生徒指導通信 1

発行によせて

保護者の皆様、本年度もこの○○中学校をどうぞ宜しくお願い致します。このたよりは、完全なる保護者向けのたよりであります。○○中学校の現在の様子、抱えている問題点などを報告して保護者の皆様といっしょに考えていきたいと思っております。一方通行のたよりにならないためにも、必ず返信用の空欄を設けております。このたよりを読んで感じた疑問点や日ごろ考えていること、中学生の校外での様子などで困っていることなどが出たときは、どんな小さなことでも構いませんので、この空欄に書いて生徒を通じて届けて下さるようお願い致します。氏名の記名・無記名は問いません。

 

初発指導

 どこの学校にも生徒指導、保健安全指導、学習指導の大きく3つの部があります。先生方はそれぞれこの3つの部のどれかに入っていて、生徒を一丸となって指導していくんです。そして、年度当初は、それぞれの担当が集会を持って、全校生徒に話しを行います。初発指導なんていうんです。

 わたしの受け持つ生徒指導部は、9日に行いました。その集会の場で、こんな事を言いました。

 

 今年1年、これを目指そう!

 「では、わたしから皆さんへ生徒指導について話をするよ。指導って言うことだから、こんな生徒になってもらいたいっていう目標があるんだ。わたし、今からちょっと小話をするから、それを聞いて考えてくださいね。」

小話

 数年前ですが、東京に出張に出かけたんです。地下鉄に乗りました。地下鉄はですね、もう座るところが一つもない、大変なラッシュなんです。椅子はもちろん、立っている場所もないほどなんですよ。みんなは、経験ないかな?ある駅でね、ひとりのおばあちゃんが乗ってきたんです。80歳は越えていたね。大きな荷物をもって電車に入ってきたんです。もちろん、座るところなんてないんです。でもね、世の中にはね、老人優先の席、シルバーシートっていうものがるんですね。おばあちゃんはね、それを探したんです。ドアの近くにありました。でも、そこには女子高校生2人が楽しそうに、話しをして座っているんです。おばあちゃんを見ても立とうとはしません。これがね、彼女達の言う、座る自由ってやつなんです。おばあちゃんは、その2人の前に立って、何も言いません。12つと駅が過ぎていきます。どうとうおばあちゃんは、その女子高生に言うんです。
「少しでもいいから、座らせてちょうだい」って。さすがの、女子高生もくさい顔をして立ったんです。わたし、少しほっとしましたよ。そしたらね、奥の人ごみの間をぬって、小学生らしい少年がやってきて言うんです。「おばあちゃん、ぼくの席に座ってよ。」って。

 

話はこれでおしまい。ね、みんなね、このおばあちゃんにとって、どこの席に座ることが、幸せだと思う?本当は、一人一人聞いてみたいんだけど、全員に聞くのは無理だね。

 わたしはね、ドアの近くのシルバーシートに座ることがおあばちゃんの幸せだと思っていたんです。でもね、おばあちゃんのとった行動をみて愕然としたんです。おばあちゃんはね、よっこらよっこら奥の少年の椅子に腰掛けにいったんですよ。

 

 わたしたちは、自分の見方で物事を考えていることが多いんです。おばあちゃんは、シルバーシートに座るべきなんだとか・・・。でもね、おばあちゃんにとっては、いやいやながら立った席に座るよりすすんで空けてくれた席に座るほうが、とっても気持ちよかったに違いないんです。わたしは、おばあちゃんの気持ちを想像できなかっ
たんです。
 みんなね、わたしがこの1年間、生徒指導を担当して目指しているのがこの心なんです。
 他人を想像する心。これをみんなに養ってもらいたい。
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人という、ぎゅうぎゅうづめのこの学校の中、あの女子高生のいう自由をみんなが叫べば、この学校は不幸せになる。みんな、さまざまな行事や活動場面で、今日言ったことを思い出してください。・・・。以下省略。』(初発指導で話した内容)

 2日後、朝玄関で、窓にはってあった新入生歓迎の花を1人でとっていたら、2年生の女の子がやってきました。「先生チャイムまで手伝ってあげる。」と言って。
 こんな心が学校全体に広がることを祈って、1年間スタートしました。ご家庭でも、話の種にしてみてください。では、また。

 

 

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