3C組の保護者の皆さんへ 24

 

 

 

 

いよいよ最後のたよりとなりました。この1年、本当に生徒達は成長しました。まだまだ、人間として未完成なのは当たり前です、ただ、みんな一人ひとり、自分のペースで成長していっていると思います。

 でもやっぱり学校教育っていうのは、実はそんなに人間の心を変えるほど影響が大きいところではありません。まして、1教師によって、考えが変わるなんてものでもありません。学校の果たす役割は、人間形成の中から考えると、本当にわずかなものです。それよりも、家族、友人が果たす役割の方が、ずっとずっと大きいのですね。

 わたしが担当させてもらったのは、わずか1年間ですが、家族は一生です。わたしも父親のひとりとして、わが子の未来と、ていねいに付き合うことに決めました。

 

やるじゃん!

 

先月に、京都で行われたある研修に出かけた時の話です。

研修の終了日,新幹線の時間に間に合うよう、急いで地下鉄に乗って京都駅に向かいました。混雑する駅のホームの階段を上っていると,わたしのいる場所より、ずっと下の方でちょっと乱暴な女性の声が聞こえます。「ちょっと!つぶされちゃうじゃん!押すなよ!!」見ると,茶髪に数個のピアス,いまどきの姿の十代の女の子が手すりにつかまりながら怒っているんです。彼女が体を張ってガードし,人ごみに押されないように守っているのは一人のおばあさんでした。

そして、やっとのことで階段の上までおばあさんを押し上げると、彼女は,何事もなかったように友人と去っていきました。

 

本当に強い子って言うのは、こんな子なのかもしれないと思いました。誰が見ていようと見ていまいと、自分の信念で行動する。自分はこうするんだというその考えが、どんな場でも全然ぶれない。意外に、強い子は増えているのかもしれません。

実は、研修の時、「“今どきの子ども”ということで思いつくことを書きなさい。」って言われました。わたしが属したグループには、京都市の人や石川県の人、熊本県の人、様々いたんですけど、みんな、書いて出てきたのは、マイナス面ばかりだったんですね。“飽きっぽい”“わがまま”“今がいいならそれでいい”“相手をみている”・・・・そんなとらえ方ばかりでした。もちろん教師がほとんどで、中には弁護士さんもいたんですけど。

で、考えたのは、「いいところ見てないんだよな」ということ。そして、それが、現代の大人と子どもとの考え方のズレに結びついているのだということ。

「わが子について、書きなさい。」って言われたら、何を書きます?プラス面とマイナス面、どんな感じですか?

3Cは、よくうるさいとか、授業に遅れるとか、お叱りを受けたものです。これはマイナス面。でも、わたしの真面目な話には、他のどのクラスの生徒よりも真剣に耳を傾けてくれました。

一昨日の最後の弁当の時間、誰から言われたのでもなく、みんなひとつの輪になって食べましたね。ちょっと机移動するのを、面倒がる人には、誰かが「空気感じろよ!」って叫んでいましたね。

「やるじゃん!」

思えば、運動会や明友祭でも、何一つ賞をとれないクラスでした。でも、負けた結果を、必死になって前向きにとらえ直そうとする雰囲気はたいしたものでした。みんな、文集なんか読ませてもらうと、「本当は悔しいけど、でもそれ以上のものを得た。」なんて書いている人が多かったですね。「やるじゃん!」

振りかえれば、いっぱい、いっぱいの「やるじゃん」がありましたね。

あなたの良さは、きっと地味でわかりにくいものかもしれない。でも、思わず口からでる、この「やるじゃん」という言葉が、あなたの良さを一番言い表しているようで・・・。

あなたが歩む人生の中で、「やるじゃん」を、いっぱい見つけてもらってくださいね。

 

おばあちゃんを助け終わった、あの今どきの女の子とその友人が、先にいるわたしの方にどんどん向かってきました。そこは、やっぱり女の子、ぺちゃくちゃぺちゃくちゃおしゃべりして来ます。ちょっとわたしも、そば耳を立てて彼女たちの会話を聞いたんです。

友人の子が、おばあちゃんを助けた子に言います。

「○○って、ホント、世話好きだよねー。」

すると、あのおばあちゃんを助けた女の子、

「わたし,ばあちゃん子だったし,ばあちゃん私のこと,超かわいがってくれたんだ・・・。」と。

すると、わたしと2人の女の子の近くに、さっきの行動を傍でみていたであろう、これまた超今風の若者が声をかけて走っていきました。

なんて言ったかって?

もう、わかるでしょ。あの言葉ですよ。

 

『やるじゃん!』です。

                  

 

スタートライン

詞:武田鉄也

 

夜明け前の 薄暗い道を

誰かがもう 走っている

ひろった小石で 誰かが書いた

アスファルト道の スタートライン

 

寒い身体を 言い訳にして

町は眠ってる 曇り空の朝に

自分の汗で 自分を暖めて

寂しさ目指して 走る人がいる

 

今 わたし達に 大切なものは

恋や夢を 語り合うことじゃなく

ひとりぼっちに なる為のスタートライン

 

雨が降ってる 町の公園で

誰かがひとり 濡れている

待たせてばかりの 恋する人に

靴のかかとで 描いたピリオド

 

素直な奴ほど 傷ついてしまう

みんな上手に ふざけて生きるのに

たったひとつの 別れの為に

真っ直ぐ涙を 流す人がいる

 

今 わたし達に大切なものは

恋や夢を 語り合うことじゃなく

ひとりぼっちに なる為のスタートライン

 

夜の川原の 長い一本道を

誰かがまだ 走っている

星を見上げて 走り続ける

誰かが書いた スタートライン

 

向こうの岸辺は あんなに明るく

町の灯が 夜を焦がすのに

わずかな星の 光を探して

闇を選んで 走る人がいる

今 わたし達に必要なものは

光り溢れる 明るい場所じゃなく

闇に向かって 走り出す為のスターライン

 

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