国語科(敬語)

平成161029日実施

授業者 OJ 教諭

文責  高橋 晋作

【授業の様子】

T:今までね、2時間かけて敬語の勉強をしてきました。

敬語と大きく板書する。

T:この前ね、ビデオをみながら敬語のポイントを押さえました。もう一回それを確認したいと思います。

これまでの既習事項をまとめたものを黒板に貼っていく。

T:時と場所、相手によって使い分けるんだよ。校長先生、小泉首相など相手によって使い分けるんです。

次はね、話題の人。1対1、実際いる人だけで成り立つ会話もありますけど、話をしているとどうしてもね、その場にいない人が話題にのぼるわけです。話題の人がそれが相手の側だったら、尊敬語を使って、それが自分の側だったら謙譲語を使うんだったということを、みなさん昨日しっかりメモとってくれていました。あとは、時と場所、相手によって使い分ければいいんでしょというだけじゃなく、こういう時もあったね。相手の気持ちを考えましょう。思いやりを持つ気持ちを持ちましょう。相手の人格を尊重してなんて答えてくれている人もいました。でも、じゃあもうしょっちゅうしょっちゅう敬語だけ使っていればいいんじゃないのというんじゃなくて、使いすぎというのも時には嫌味になったり、使いすぎは聞き苦しくなったりということもあります。このあたりをポイントにして、さあ皆さん、敬語を使っていければいいなあと思っているんですけれども、やはり練習というのが必要ですよね。場を設定したりして。と言うことで、私、7つの場面を設定したシナリオを作ってきました。いろいろな場面があります。いろんな登場人物がいます。これをですね、皆さんに最終的にはちょっと寸劇にしてですね、軽く発表してもらいたいんですけど。常体で書いてあります、敬語使われていません。全然使われていませんね。これを皆さん勉強したことを使って、敬語に直して劇にもっていってほしいんですよ。大丈夫でしょうか。で、昨日メモしたものとか、前に渡したものとかを準備しました。それでは、実際に(班の)代表になった人、前にくじ引きに来て下さい。

シナリオはくじ引きで決める。

S(班長):班の代表者が教卓まで出て、くじ引きをする。結果、Aだったら、Aと書かれた紙の筒を持っていき、自分の机の上に立てた。

アルファベットは、シナリオのAGに関係する。

T:それではシナリオを配ります。全部のコース入っていますから、Aから。自分が何のコースなのか確認してくださいね。

シナリオ7種類を閉じたプリントを列ごとに配布する。

プリントには、上段に常体の文でかかれたシナリオがあり、それを下段に敬語を付け加えながら書いていくように線がかいてある。生徒全員、配られたシナリオのプリントを思い思いに見ている。

T:あーこのコースしたかったなあというところもあるかもしれませんが、とりあえず、決まったそのコース

を担当してもらうことにしたいと思います。最初っからね、グループで協力してもいいんでうけれど、自分どれくらい敬語理解して使えるかなあという確認する意味で、最初は一人ひとり自分のコースのものを、どの役になるかわかりませんからね、後ほど班に分かれたときに、配役は決めてもらいたいと思いますので、今は全部のところ、バ・バ・バって下のところ使って、書いてもらいたいなあと思います。よろしいでしょうか。じゃあ時間をですね、自分のコースだけで、55分まで、あのちょっと見て(生徒がプリントに夢中であるため)、あと10分もないですが55分まで自分のコース、下の方に適切な表現を書いてください。はい、どうぞ。ちょっとわかんないなあというところがあったら、この前のプリントを参考にしてみましょう。

個人ごとのシンキングタイムに入る。すぐにグループ学習に入らず、個人ごとにシンキングタイムを設定して、その後、グループ学習に入るという方法は、昨年からの授業研究の結果、本校で獲得されてきた方式である。その方法は、同じ日に授業研究会が行われた美術の授業でも導入された。

Y:敬語の経験が乏しいYは、ほとんど直すことができない。最初は、シナリオに目を通していたが、その後、

後ろのKに聞きながら数行書いている。

シナリオの量は意外と多く、設定した時間では無理な感じがした。

生徒たちは、落ち着いて課題に取り組んでいる。

授業者も生徒の活動の様子を見て、設定した時間を更に5分延長している。

T:「全部かけた人」

S:数名が手をあげた。

T:「じゃあね、一人で黙々としていても難しいかもしれませんので、ここからはグループになってもらいます。そこで、10分たったら完成するかな?一番最初に役決めましょうか?そしたら、自分の役を中心に敬語にしていきましょう。それでは、最初、役割分担をして始めましょう」

S:グループに机をつける。指示通りに役割分担をしてはじめていった。

ここで、グループ討議が機能しているグループとそうでないグループが見られだした。

1班は、比較的会話が弾んでいる。2班は、女子生徒1人の班で、その女子生徒Tがなんとかグループ討議をしようとしているが、他の男子生徒3人が黙々と自分の役のみ文を直している。

10分経過

ST):「じゃあ、そろそろ確かめてみようよ」

S(同じグループの男子A):Tにプリントを差し出して終わる。

1班は、全員が、自分の役と関係なく全文章を全員で、読みあいながら敬語に直して行っている。中には、全く敬語など使ったことがない生徒もいた。そういう意味において、この教材の重要性を感じた。

・・・・・・・

T:「では、皆さん、こっちに体を向けてください。どうだろう、完成しましたか。」

挙手して確認

T:「それでは、残り10分、互いの役のところを読み合わせして確認してみましょう。」

中には、まだできていない班もあるが、大体、声に出して読み合わせをしていった。

・・・・・・・

T:「じゃあ、次の時間に、各班から発表してもらいましょう。」

ということで、この授業を閉めた。

【研究協議会での話し合いの様子】

 今回は、バズセッション(学年所属ごと)から行った。10分間のバズセッションを行った後、各学年主任から、出てきた話題について報告をしてもらった。

 【授業者へ質問したいこと】では、グループ分けの基準について話が及んだ。授業者からは、ある女生徒を人間関係の問題から、さりげなく別のグループに移したという説明があった。グループ討議を円滑にするために教師の意図によるグループ分けは、実際のところ難しい。また、意図のあるグループ編成は、生徒の自然なグループ学習にも影響してくるかもしれない。そういう意味で、意図を感じさせないグループ分けを授業者は言っているのであろう。また、時間配分についての質問があった。本時の指導案がない本校の授業研究にとって、今日のねらいと学習内容はどこまで教師側が考えているのか、この質問はよく出てくる。この授業は、次時の寸劇につながる形で終わったが、これは授業者の計画通りであったことが話された。ただ、前半の一人で敬語に直す活動では、授業者の予定とは違って、生徒の活動のスピードを見て瞬間的に時間を延ばす指示を出す場面があったことが話された。あの瞬間的な判断がなかったら、グループ学習ではただの答えの交換活動になっていたかもしれない。

 本授業で大きなテーマになったのが、グループ活動が機能していたグループと機能していなかったグループの違いは何かということであった。

 比較的活発に討議がなされていたAがいたグループと、なかなか発言がつながっていかないTがいたグループの様子をビデオを見ながら、検討していった。Tがいるグループは、Tが「じゃあ、お互いの文を確かめてみようよ。」とつなぎの言葉がでるものの、隣のDがぽいと自分のプリントをTに渡して、つながりが続いていかなかった。それに対し、Aのグループは、それぞれの役のセリフを1行1行全員で確認していっている。また、TCは、自分で考えた敬語の文が、検討の結果修正されると、違う色のペンで書き直している行為も確認された。

 ここで、研究会の話題の中心になったのが、“音”である。すなわち、Tのグループは音の出ないグループであり、A のグループは、音が出るグループであった。敬語を身につける本学習内容において、書くことよりも口から音に出して言ってみることが、敬語を身につけることで大切ではないだろうか。授業者が指示した、常体の文をみて、下に敬語の文に書かせる活動は、音をなくさせてしまう。生徒は、書く方に一生懸命になってしまう結果、書きながら黙ってしまっていた。この授業では、書かせる活動よりも、音を出させる活動に重点を置く方法もあったことが話しになった。それでも大切なのは、この授業を行ったからこそ、新しい点が見えてきたことである。常に授業は、いろいろなことを参観者に投げかけてくれている。

 

 

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