、何か意識してがんばってみるものを互いに話し合うことが大切なんだと思うんです。でも、なかなかできませんね。「今回は、何かそんな活動がしたいものだ」と部長が語ってくれました。無理せず、できることからはじめましょうよ、みなさん。

 

 数年前、体を崩してから、食事が与える精神構造について、自分なりに興味を持っていたんです。最初は、食事ぐらいで人は変わるか?なんて思ったものなんですけど。本当に変わるんですね。中学生のリズムの崩れ。これは、食事もひとつの原因だと思うんです。“いらいら”“むしゃくしゃ”反抗期?。そればっかりじゃあないですよ。反抗期だからって、逃げていませんか?食事は、声をかけずに愛をかけれますよ。自分の子どもから「うるせー」なんて言われるのは、絶対に異常なことなんです。

 食事の工夫もみなさん意識して考えてみたいもののひとつです。

 

 次の朝、玄関に立っていると、普段“だるそう”に歩いている生徒がわたしに、にこにこ顔で走ってくるんです。

「先生!おはよう!。今日、朝ごはん食べれたっけよ!」って。

一度や二度の食事パターンの変化で、こんなに変わることはありえません。

 

 きっと、栄養素が精神構造を変えたんじぇなく。久しぶりに家族といっしょにご飯を食べれたことが、嬉しくさせたんですね。きっと。最後は、やはり理論じゃなく、人間愛なんであります。

 

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