もうひとつの
1学年だより 10
お蔭様で、大きな事故もなく、どの子どもも充実した1学期を過ごしたようです。
充実すぎて、中学生の保護者の中には、整理テストの結果がさんざんなのは、夏休みを楽しみすぎたからじゃないですか?と、我が子に説いている方々もいらっしゃいました。
今朝、茶の間にいくと、もうすでに少2の娘が起きていて、どんぐりの図鑑を見ていました。傍らには、ボロボロになった長男のプロ野球人物図鑑。子どもの興味関心が、何にあるのか初めて気づいたというわけです。出かけ際に、「今週の日曜日は部活動お休みだから、どんぐり拾いに行こうか?」と言ったら、娘は大喜びです。こんな時間が、自分には必要なんだろうなあと改めて自覚しなおすのです。
また、一昨日は、私もひとりの親として、息子の通知票を見ました。妻は、先生から言われたことを、息子に注意しています。ギャングエイジだった頃の自分を思い出し、部活動でかまってあげれない自分を振り返り、わたしは何も言えなくなります。息子の成長を、他人の評価からしか気づいてあげられないわたしは、ダメ親父です。
風を感じる
朝、学校に行くと、もうすでに校長先生、教頭先生は出勤していらっしゃいます。本当に毎日、朝早くの出勤ですので、頭が下がる思いです。体育館に行くと、はしごを掛けて、技能員のMさんがバスケットのバックボードを修繕してくれています。これが、中学校の当たり前の1日のスタートなんです。
毎日当たり前のように学校には、風が吹きます。これが、校風ってやつです。
あまり、家で仕事をしたくないわたしは、なるべく早めに登校して授業の準備をします。でも、まだまだ、もっと早く出勤して仕事している先生方は多いですね。
8時も過ぎた頃になると、廊下には、わいわいがやがやの声が響いてきます。
その中には、「うるせー。」「むかつく。」「うざい」なんて言う、最近どこの学校でもよく耳にする言葉が聞こえるのです。表情は明るくていいのですが、やはり言葉というものは、その子全体の印象をゆがめてしまいますね。
朝の打ち合わせも終わり、担当場所でもある玄関ホールで清掃を始めようとすると、「おめ、バカでね!」「うるせこのやろ」ここでも、こんな言葉がわたしを迎えます。全校生徒というわけではないのですが、伝染的に言葉は悪化しているようです。1学年も、またしかりです。また、男子、女子は関係ありませんね。
売り言葉に買い言葉、見ていると、言われた方も、負けじと暴力的な言葉を使っています。
最近はとみに、授業中も構わずこんな調子ですね。
言葉による表現というのは、本当に高度なものです。わたしが以前知っている子どもは、いつも他人を殴っていました。どうしてかと言うと、自分でうまく自分の気持ちを表現できないのです。そうすると、うまく言葉がでないストレスから、すぐに暴力に走るんですね。
正しい言葉による表現方法は、学校だけではできません。小さいうちから、周りにいる大人が意識して、注意してやらせないと、誰から言われたからって治るものじゃないんですね。
ご飯といっしょで、毎日の積み重ねが、血となり、肉となってその子を作りあげていくのです。
休み中に、以前読んだ『脳内革命』という本を、棚から引っ張りだして再び読んでみました。お医者さんが書いたものでとてもおもしろいことがたくさん書いてあります。
この本によると、わたし達の脳からはいろいろな種類のホルモンが出ているんだそうです。いいものから、悪いものまでさまざまです。例えばノルアドレナリンというやつは、毒蛇につぐ恐ろしく、ものすごい毒性をもっているといいます。これは、いつも強いストレスを感じていたり、怒ってばかりいたりすると、どんどん出てくるそうです。ストレスに押しつぶされて病気になったり、早死にしたりする人がいますが、この本を読むと納得できます。
わたし達に、快感を与えるホルモンは20種類ぐらいわかっているそうです。その中の最強のものがβーエンドルフィンというものだそうです。他人とのお付き合いやいろいろな物事の対応でも、「いいなあ」とか「うれしいなあ」と考えられるとβ―エンドルフィンが出ているんだそうです。わたし達大人が飲む酒でも、「肝臓に悪いだろうなあ。」と考えて飲む人には、ノルアアドレナリンが出て、「今日も飲めて幸せだ。」と思う人には、β―エンドルフィンが出ているんです。
どんなことでも、プラス思考でいい方向へととらえると、脳内には脳細胞を活性化し体を元気づけるいいホルモンが出て健康で楽しく暮らせるというわけです。
だとしたら、物事をできるだけプラス思考で考える習慣を身につけるべきです。そして、その習慣を自分だけでなく、子どもにも伝えることが、子どもにとっては大きな財産となるはずです。
いつも文句ばかり出やすい生徒の隣で食事を見ていると、まずは、嫌いなおかずに文句。席の離れた友人と口げんか。この子の脳には、たっぷりのノルアドレナリンです。
それでも、わたしの方から、新人戦の頑張りを言い出すと、にっこり笑顔で返してくれます。
たよりに返信して頂いたコメントの中で、どうしても紹介したいものがありましたので、その方に断って掲載させて頂きました。
『わたしが子供の頃は今の子供達よりも、がまんの回数は多かったけれども、持っているものは少なかったように思います。ただ、両親と共に過ごす時間は、今よりずっとずっと多かったような気がします。わたしはその時間が大好きでした。時間に追われるこのごろ、わたしの休みの日の夜食タイムは、我が家にとって大事なひとときなのです。主人もその時ばかりはきちんと帰って、楽しい親子の時間になり、子供の笑顔も絶えません。たった一晩なのに、とても大きな幸せを感じています。この時間を大事にしていこうと思います』
夜食の時間は一家団欒の時間。きっとそれが当たり前になっている家庭なんですね。どの家庭にも、当たり前に吹いている風はあるはずんです。
風は、どこの家庭にも、いろいろな風向きで、それぞれ吹きます。
学校には校風が、そして、家庭には“家風”が吹いているんです。
わたしも、自分の家に当たり前に吹いている風向きを感じたいと思います。
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