3月の生徒集会 

〜教師達の総合学習〜「水」

ねらい:

 本年度も残り少ない日々となった。今年1年のことを振り返り、来年への希望で終えるような集会が、今年度最後の集会のねらいである。ただし、3年生には、まだ受験が残っている生徒もおり、受験終了後には、「3年生を送る会」も生徒会で企画されている。そのため、3年生への感謝とか、今年1年の反省のみで終わるようなことにならないようにしたい。

そこで考えたのが、3学期も大詰めとなり、学ぶことの意義を教師も生徒も考えることの大切さである。すなわち、学ぶことの楽しさを再確認し、来年度以降への意欲を高め、さらに未来の自分を想像する時間となるようにしたい。

そこで、一つの試みをおこなった。それが、ある一つのテーマについて、それぞれの教科、教師がアプローチをするという、いわば『教師達の総合的な学習』である。

 

集会内容:

 

「水」というテーマで、まずは教師たちによる総合学習を展開したい。水というテーマに、それぞれの教科ならではの授業を、10分程度で行うのである。先生やその教科ならではの個性的なアプローチを見せることにより、学ぶことに対する新しい見方を、生徒達は持つであろう。そして、それによって、来年度の学校における学びについて、意欲や向上心を伸ばすことができるのではないだろうか。

 その後、最近発刊された「水は答えを知っている」を基に、言葉が与える影響などを紹介し、近い未来の自分への励ましのメッセージを書き、切手を張って封をさせる。その封書は、来年度の夏休みあたりに、郵便で送付したい。

 

期 日:平成14年3月8日  13:20〜14:40

(時間がかかることを考慮して、昼休みの短縮と掃除のカットをお願いしています。)

 

場所:多目的室

 

1.       教師達の総合学習「水」

 

 「今日は、[水]というテーマをもとに、それぞれの先生方が、10分間の授業をしてくれます。先生方には「水」ということで、なんでもいいので授業をしてくださいとお願いをしているだけです。先生方一人ひとりが、[水]ということを考えて、どんな授業を思いついたのか、みんな楽しみにしてください。きっとそれぞれの教科の個性がでると思いますよ。

 

2.当日行われた授業内容

 

@    英語
語学ということで、“Water”のつく言葉のいろいろという授業が展開されました。湖や沼から、汗、おしっこまで、生徒とのクイズ形式での授業です。そして、最後に、“Water”のつく諺でしめてくれました。英語の水は、たくさんの“Water”探しになりました。

A    音楽
若い先生ですが、発想は豊かですね。リポビダンDのびんをたくさん箱に並べて、それに水を入れたものを口で吹いて、楽器にしてくれました。(水は、家で入れてきて調整済みにして持ってきてくれました。)ちゃんとドレミの音階が鳴っただけでも、生徒の大拍手です。最後に、“ミッキーマウスのマーチ”を演奏してくれました。
音楽の水は、楽器になりました。

B    理科
水と理科は、比較的密接ですが、今回T先生が行ったのは、泥水から水道水を作る実験でした。あえて教科書にない課題で挑戦してくれました。夏にT先生は、東京に研修に行って、都会の水道水の作り方を学んだそうで、その際に使った薬品を持ってきてくれました。ビーカーに入った泥水に、薬品を入れると、茶色の水が、だんだん白くなっていきます。生徒達もこれを飲んでいるのかと考えて、今住んでいるふるさとの水の在り難さを知りました。理科の水は、水道水を作ろうになりました。

C    数学
この教科が、水というテーマでやってくれるかどうか、1番心配でした。でも、H先生は、果敢に挑戦してくれました。おおきな“たらい”に水をいれたものを、床に2つ用意してあります。なにをするのか、みんな興味深々。H先生が「今この水の上に、胡椒をたらすので、どうなるか、プリントに予想して。」と問いました。どの生徒も、集中して胡椒の動きを想像します。「じゃあやってみよう。」水の上にたらした胡椒は、渦を描きます。生徒によっては、何度も挑戦します。「実はここからが数学。この渦を計算するんです。でも、今日はやらないけど、数学はね自然の現象をなんとか解明する楽しさから生まれているんです。」まさに、教科書にない本当の数学の醍醐味です。
数学の水は、渦を計算するになりました。

D    保健体育
養護教諭による、生命の授業です。赤ちゃんにとって大切な水、特に羊水という水の不思議さなどを、プロジェクターでスクリーンに映像を映しながらの授業です。まずは、赤ちゃんの心音をテープで流しました。生徒はじっと耳を傾けます。そして、胎児の成長に欠かせない羊水について。この授業を行うまで、N先生は、市内の図書館やビデオ屋さんを駈けずり回ったそうです。まさに、教師の総合的な学習です。
保健体育の水は、命の誕生の条件になりました。

E    技術・家庭
昔のおもちゃである、水飲み鳥をもってきました。「実は、祭りの出店で昔たくさん売っていて、この動きの原理の不思議さに1日、同じ店に立っていたんです。」生徒の笑い。水飲み鳥の頭を濡らして、動かせる。「今からだいたい、6時間は動き続けます。」生徒は、びっくりです。水からエネルギー変換を考えることが技術科です。「次に、レンゲとガーゼや竹ぐし、せんたくばさみなどを使って、原理はちがうけど、水飲み鳥をつくります。」材料は家庭科です。作り方は、『100円ショップ大実験』 に載っています。あらかじめ、数名の生徒に頼んでいます。生徒達は、レンゲにガーゼを伝って水がたまり、十分重くなったら、水飲み鳥のようにレンゲの頭を動かす、このおもちゃに一喜一憂しました。
技術・家庭の水は、水を使ったエネルギー変換になりました。

 

まとめの言葉

「水というテーマで、様々な授業をしてもらいました。どうでしたか?どの先生も、教科書に書いていない内容を、自分なりに調べたり、図書館を回ったり、ビデオを編集したりして準備をしていたんです。これが、本当の学びなんですね。もし、みなさんに、水というテーマで、何か学べっていったら、きっと、生徒の数だけ、いろいろな学びがでてくるでしょう。私達は、そのための土台となる力を日頃の授業でみにつけているのですね。」

 

 

感想

ある一つのテーマに、それぞれの教師が自分の教科の特徴を生かしてアプローチする今回の試みは、大変有意義でした。知らず知らずのうちに、プロ魂がどの先生にも現れ、いい意味で刺激しあいました。こんな、互いを高めあう集団は、教師ひとり一人の向上心を高めます。

 

2.       未来の自分へのメッセージ

 

 来年の自分の姿を想像し、近い未来への自分にエールのメッセージを書く。書いた手紙を、封書にして切手を貼って、回収する。

 ※回収した封書は、来年度の秋をめどに責任を持って、本人の自宅あてに郵送する。

3.用意するもの:封筒(人数分)、80円切手(生徒会費で人数分用意)、便箋、ステイックのり

 

4.当日、私が進めた内容:
@『水は答えを知っている』の本を手にとって、「誰か、この本を知っている人いますか?」
 「この本を読んで、おもしろいなあって思ったことは、言葉によって、水の結晶のでき方に変化があるって書いてあったんです。“あ  

りがとう”という言葉を水に語っていると、その水が結晶を作るとき、美しい形になったんだそうです。“バカヤロウ”という言葉を水

に投げかけ続けると、その水は結晶をつくらないんだそうです。不思議ですね。みなさんは、信じます?」

A「いずれにしろ、言葉は、何かしらのパワーを与えれる力を持っているのかもしれません。そこで、今度は、自分自身に手紙を書いてもらいます。」(生徒ざわめく)

B「自分自身といっても、未来の自分です。でも、3年生が卒業文集で書くような、15年後とか20年後の自分ではなく、もっと近い未来の自分です。そうですね。今年の秋の自分にしましょう。いいですか、今年の秋の自分です。」

C「それでは、今年の秋の自分について、少し想像してみてください。中学3年生は、卒業後の自分です。2年生は、3年生になった自分。1年生は、2年生の自分。」(数分間考えさせる。)

D「どうですか、想像できましたか。さあ、それでは、その未来の自分に、過去の自分からメッセージを送りましょう。」

E「きっと、この手紙は、来年の秋に、ある日突然、あなたの家の郵便ポストに入っています。」(歓声がわく)
F「そのポストから手紙をとる、まだ見ぬ自分へのメッセージです。そのためにも、エネルギーを与えるようなメッセージにしましょ 

う。」
Gメッセージをかく便箋を配る。「書いた人は、封筒と切手とのりをもっていってください。」
H未来への自分に手紙を書くという新鮮な作業に生徒達は意欲的です。BGMとして、小川や小鳥のさえずりの音を鳴らしました。

 

引用文献:江本勝 著:「水は答えを知っている」(サンマーク出版)

 

詳しいことを知りたい方はメールをどうぞ


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