技術科(工具の利用)

平成17520日実施

授業者 TS 教諭

文責  高橋 晋作

【授業の様子】

学習指導案へ

 

【研究協議会での話題】

本年度より、江間教授の他に、山形大学から院生4人が加わり、授業研究会がさらに深化したものに変わっていった。

まずは、昨年度同様、学年団ごとに分かれて、バズセッションを10分程度行った。話し合う柱は、これも昨年同様、@授業者へ質問したいこと、A全体の話し合いで取り上げたい話題、Bビデオでもう一度みたい場面、以上3点である。

『授業者への質問』であがってきたものは、“なぜ、バットを使ったか”“授業者が生徒に「考える形になって」と言って隊形が縦3列をドッキングする隊形になったのだが、他の学級でも導入しているのか、その効果のほどは?”“授業者が使った言葉で「やじろべえが隠れている。」という言葉の表現の適当性”などであった。

授業者は、それに答える形で、今日の本時についての授業者の考え方が披露されていった。中でも、授業では特に、「生徒に寄り添う」「生徒の発言を先に先に進めることよりも、中心発問の方に戻そう戻そうと意識した」という点が紹介された。

今年度の研究テーマである、個々の生徒の意見や発見したことを全体に共有化させるということの最も難しい点は、授業者の予想できない方向に授業が進むかもしれないということ。より、これまで以上の教材分析の必要性を教えてくれた。

授業者がこだわった、“戻す”という行為は、授業を見ていてもはっきり見て取れた。考えが煮詰まらなかったり、広がりに欠けているときに、幾たびも小グループで考えるように指示したのはそれであった。

また、バット回しの経験度がまだ少ないという意見も出た。バット回しの経験をさらに増やすことで、ものとの関わりを多くする。特に、今回は、細い方と太い方を、逆にする体験が必要であっただろうという話にもなった。

また、言葉が文章化することで、表現が変わってしまってきているという話もあった。そんな中「フィットする」と答えた、あの女子生徒の言葉が、まさに経験から得たものを的を得て表現しているという話題になり、自分の考えを書かせてから発言するだけでなく、会話を広げる中で、表現する大切さも話題になった。いわゆる、話し言葉と書き言葉の落差の問題である。

江間教授からは、“Appropriation”という言葉を使って、表現の共有化のイメージを指摘してもらった。Appropriationとは、“領用”“充当”と訳されるが、簡単に言うと、何かと何かをつなぐ部分の“のりしろ”。ある言葉を利用して発表していくことで意味がどんどん充当していく、こんなイメージを持つことで、共有化のイメージを一同等しく持つことができた。

Appropriation のイメージ

Aの発言を重なりあってBの発言があり、意味もどんどん充当していく。

 

 

 

《資料》Appropriationについては、次の書籍を参考にされたい。

『教育研究のメソドロジー 〜学校参加型マインドへのいざない〜』

著:秋田喜代美 東京大学出版会 定価2,800

 

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